小学校最後の夏休みの思い出作りをハデにやろう!
それまで、川でのガサ入れや庭でのキャンプ、ランタン、キャンドル、ライト等々、沢山の明かりを灯しての“灯火の宴”、車庫をブルーシートで囲っての手作りミニシアターと色々やってきましたが、娘が中学生になれば、勉強に、部活に、友達付き合いにと忙しくなり、“遊び人”なおやじに構ってるヒマなどなくなるだろうと思い、この企画を提案しました。
お気に入りの川原でなら、ガサ入れが出来るし、流れが緩やかな場があるので、水遊びも出来る。
自分たちでご飯を作って食べ、夜は花火もやろう。
目を輝かせながら、他にもあんなことやこんなことをやりたいと提案してくる娘の要求を、一つでも多く叶えたいと想い、友人と二人で調べたり、アイデアを出しあったりしながら、計画を進めてゆきました。
今回も友達を呼びたいと言うので、それなら親に何をやるのか詳しく知ってもらうために、しおりを作ろうと思うから、絵を描いておくれと頼んだら、早速スケッチブックを取り出し描いてくれました。
よし!その気持ちに応えるために、最高の思い出を作ってあげるからな!!
しかし、それはあまりにも身勝手な大人により、無残な結果に終わりました。
長距離運行から帰ってきた私に、娘がべそをかきながら、
「…友達が来られなくなった……」
と言ってきたのです。
訳を聞くと予定していた川遊びの日、地元の公民館が主催する夏キャンプと重なっていました。
ですが、この行事は参加自由なものであり、私も以前、娘の付き添いとして参加したことがありました。
ところがこの行事は、年々参加率は減っていて、内容を聞いてみれば、毎年まったく同じことを繰り返すのみ。
これでは、前年に行った子どもは、行かなくなるのも道理です。
問題は、重なっていることを知った公民館の職員が、近所ということもあり、娘の友人が登校するのを待ち伏せし、
「あなた、夏のキャンプ来るわよね?来るのよね!?」
と腕を捕まれて訊いてきたと言うのです。
後で周りに訊いて内容が分かったのですが、公民館での費用を市に請求する際、去年の実績を元にするので、参加率の落ちた行事は見直され、当然、費用も減額となります。
これを恐れた職員が阻止するために、この様な行動をとったのですが……
それならマンネリ化した内容を見直し、子どもがまた来たいと思ってくれるよう、知恵を絞ればいいのでは?
何より子どもを捕まえて、脅迫まがいのことをしたことが許せない!
おまけに娘には、
「そういうことは、家族だけでやんなさい」
と言われたと涙をこぼしながら話してくれたのです。
怒り心頭した私でしたが、公民館に乗り込むなんてみっともない真似はやめてくれと妻に諭され、我慢しました。
しかし、後日、その職員が別の用事で来訪。
偶々私が家におり、再び噴火寸前の怒りを抑えつつ、行事に水を差したことを詫びながらも、嫌味を込めて、
「あなたの仰る通り、家族で楽しむもんですね」
と言うと、自分はその様なことは言ってないとか、子どもがウソをついたとサラッと言い出し、私の堪忍袋の緒はぶちきれました。
最高の思い出作りは、最悪の結果に終わってしまい、それは私にとって大きなしこりとなり、ずっと残り続けてます。
だから、以前参加した活動でも、費用とか謝礼金など、そんなことはどうでもよく、私は来てくれた子どもたちの笑顔を、一人でも多く見られれば満足だったんです。
まぁ、その想いは異質なものとしかとられてないようでしたが……
東北の地図を買いました。
この2年の間、まずは行けるだけ、海を見に行く計画を立ててます。
その場、その場で私がやりたいことをやるための準備をしています。
喜んでくれたら、嬉しいなぁ……
そうする中で、落ち着ける所が見つかったら…
そこを終の住処にして、表“図書庵”、裏“昼庵呑”を形にしたい……
私の“希望”です。