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心中系夢小説もどき※この物語はフィクションです。実在する人物や公式コンテンツとは一切関係ございません※

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⚠心中ネタ。とあるキャラクターをイメージして書いた二次創作夢小説です。ネームレス、キャラクター名は伏せています。作品・キャラクター名がわかっても心にしまっておいてくださると嬉しいです。⚠
特に原作解釈は入っていません、私が私を助けるために書いたものです。
これを書かないと精神が狂ってきっともっと多くの人に迷惑を掛けてしまいますから、そして読んでもらいたい顕示欲と承認欲求には抗えませんでしたから、ここに放流することにします。もし感想やお褒めの言葉をくださる方が居ましたら、もう少しだけ、生きてみようかなと思えます。いずれにせよ私はきっと死なないと思いますが。
以下空行後に本文です。小説の書き方から逸脱した表現も多々ありますので、ご注意ください。


 緑色の薄明るい目張りと、未だ冷たいままの炭を見ている。四畳半にも満たない小ぢんまりとした部屋の中で、私と⬛︎⬛︎⬛︎はビニール袋を漁っていた。あと必要なのは火だけだった。
「ん~、ライターとマッチと......それ以外は何か要りますかね?」
「炭に火が燃え移るまでのつなぎとか? ......あ、周りに着火剤がついてる製品もあるらしいから大丈夫そう、かな。表示にもそれっぽいのあるし。」
「あぁ、ありがとうございます~。それじゃあ、もういよいよ......ですかね?」
 私は緩慢とうなずいた。ひょっとしたらためらいがその時点で存在していたのかもしれないが、目の前にいるそわそわとしてた様子の彼を見たら、本能のちっぽけな強情なんてどうでもよく思えてきた。私の隣に座り、おもちゃを目の前に待てを守っている犬にゴーを出す。彼はほのかに目を輝かせて、ライターの蓋を開けた。それから石の擦れる音が響いた。私はそれをただぼうっと、黙って見ていた。ゆらゆらと揺れる小さな炎。ああ、でもきっとこれだけじゃ時間がかかる——ということに今更気づいた私は、用意していたマッチを擦って、新品だったそれを全部投げ入れた。ぼうっと激しく燃え上がったのを見て、私はヘラヘラ笑って、窺うみたいに彼を見た。
 彼は私がマッチに火をつけた段階で手を引っ込めていたみたいで、私の視線に気がつくとはにかんでくれた。彼は嘘をつかない、ただ優しさの仮面、とか言うかもしれない、気遣いが彼を覆っているだけだ。「本当」であることに変わりはないのに、全部が嘘に見えてしまう私は、ただ自己中心的な恐怖に跳ねた心臓を隠すふりだけでもしなければならなかった。
 彼はそれに気づいていたのか、ただ私の性質を知っていたのか、私を見て「大丈夫。」と言うだけだ。それから頭を預けてくれて、私は、いき苦しくて、息を詰めてしまった。彼は「泣かないで」とは言わなかった。私のことはどうでもいいからだろう。私を自由にしてくれているからだろう。私はそれが嬉しかった。私でいさせてくれる、唯一、ずっとこのままでいい、なんて。
 変わらせないでいてくれることが、嬉しかった。
 不意に彼が口を開いた。
「飛び降りや首吊り、はたまた入水でもなく、どうして練炭に?」
 飛び降りは落ちている数瞬の間に死を自覚する。首吊りは最期まで話せない。入水はお互いの体温がわからない。私が心中に見出した意味は、寂しさと怖さを少しは忘れられるから。最後まで隣にいられるから。私がそう話すと、彼は童が新しいものを見つけるときみたいに、あるいは白痴を演じる猫のように、いずれにせよ、それは私にとって不快な表情ではなかった。彼もたぶん、不快には思っていなかった。
「あはぁ、なるほど。それならちょうどよかったです、僕も一人で死ぬのは怖いと思っていたところでした。まあ、死ぬのに理由がほしかったから──というのもありますけどね。」
 最初に心中を提案した時のことだ。「一緒に死のう」と言った私に、彼は「いつですか?」とだけ言った。並んで歩く彼は道端に咲く花を見て微笑んでいた。彼にとって死はなんでもないことのようだった。
 改めて確認したいことがあって、私は口を開いた。ずっと、フラッシュみたいに瞬いて、私の脳を焼いたそれ。私は彼に、不可能だとわかっていて答えを求めていたのだろうか。肯定してほしかったのだろうか、否定してほしかったのだろうか、曖昧に、笑ってほしかったのか。いずれでもあり、いずれでもない。かといって何をされたかったのか、私自身よくわからない。
「俺、ってさあ、生きててよかったのかな」
 俺、に深い意味は無い。彼もそのことを承知していた。私たちは意味のないものを好んでいた。
「生きててもよかったし、死んでも別に構わないでしょう。それくらい突き放された方が却って気楽なんじゃないですか?」
「一番効くね。いい意味でも悪い意味でも」
「あはっ、まあ、人が是非を論じるべき議題でもないでしょう? それくらいわかっていたじゃないですか。」
 軽い雑談。もうすぐ意味も無くなる談義。こうして意味のない堂々巡りの話を続けているときは、たぶん、すごく楽しかったと思う。
 私は容姿にも頭にも恵まれなかったくせして、人にだけは恵まれていた。反対に彼は容姿や頭、その他にもたくさん恵まれていたけれど——人には恵まれていなかったと思う。少なくとも私なんかが唯一の友達であるからして。
そしてたった一つ私たちに恵まれなかったのは、安心、だったのだと、私は勝手に信じている。
 炭に火が付き始めたのか、多少頭がぼんやりしてきた気がする。確か頭痛や吐き気にめまいも出てくるんだっけ。苦しむ前に意識を飛ばして、勝手に死んでいたい。それが、死ぬにあたって彼と最初に取り決めた約束だ。
「いる?」
「わぁ〜、西洋製の睡眠薬ですか?見るのは初めてじゃないけど、飲むのは初めてです。確か漢方と違って即座に効果が出るんですよね?」
「たぶん、そう。詳しいことは知らない。水に溶けると青くなるものもあるらしいね。私には処方されなかったけど......」
 差し出したのは私が飲んでいた処方薬。彼は錠剤をつまむと、一切のためらいもなく口の中に放り込んだ。水なしでも飲めないことはないが、一応ペットボトルを差し出す。初めての西洋薬を飲む彼を見て、私はまた意味のない思考を始める。
 今まで、たくさんの薬を飲んでは絶望してきた。私の病気は薬で治るものではなかったらしい。特効薬も効かないその事実が逆説的に私を患者ではないような気にさせて、本当に必要だったであろうこの子にどうして薬を飲ませてあげられなかったんだろう、なんて、考えるにも遅すぎることを考える、それだけしか私はできなかった。
 彼は生来の性質を揶揄されて「病気」と烙印を押されていたけれど、「病気」を本気にするものは誰もいなかった。実際病気でもなんでもないのかもしれない。けれど私のわがままな憂鬱が病気と言われるのなら、彼にだって治療を受ける権利──あるいは必要があると認めてもいい気がする。
 その前提は「私は病気ではない」という反証に覆されるかもしれないけど。そもそも思想の根本として、私が彼を救われるべき患者だと仮定してるのは否定できない。しない。それが傲慢と言われようとも。
 私たちをかわいそうな患者と見るのも、発狂した社会不適合者と嗤うのも、もはや問題ではない。ただ私たちがここにいる、それだけ。理由なんて概念は必要がなかった。
 水を嚥下した彼は、だしぬけに——いや、たぶん私が飲んでいた薬について気になったのだろう。こんなことを聞いてくれた。
「......普段はよく眠れていたんですか?」
「さあ。眠れてたのか眠れてないのかもわかんないから、睡眠時間だけで答えてたよ。それだけで言えば眠れていた方、だと思う。生活ができるかできないかだけを頼りに判断してたから。......私はずっと甘えてただけ。今考えても、やっぱりそう思う」
「そう思いたかっただけ、かもしれないですけどね。これからはよく眠れるといいですね。」
 彼は私をよくわかっている。「⬛︎⬛︎⬛︎もね」と私が言えば、「良い夢が見れることを願ってます」と彼は言う。
 「⬛︎⬛︎⬛︎もね」ともう一度だけ言って、 私は彼と私がもう二度と出会わないか、あるいは一緒に蝶になる夢でも見られようかと夢想していた。
 彼の手を撫でた。血が流れていて、温かい。
 ふと、私と彼に限らない、人間が生きているなんて当たり前の事実に寒気がした。生きていることが気持ち悪いと思った。頭蓋の中にあるクオリアを知れないのなら、私は私以外の人間が哲学的ゾンビか、あるいは私より高度な、全く未知の生命体であるように思えた。泣きそうなくらい、苦しみの中で平然と生きている人間たちが不気味で仕方がなかったのを、また、思い出した。
「──」
 私は震えた声で彼の名前を呼んだ。なんですか、と彼はすっかり落ち着いた炎を名残惜しそうに眺めていた。私が重ねた手を彼は捕まえて、握ったままだ。彼の手のひらの鼓動がどこか早鐘を打っている気がした。散々死についてなんでもないように振る舞っていたくせして、全部悟ったような目をしていたって、やっぱり彼も、人間なのだろう。
「死んだら全部、......全部、投げ出して、逃げ出して。そしたら、やっと楽になれるかなあ」
「それを信じたから僕らはここにいる。そうでしょう?」
 何当たり前のことを、とでも言いたげに口をぽかんと開けた彼を見て、私は背筋がさあっと冷えて、滑稽な羞恥心と嘲笑と絶望と、それからどうしようもなくなって。思わず笑い出してしまった。そうだ。......そうだ、それ以外に何があると言うんだ。私は馬鹿だ。阿呆だ。どうしようもない愚図だ! やっぱりこうして正解だった、私は死んで正しかった。死に向かい始めてからこの時、ようやく自分を認められた気がして、私は恍惚と笑う。ねえやっぱり私は死ぬべきだったでしょ、と言いかけたら彼は初めて咎めるみたいに私の口を覆った。多少筋張っているけれど、しなやかで柔らかい。赤子みたいに、温もりに甘えたくなって、手を顔に押し付ける。
 私の気が済むまで彼は手を動かさないでいてくれた。今度は私が彼に手を差し出すと、彼もまた顔を私の手にすり寄せた。大して綺麗でもない、ぶよぶよしているだけで触り心地も良くないだろう手を差し出したことに罪悪感と羞恥に似た後ろめたさを覚えたけれど、彼はそんなことを気にはしないみたいだ。
 私は彼がそうしたみたいに、手を動かさなかった。お互いに、ただこうして、安心がほしかっただけなんだ。人の温かさが気持ち悪かったはずなのに、どうしても尊くて、それでもまだやっぱり、寂しかった。
 私が練炭自殺したいなんてわがままを言い出したのは、人の温もりが惜しかったから、というのもあるかもしれない。恐怖を紛らわせるため、というのを言い換えればそうなるのかもしれない。言葉と論理を捨ててすでに何年も経ったから、私の発言──いやこの場合は思考から出ないthoughtであるから──思想(と言うべきだと思う)は正しいのか、私は正しいのか。とうにわからなくなって、「正解の感覚」もわからなくなって久しい。
 とにかく私は、寂しかったのかもしれないと、ただそれだけのことだ。垂れ流した思考(この時点で思想は発言になってしまった)を彼は無邪気に微笑ん(はにかん)で、「正解なんて知りません。でも、多分僕も寂しかったんだと思います」なんてあっけらかんと言ってのけるだけだ。
 それに私は少しだけ救われて、どうでもよくなって、お前が私の友達でよかった、と脈絡もなく(脈絡なんてないよね?) 言った。私の友達は私の意図を汲んでくれた(と私は思うことにした) みたいで、僕も死ねてよかった、と言ってくれた。
 彼の顔はとろんとして、目を離せばすぐに寝てしまいそうだ。多分薬の耐性がないから、その分効きが良いんだろう。置いていかれるのは怖かったし癪でもあったので、私は残った睡眠薬の中で即効性があり耐性形成しづらいと聞いた薬を選んで、少しだけ多めに飲んだ。
 もうどうせ終わりだから、どれだけ飲んでも怯える必要がないというのは良い。けれど彼と話せなくなるのも、彼を見(え)ないまま死ぬのも嫌だったから、そうなる前に急いで彼に話しかけた。
「⬛︎⬛︎⬛︎。ねえ、」
 少しだけ間が空いて返事。
「なんですか」
 呂律が回らなくなっていた。次に意識を飛ばせば、もうお互いに見るも聞くも話すもできなくなるのだろう。そう思うと怖かったが、けれど少なくとも、一人じゃないと思うことで正気は保てた。これをある人は狂気と呼ぶかもしれないけど、こちらに言わせればそちらが狂気だ、という思想は私と彼とで合致していた気がする。
 私は最期に誰かの体温を感じたくて、安心したくて、ぬいぐるみにするみたいに彼を抱きしめた。彼もまた安心がほしかったのだろう。私と同じ、人を抱きしめるときの気遣いは感じられない、独りよがりな抱擁だった。ようやく彼が彼を見せてくれたのだと思うと、嬉しさを感じずにはいられない。私は彼の友達足れたような、そんな錯覚に身を委ねて。
 きっと私たちは互いを人間だと思っていない。それが心地よかった。どうせこれから人間である証明がなくなるのだから、それでよかった。私が人間を気持ち悪いと思っていた人間なら、これでよかった。傲慢にでも、まやかしでも、ただ、私たちが安心できれば、それで。
 もう何も、私たちは言わなかった。

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