いつまでも終わらない職務質問。
僕はすっかり疲れていた。
捜索願いが出てなければそれでいいとお巡りさんは言う。お巡りさんと僕の交渉の結果、僕は運転免許証を見せることにした。
捜索願いは出ていないはずだ。
僕にあれだけ攻撃的な態度をとった家族が、僕が帰らないからといって捜索願いは出さない。
そう思っていた。
リュックから財布を取り出し、免許証をお巡りさんに差し出した。リーダーらしきお巡りさんの横に立っていた別のお巡りさんがそれを受け取り、パトカーに戻った。パトカーの中で僕の免許証を片手に端末を操作しているのが見えた。
そのお巡りさんがパトカーから出てきて言った。
「捜索願い出ています。」
僕は思わず崩れるようにその場にしゃがみ込んでしまった。まさか!捜索願いが出ているなんて。僕は愕然とした。うなだれるしかなかった。
リーダーのお巡りさんが言った。
「リュックの中を見せてもらえますか?」
僕は抵抗する気力をなくしてしまった。この数日の間、死んだように歩き回った。浅草、御茶ノ水、高円寺、新宿、そして今、富士山の樹海にいる。
リュックから出てきたのはコンビニで買ったビニール紐。自殺するためのものですよね?お巡りさんが言う。
でもハサミ用意してないし、と僕が応えると、ずるずる長いビニール紐のままする人はするんですよ。とお巡りさんは言った。そうなのか。このお巡りさん達はビニール紐で実行した現場を実際に見てきたのだ、そう思った。
歩いて歩いてここまで来たけれど、
僕は実行できなかった。
お巡りさんに促されて僕はパトカーに乗った。
死に場所を求めて歩き回った。
それが今、終わった。
(続く)
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
すごくやさしい言葉をかけてあげてほしいです