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小説「相乗り夜汽車は何処へ行く」星霜編 第一項

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そこには、自分と同じくらいの歳の少年が立っていました。
と同時に、彼の顔はさっきまでの頭痛をまた呼び覚ましました。
「……君は、誰だい。」
「ここでは特別じゃない限り、名乗れないんだよ。」
そう吐き捨てるように言うと、横にどかっと座りました。
「相乗り失礼致します。」
取って付けたようなその言葉に怒気が含まれていることは、一目瞭然でした。
「で、何でお前は乗っているんだ。」
「分からないよ。君、この汽車は何なんだい。」
そう問いかけると彼は舌打ちをし、此方を見ないようにしながら話しました。
「お前も気づいているんだろう。この夜汽車は、死者が乗る汽車だ。」
「やっぱりかい。じゃあ僕死んでいるの。」
「お前、切符は持っているか。」
先程の女性と同じ問いかけなことに深い意味は在るのか、戸惑いつつ無いと答えました。
すると、彼は女性と同じようにわかりやすく安心して見せました。
「まだ死んでない。お前は帰れる。」

窓の外には獅子はもう消え、代わりに一際大きな星が浮かんでおりました。
恒星かもしれないなと眺めておりますと、また彼が尋ねてきました。
「本当に何も覚えていないのか。」
「ああ。目を開けたらこの汽車に乗っていて、それ以降のことしか覚えていないよ。」
すると今度は此方を真っ直ぐに見つめて続けました。
「お前には思い出す権利も在る。だが、思い出さない権利も在る。」
何を言われているのかも分からないですが、とにかく頷きました。
「さあ、何方を選ぶ。」
そう問われた時、先程までとは違い決意は固まっていました。
あの女性のことも、あの記憶のことも、自分は全てを思い出したいと思いました。
そんな強い意志を持ったのは初めてな気がして、でも初めてって何時を基準にしているのか分からなくなって、とりあえず考えるのをやめました。
「思い出すよ。」
「わかった。じゃあ、俺の人生に乗ってくれ。」
幻灯は二人を飲み込み―いや、誰かもう一人も包みこんだような気がしました。

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