あるところに大層仲の良い家族がおりました。
祖父と母と私と妹。四人は裕福ではなかったがそれでも、楽しく生きておりました。
ところがこの家族には問題がございました。私と母の病気でございます。
お互い別々の病気でございまして、母は癌を患っておりました。
母は気丈に振る舞っておりましたが病気でどんどん衰弱していくのが子供ながらにも理解できて、目に見えて弱ってく母を前にして、なんかだか怖くなって、弱ってるって理解してるはずなのに、母の要求をことごとく無視してしまって、その度に見せる表情が本当に苦しくて、親孝行なんて何一つ出来ずにそのまま母はいなくなってしまって、その影響で心身ともにやられた祖父がその後にすぐいなくなっちゃって、そうして仲の良い家族は私と妹を残し、崩壊致しました。
残された私と妹は子どもも子どもでございました、が、大変ではございましたが、なんとか生きておりました。すると、もう記憶にもないような、そんなほとんど他人の男が急に現れて「俺はお前らの父親や」って言っていきなり引き取られてまして。
それからは、そのなんか変な奴が父親面して偉そうにあーだこーだ言い出して、かと思えば、見知らぬ土地に連れて行かれ、そこに住み出して、状況を飲み込む前に全て用意されてて、それだけ聞くと、なんだいい話じゃないかと、思われるかもしれない、実際私は、この自称父親は肉親かどうかは置いといていい人なのだと、そう思ってしまいました。
が実際、暮らしてみるとどうでしょう。
朝に家を出て行き、三日後の夜まで帰ってこず、それが何度も何度も。
そして、たまに帰ってきたと思えば、暴力こそしないが、それこそ、なにもしない、部屋でゲームばかり。
買い物にも行かないため、冷蔵庫が空になるのはいつものことで、なにも作れず、買い物にいこうと何度も言えど、動かず、しかし、あの男は自分の分だけはしっかりと買っており、わたくしたちの食料ばかり底をつく。
お金も貰えないので自ら買いに行くこともできず、ならバイトすればいいじゃないかと、そう言ったこともいわれるでしょう、が、わたくし、前述した通り、持病を患っており、その関係で簡単にはバイトができないのです。なんと不便な体か。我が身を何度呪ったか。
なれば、男の分の食料を食えばいいと、そんな言葉もあるかもしれない。結論、無理です。
そう言うのにはすぐに気付きます故、すぐばれます、ばれた場合、本当になにももらえません。
そんな感じで私は仲睦まじい家族から一転しまして、このような家庭となりましたとさ。
まぁ、こんなことをここで登呂したところで何が変わるって訳じゃないですけどね