朝起きる。
嫌な事をしこたま思い出す。過去、家族、環境、現状、何一つとして良くない。
考えれば涙が出てくるだけ。
これらを認知してしまえば、あとは悲しさが後からついてくる。
だから、処方された抗不安材を二つ飲んだ。
そうするとあら不思議、心地よい若干の微睡みがやってきて今まで感じてきた苦しみも悲しみも何処かへ溶けていってしまったみたい。
なんだか小さな事が面白い気がしてクスクス。さっき何を不安に思っていたんだっけ?なんだったっけ?まぁもうどうでもいいんじゃない。
今はもう苦しくなんてないのだから。
認識が変わった。世界が変わった。
どっちが本当の自分が見ている世界なんだろうかなって疑問に思う。
薬を飲まずに苦しい事だけが認識される世界?
それとも薬を飲んで苦しい事が認識されない世界?
結局人間の脳みそは、ただの有機的なコンピューターなんだなぁって痛感します。
自己だとか自分だとか、そんなものなんて存在しはしない。
一秒一秒脳細胞が入れ替わっていて、その中で外界からの入力に対して受け継いできた過去の記憶と照らし合わせてそれが快か不快かを判断する。
そしてそれは、専門に訓練された精神科の先生のチューニングによっていとも簡単に変わる。
魂だとか、霊魂だとか。今の自分の状態からするととてもそんなのが存在するようには微塵も思えない。
もし絶対の自己があるのだとしたら、どれが絶対の自分なのかな?って考える。
薬を飲まない自分?それとも薬を飲んで脳内物質をちょこっといじった自分?
自分が見てる世界が良いか悪いかは、見てる世界で何が起こっている事よりも今日飲む薬の量で決まるんです。