どうして今頃、Nさんのことを思い出しているのか。
それは横溝正史の映画を見直したからだと、遅ればせながら気がついた。
横溝正史の有名な映画作品。そこに地名が出てくる。
まだそれぞれ初対面の域を出ない時期に、Nさんは自分の出身地、親が公務員で働いているところの読み方を、片っ端から読ませ、間違えたら、正しい読みを教えていた。
私が聞かれた時、ちゃんと答えられた。地名は音読みするか、訓読みするか、どっちかが多い。Nさんのは訓読みすればいい。
地名は珍名まであるぐらいで、それらと比べると全然、難易度は高くない。
それに、私は前もって別の人から、Nさんが必ずそれを聞くから、正解はこれねと、教えられていた。
そんなのでマウント取る人がいるとは、思ったことがなかった。その割に、漢字の読み間違いや敬語間違いが多いNさんだった。
親が公務員で、という話を覚えていて、ふとその映画で疑問になった。〇〇町、なのだ。Nさんは一生懸命、その○○を読ませていた。市ではない。町、ということは町役場ということか?
今でこそ、合併して市になっているが、当時は独立した町で、映画がつくられた当時も町だったのだ。
両親そろって公務員…町役場も市役所も、その頃夫婦そろってというのは禁止されていた。職場結婚の場合、どちらかが辞職することになっていた。
私たちが思い描く公務員というのが、市役所、県庁などであるが、各施設などにも公務員は存在する。警察も公務員。
そういや保護司も国家公務員。
今は結婚して、一方が辞職なんておかしくないかという動きはあるが、まだ慣例としてそうなっている。
町役場以外なら、別の種類の公務員。国家公務員でもなく、市役所でもなく、はっきり公務員の中でも、あまり…という公務員。
警察などだったら、Nさんはそのことをもっと言っただろう。
他の知り合いで、親が警察というのが数人いるが、かなり仲良くなってから、そのことを言うが、Nさんは違う。
私の憶測だが、Nさんは最終的に実家に帰るしかなかっただろう。どこに行っても、協調性も礼儀もないのに続かない。
生活に困ったら実家に戻る。
横溝正史の舞台に。その映画がおどろおどろしいものだけに、その地域が呪われているかのように錯覚する。
今は周辺の町と合併して、観光都市の一部に名前を残している。
合併があると、元の町役場は市の支部になることが多い。でも、あまり言えないほうの公務員は退職になることが多い。
市町村合併がいつのことかは知らないし、そんな町の名前が読めるかどうかなんて、なんの役に立つのだろう。
このNさんもだが、その地域で似た思想の女性がいたのだ。
学校は遊びに行くところ、勉強は塾や予備校でする、という極端なもの。
私たちの大学があった地域でも、その傾向は強かったが、自分の偏差値や能力をわかって、学校を選び、受験する。
彼女たちは、それぞれ、自分の能力以上に、自分を過信し、現実との差にうちのめされ、仕事でやっていけなくなった。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください