退院してからずっと、いろんなことを考えちゃうんだって。
亡くなった両親との日々。
ココロとカラダのこと。
これからの人生。
アンド・モア。
つらいのは、考えても答えが出ないことだって。分かりみが深すぎる。
でも、深すぎるぐらい分かってるくせに、何って役に立つことも、気の利いたことも言ってあげられない自分は無力だなと思う。
思うだけじゃダメなのも分かってる。行動しないと。
でもこんなとき、何をするのが最善なのかが分からない。そこが一番大事なのに。
◇
お昼を少し過ぎたころ。
唐突に「血糖値、下がってない?」って訊かれて、「そういえば手が少し震えてきたなぁ」なんて答えたら。
「あのね。頂いた梨を……剥こうかなって思うんだけど……」
「あはは。いいよいいよ、一緒に食べようよ。もう冷えてるかねぇ」
冷蔵庫に向かっていって、「冷えてるー。剥けたら持ってくね」と言いながらパタンと扉を閉める。
素直に「梨食べよ」と言えなくて、遠回しに血糖値を攻めてくるのね。
そこがまたこの人のかわいらしい所だよなぁって、シャクシャクと皮を剥いてくれてる彼女の横顔を見ながら思った。
彼女の悩みを聞きながら、ああでもないこうでもないって話してると、2時間3時間なんて本当にあっという間なんだ。
在宅勤務の日にいくつも書類を作って、昨日も作業しながらプリントしてたら途中で機械が止まっちゃったんだって。
画面にエラー番号が出てて、サポート窓口に訊くと「その数字は故障ですが、古いのでもう修理できません」と言われて凹んでる……と。
「すぐに必要ならお店で買っちゃう? 通販と同じぐらいの値段になってるとこも多いよ」そう言うと彼女は「でも大変だし、せっかく座ってもらったのにまた出たら疲れさせちゃうよ」と。
「でも、あとで夕飯の買い出し行くんだし。そのとき寄ればいいんじゃない?」
「ああぁ……。なんかごめんね、私ばっかり我を通して」
「良いっていいって。Cちゃんが一緒に夕飯作るって言ったの嬉しかったよ。だから、ついでに見に行こうよ」
もしかして、プチ・ネガティブ期に入っちゃったかな。
♪Another / Do As Infinity
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