じいちゃんが死んだ。
私は正直あまり会ったことがない人だったけれど、思うことがたくさんあったからここに書かせてほしい。
死んだと知ったのはニュースでだった。そのニュースを見ても私は「あぁそうなんだ」程度にしか思わなかった。
突然の死だったから、みんな(特にお母さん)は受け入れられてないように見えた。
お母さんが最後のお別れをしたいと言ったから、お父さんが車で7時間かけて私たちをじいちゃんの元まで連れていってくれた。
1日目。
一日目は午前の間に家を出て、親戚にご挨拶をして、軽く死んだじいちゃんの顔を見ただけ。
この時私は少し怖くて、じいちゃんの顔を見れなかった。
お母さんが棺の前で泣いてる中、飾ってあるじいちゃんの写真はずっと笑ってた。
すごく優しい人だったんだろうなぁ、って思った。
でもなんだか死体が目の前にあると思ったら少し怖くて、私は姉の手をずっとぎゅっと握ってた。
2日目。
火葬の前に、最後のお別れをした。
そこに居たのは私含め15人程度。
体はボロボロみたいだったけれど、顔は無傷だったみたいで、ただ眠っているようにしか見えなかった。
顔色は真っ白。眠っているようにしか見えないとはいえ、死んでるんだなって分かる顔色だった。
私は少し怖くてできなかったけれど、頭を撫でたり、手を握ったりできる時間があった。
ばあちゃんは体が弱くて、娘さんに支えてもらいながらお花を入れたり撫でたりしていた。
泣きながらずっと撫でてた。
遠くからその様子を見守る、その棺とかを運ぶ仕事の人かな?そこで働いてる人の表情がどこか辛そうに見えたのをよく覚えてる。
私は足元にお花を入れた。よくわからないけれど、みんなお花を受けとっていたから私も真似をした。
みんなお花を入れ終わっても、ばあちゃんだけは撫でるのを辞めなかった。
その姿を見て、始めてこんなに人が死ぬって重たいことなんだ、って理解した気がした。
滅多に人前で泣かない、弱さを見せようとしない姉も泣いてた。
私はその涙に気づかないふりをした。
私も釣られて涙が出そうで、堪えるのに必死だった。
泣くばあちゃんの後ろに、小学生の低学年くらいの女の子がひとり居た。
重たい雰囲気の中、その子はニコニコしながら棺の中に折り鶴を入れてた。
私も小学二年生くらいの時、ひいおばあちゃんのお葬式に出たことがある。
でも、正直記憶に残ってない。どんな物なのかもわからない。
きっとこの子もそうなんだろうな、死ってよくわからないだろうなって思った。
どうしてこんなに泣くのか、こんなに重たい雰囲気なのか知らないだろうな、って思った。
お別れの時間が終わって、火葬の準備をする。
合掌をして、火葬される部屋に入るのを見て、私は心から「じいちゃんが幸せでありますように」と願った。
第2のばあちゃんは、じいちゃんの火葬中近くのベンチから離れなかった。
「きっとあっついだろうから、あたしはそばに居る」って言って離れなかった。
そっか、って言って、私もその隣に座った。
火葬が終わって、骨を箱に入れる時。
さっきまで眠っていたじいちゃんが骨になって帰ってきた。
バカみたいな感想だけど、人間の骨って本当に存在するんだって思った。
じいちゃんは糖尿病だったから骨はボロボロだったけれど、立派な骨だった。
それから、お葬式の場所に向かう。
知らない人とかお偉いさんが入ってきて、私は何をすればいいの分からなくて姉と突っ立ってた。
とりあえず姿勢よくしておかないと、と思ってピシッと立って遠くを見つめてた。
あとから聞いたら、2人とも堂々としてる上に姿勢が良すぎて話しかけていいのか悪いのかわからないほど硬い雰囲気だったらしい。
お坊さんが来て、お経を唱える。
よく分からないけど、燃えカスみたいなものを摘んで石に振りかける、みたいな作業をした後にお辞儀をした。
お辞儀をするために振り返って色んな人の顔を見た瞬間、こんなに多くの人が一人の人間のために集まったんだ、と思って、素直にすごいと思った。
次の日は学校だったから、お葬式が終わったらすぐに車に乗って帰った。家に着いたのは夜中の二時頃。
心に穴が空いた気分。1ヶ月分の疲労を2日に詰め込まれた気分。
つかれた。でも、いい経験をした。
家族みんなで死について話し合って、頑張って生きようね、みたいな会話をしたら、死にたいっていう気持ちが少しだけ薄れた気がした。
でも今私は絶賛鬱期に入ってる。落ち着かない。
鬱期になった理由がじいちゃんなのか、普通にそういう時期だったのかはわからない。
それと、死って言葉ってすごく軽く使われてる言葉だなって思った。
むかつけば死ねって言うし、嫌なことあれば死にたいって思うし、嬉しい時は死ぬって騒ぐ。
結局私は死について理解したフリをしながら、全く知らなかったんだなって思った。
長文書いたのにまとめの言葉が思いつかないから軽い言葉になるけど、よく考えさせられる、命の尊さを知った機会だった。
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