ファング「ん?ノマドもう良いのか?」
外に出るとファングが俺に聞いてきた。
ノマド「うん、もう大丈夫」
ペル「本当?なんかあった?」
ノマド「ううん、特に何も無かったよ」
ファング「そうか、やっぱ片付けられてたのか」
ノマド「ううん、何も片付けられてなかった、、、だけど両親が運び込まれてた」
俺がそう笑顔で応えると二人は哀しそうな表情を浮かべた。
ノマド「でも、二人を運んでくれた人は優しい人だったんだね」
二人を寄り添う形で置いてくれて、写真立ても傍に置いてくれて。
ノマド「俺は中に運んでくれただけでも嬉しかったよ。二人共外じゃ冬とか寒いだろうし」
そう言うとペル先生とファングが何とも言えない表情をしていた。
ノマド「どうしたの?」
ペル「んー?いやぁ、特に、何も、なぁファング」
ファング「うんうん、なんも無い」
其の時少し強い風が吹いた。
“貴方の友達が運んでくれたのよ”
“重力には逆らえないんだな、綺麗に置いて貰ったのにお前が来た時には雑に置かれたみたいになってしまった”
そう言葉が頭に伝わったかと思うと見た事の無い筈の光景が頭に流れた。
血に染まった両親を担いで家の中へと入っていく二人の少年。
「、、、災難だったな、ゆっくり休んでくれ」
「後の事は僕達に任せて」
“彼奴が年老いてこの世を去った時、笑顔で貴方達に逢える様、僕達も頑張るから”
嗚呼、そうだったのか。
両親に最後に声を掛けてくれたのはファングとペル先生で、両親を安心させてくれたのも目の前に居る二人で。
本当に___
ノマド「ありがとう」
ファング「ん、なんの事か分かんないな」
ペル「そうそう、とっとと帰ろう」
“此処に居たらノマドの親が心配しちゃうよ”
不意に後ろに気配を感じる。
後ろを振り向くと、そこには___
ノマド「お父さん、お母さん、、、!」
笑顔で佇む二人が居た。
二人はそれぞれ俺に言葉を遺して消えていった。
ノマド「、、、!」
ファング「ノマド?大丈夫か?」
ノマド「、、、、、、うん」
ペル「ノマド、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。君の両親はずっと見守ってくれてる」
“貴方ならきっと大丈夫”
“お前には仲間が居るからな”