12歳の時の、生徒からのいじめと教師からの性暴力から、統合失調症と鬱の治療を続けて、今や私も成人して、来年には32歳だ。
それなのにどうしてか、昔よりも今の方が弱くなってしまった気がする。
薬はちゃんと決まった時間に服薬をしている。日光を浴びた方が良いというので、洗濯物を干すなどで外に出るようにもしてる。知っている人間に合うのが怖いから、運動は家の中か早朝4時くらいの散歩。
でも、無呼吸の治療でシーパップを貸してもらったのに、そちらはマスクをつける練習をしている姿を笑われてから、どうしてか過呼吸が出るようになってしまって、続けられなくなった。笑われただけで出来なくなって、今は返却した。
私は随分と、心や体が弱くなってしまった気がする。
笑われるのが怖い、人の体が少し自分に触れただけで家族ですら吐いてしまう。
子宮がん検診の、お医者さんの医療行為ですら、後でトイレで吐いてしまう。
ほんの少しつらいだけで、昔を思い出すものを見るだけで、過呼吸や硬直が起こる。言葉が出なくて、手が震えてしまう。いじめ描写ではなく青春ドラマで、性犯罪ドラマではなく、恋愛映画で。家族の笑い声、怒鳴り声で、すぐにつらくなる。
昔はもっと強かった。それこそ、中学生の時は「今から学校を休んでたら社会で生きていけない」と怒られたり、「先生が触ってくると思うなんて自意識過剰だ、年頃になったからか」と笑われたり、「いじめに負けて悔しくないのか」と怒られたり。そういう風に、今よりもっとつらかったのに、今よりずっと頑張っていた。朝に吐いても学校に行ったし、お腹を殴られたり背中を踏みつけられたりしても、ちゃんと部活に出た。勉強で一番を取ったら地元から離れて勉強してもがり勉って言われない学校に入れると思って、0時に寝て4時に起きる生活だって出来た。それなのに今は、何にも出来ない。
あれだけ好きだった小説が上手く読めなくなった。短文ではあっても小説を書くことだってあったのに、数か月に一度、3000文字位書けたら良い方。事実を書くのはどうにかできる、でも、昔みたいに楽しい、夢みたいな物語が書けなくなった。漫画も絵本も頭に入って来なくて、アート集の絵も何を描いているか分からなくて、ただ明るい色だけを追うみたいに眺めてしまう。
大きい音を聞くと直ぐに固まってしまう。笑い声でも怒鳴り声でも、それがフィクション作品でも。言葉がどもって、何度もつっかえて、単語が出ない。単語を繋げられない。まともな言葉も話せなくて、周りを困らせてしまう。
人の密集したところにいられない。映画館やファミレスが怖い。周りが家族や知人でも、密集する場所にいたくない。攻撃されると毎回思う。されるわけじゃないのに、此処にいるとまた酷いことをされると思う。
家族の行動に酷いことを言いそうになる。近所の子の姿が見えないと「学校が嫌なんだろうか」と心配して、私が休みたいと言った時は「中学に入ってなまけ病になった」と笑ったのに、私がどんなことをされたか気づきもしなかったくせに、なんで他人の子は心配できるんだろうと思う。その子は何も悪くないのに、他人が何で心配してもらえるんだろうと、幼稚なことを考える。
妹にも酷いことを考える。10歳年下の、何も悪くない妹が、大学や暮らしの愚痴を言ってそれに応える家族に憎悪してしまう。私は中学生の時すら聞いてもらえなかったのに、そもそも、10歳も年下の妹がいなかったら、手のかかる年頃の妹がいなかったら、私のいじめや性暴力の相談も、時間を割いてもらえたのかもしれないのに、なんて、悍ましいことを考える。
何も悪くない妹にこんな憎悪を向ける私は、私に暴力を振るった先輩や同級生や、私に性加害を向けた顧問と変わらないくらい化物だ。汚くて気持ち悪い。
何もかもが弱くなってしまった。すぐに涙が出る、すぐに吐いてしまう。薬を飲んでいるのに、ちょっとしたことで苛立って怖くなって、落ち着いていられない。健康の為に痩せなきゃいけないのに、シーパップさえ出来なくなった。
昔みたいに強くなりたい。痛くても怖くても立ち上がるような強さを取り戻したい。小説も書きたい、人とまともに話せるようになりたい、自立して働いて暮らせるようになりたい。頭の中にある憎悪で誰かを傷つけてしまう前に、一人になりたい。元から恋愛感情も性欲もなかったから、結婚する気もない、子どもを産む気もない。私みたいな人間を増やさないように、一人っきりで生きて死にたい。
こういう考え方がまともじゃないと言われるかもしれない。大人になることから目を背けてるだけとか、反出生主義なんて生物の自然に反してるとか、今までにも言われた。
私は穏やかに安心して暮らしたいだけだ。反出生主義だからって子供が死ねば良いなんて言わない。すでに生まれた子供達は幸せになって欲しい。ただ私は産まないだけだ。私のような気の利かない女が子供を産んだら、きっとその子がいじめられた時に守ってやれない。気づいてもやれない。そもそも、男にも女にも恋愛感情を持ってない私だから、子どもを作ろうとしたら自分の淋しさや不便さを埋める為に産もうとする。そんなのは間違いだ、愛の証とか大人としての責任とか国の未来の為とか、そんなことの為だけに苦しむ可能性の高い命を生み出すことを、私は許せない。
どうしようもない欠陥品だと思う。こんなにも出来損ないに生まれてしまって恥ずかしい。それでもまだ、生きていかなきゃと思う。死んだらきっと、妹の迷惑になる。自死なんて選んでしまったら、成人した妹の人生を壊すかもしれない。
だから、妹が完全に自立するまでは生きたい。妹が恋人と結婚して、家を出る頃になら、きっともう私とも疎遠になるだろうし。だから、それまでは我慢したい。何も悪くない妹に、当てつけのような死に方をしたくない。
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