職場のドアを見ていると、彼が現れそうな気がする。
いつもみたいに、
ニヤニヤ(笑)しながら、
回りに人がいないのを確認して、小走りで駆け寄って来るんだ。
そして、また人がいないのを確認して、私の頭をなでなでする。
至福の瞬間。
そんな残像。
もう二度と彼は現れない。
はっきり覚えてるから。
亡くなった電話のお母様の声。
棺に入ったまま目を覚まさない彼。
氷のように冷たい頬。
彼の遺骨を拾ったときのこと。
同じくらい、彼と生きてきた時間も覚えてる。
苦しい。
もう思い出でしか、彼には会えない。
彼に会いたい。