Cちゃんがお湯を沸かしてる間にブロッコリーを小房に分けて、4枚にした鶏モモの下準備をする。
途中、ブロッコリーの茹上げを託して、肉に塩と粉をまぶしておく。
フライパンが空くまでにぶどうを摘んでマッシュルームの傘を綺麗にする。キノコは傘を水洗いしないのがポイント。
「こっち鍋いいよー」の声を聞いて、熱したオリーブ油に肉4枚をポンポン並べていく。
これ一応3~4人前だからね、と冗談めかして言うと彼女は「時期的に食べ盛りだからペロっと行けちゃうよ~」なんて笑ってみせる。
(時期というのは、どっちの意味かな)
玉ねぎをくし形に切っていくと目がしみて涙があふれる。
「あぁ、涙が止まらない」
「あらあら、どうしたの。悲しいの?」
「悲しいやら嬉しいやら、複雑なんです。先生」
「そうなの。とりあえず換気扇でも回そうかしらね」
即興でこんなやり取りも成立しちゃうぐらい、彼女とは気が合う仲だと思う。とんだ勘違いかもしれないけど。
肉の両面を軽く焼き付けてもらったら一旦取り出して皿に置く。
フライパンの油に鶏の旨味が溶けてるから、そこへそのまま、ぶどうとキノコと玉ねぎを投入して炒める。
菜箸を回すCちゃんが「すごく新鮮なビジュアル! 紅色と緑色の果物をマッシュルームと一緒に炒めてるっていうのが、なんだか不思議」「どんな味になるのか楽しみだなぁ」と感想を伝えてくる。
「乞うご期待、だね」
キノコに火が入り、色が変わってきたところで鶏モモを戻し入れる。
すぐに水と酢を鍋肌から注いで、塩をパラッとまぶす。
「ボトルの口元に親指を掛けて、サッと一回ししてみて」と言うと、彼女は「これ、やってみたかったんだ! でも手が小さいからうまくできるかな」とおそるおそるワインの振り掛けに挑戦していた。
買ってきた白ワインは瓶じゃなくペットボトル入りだから、あまりの軽さに拍子抜けしたのかも。サッと一回しと言うにはちょっと勢いが少なかったけど、願いを一つ叶えることができたのは何よりだ。
「よし。あとはフタをして、コトコト20分煮込むよ。美味しくできるといいね」
♪あなたにサラダ / DREAMS COME TRUE
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