お返事ありがとうございます。
わさび醤油で漬けた生の鶏ササミ、レシピサイトでもたくさん出てきますね。
「銘柄鶏を選んで」「新鮮な肉を使えばOK」そんな言葉も並んでいます。
鶏肉といえば、季節問わずカンピロバクター属の細菌に気をつけたいです。
保菌者である鶏は無症状ですが、ヒトに感染すると3~7日の潜伏期間を経て、辛いつらい消化器症状がやってきます。
2021年報告(2020年度調査)の名古屋市保健所による肉汚染状況データでは、お店で飲食に供された生鶏・鶏タタキの原料の41%が、カンピロバクター陽性だったとのこと。
これを多いと見るかどうかは個人差あるので数字の提示に留めますが……。
僕らなんか見てて怖いな~と思うのは、銘柄鶏なら大丈夫という謎の安全神話はともかく、「鶏肉が新鮮であればあるほど、肉表面の生菌数が保たれる」これを知らないかたが多いことですね。
カンピロバクターって実は低温環境に強くて、4℃程度の冷蔵保存で6日ぐらい、-20℃の冷凍だと3ヶ月ぐらい生きられます。
冷蔵庫に入れて6日も生きてるとなれば、消費期限までしっかり菌がいるということなので、体を守るためにもやはり「加熱しましょう」というお話になろうかと思います。
鶏専門のお店で多いメニューといえば「鶏刺し」や「鶏ハツのお造り」でしょうか。
現行の食品衛生法には鶏肉に関する規定がないので、“鶏の生食”の定義も提供方法も、販売店や飲食店が自由に決めてよいことになっています。
もちろん、お店の責任で食中毒を起こせば営業停止などの行政処分は免れませんが、停止が解ければまた、そのお店は生鶏を出すかもしれません……制限がないので。
九州地方では、古くからの伝統として鶏の生食が当たり前になっていますよね。
宮崎・鹿児島の両県では「生食用食鳥の衛生管理基準」を定めていて、それに適合した肉だけが生食用として流通します。
ただ、生食用というのは生菌数を減らす努力をしている肉という意味であって、生で食べて食中毒を起こさないことを保証するものではないです。
乳幼児・高齢者・免疫が低下した方には、個人的には推奨しません(「食べない/食べさせない選択もできたよね」ということで、結局“自己責任”で終わってしまうのは哀しい)。
僕もブリ大根は好物で、夏の暑い日でも食べちゃいます。
ブリであればお刺身で食べられますので、生の鶏肉よりリスクはずっと低いと思われます。
昭和の頃ですと、素手で握ったおむすびに付いた黄色ブドウ球菌、生魚に付いた腸炎ビブリオ菌が蔓延っていましたが、今やカンピロバクターとノロウィルスが食中毒の原因のツートップ。
ノロは冬が多いですが、カンピロちゃんは通年で注意したいですね。
MAP包装は画期的な技術だと思いますし、鮮度保持、食品ロス低減に役立っていますが(フィルムがピンと張って見た目も綺麗)、菌を減らす効果は期待できないので、面倒でも加熱! です。
美味しく楽しい食生活をお送りください。