姉の誕生日、LINEでお祝いをしなかったら母に電話で「よければ今からでも祝ってあげてくれない?」と頼まれた。
「ほら、お母さんのときはスタンプ送ってくれたけど、ね?」
「去年も送ってなかったし」
「〇〇(姉の名前)もなんかもらえなくてしょんぼりしてたからさ、……いや、こんなの頼むことじゃないし決めるのは湖だけど」
正直母にLINEを送るときもためらったけど、えーいままよという感じで送ったのは黙っておいた。
「あーうん、なんか忘れちゃってた」
「気が向いたらするね」
「テストで忙しかったし、週末にでも連絡するかも」
なんて言って電話を切った。
スタンプの一つ
「おめでとう」って送るだけ。
それだけのことなのに
なんでこんなに気が重いんだろう。
そして「決めるのは湖だけど」なんていいながら、どうしてお母さんはわざわざ連絡してきたんだろう。
あーそろそろ誕生日だなとは思ってた。
今年はおめでとうの一言でも言ってあげようと思ってた。
でも結局忘れた。
本当に忘れたのか、忘れたことにしたのかはわからない。
昔はそんなことなかったのに、最近、姉と話すとき体に力が入るのを感じる。
喋るごとに自分の中身が検閲されるような気持ち悪さを感じる、姉は多分ただ話そうとしているだけなのにね。
Instagramのプロフィールを変えたこと、そしてその内容に姉がわざわざ触れてきたとき、気持ち悪さと息苦しさとよくわからない憤りで「え……なんで知ってんの?」って冷たい声が出た、たまたま見ただけに決まってるのにね。
でもしょうがない、ちょっとでも気を抜くと今度はわたしが持ってかれてしまうんだ。そのことを、最近になって身をもって学習した。あまりに肉体的、物理的な事実によって。
姉と仲のいい姉妹を演じた後、あるいは演じている最中、わたしは必ず体調が悪くなる(演じているという言葉が適切なのかはわからない、ただ、仲良くするとってこと)。
とくに消化器系がやられる。
一回家族旅行中に吐きすぎて脱水症状で救急車で病院に運ばれたことがあった。
多分姉は無自覚に私に対して干渉的な発言をしてしまう人で、そして私はそれを無自覚に受け入れてしまう人で
何にも考えずに仲良く会話してると体の方が先にキャパオーバーになってしまうのだろう。一緒に住んでた頃はそんなことなかったのに、不思議だなあ、とは思う。
自覚したのはいいものの、この傾向性に少なからず気がついてそうな母の存在を疎ましいな、とも思った(私が体調を崩したとき、やっぱ家族で会うと……みたいなことを言いかけていた)。
何が疎ましいって……なんだろうな。
かわいそうに、みたいなポーズはとるくせに、絶対に私に寄り添いはしないことを知ってるからなのかな。
結局いつも癇癪持ちの姉のご機嫌伺い。
その次には、自分の気分次第。
母姉ともに、罪悪感を感じればそのことを積極的に口に出して、私に「しょうがないよ」と言わせるようなところがイラつくのかもしれない。
まあ、過去には自分から積極的にそういう言葉を使っていた人間が今更何のつもりだよと言われたらぐうの音も出ないんだけど。
はあ、今年の家族旅行が憂鬱だ。
楽しめるといいけど。
というか
体調不良を起こさないといいけど。
姉を中心に私の家庭はこんなにも機能不全に陥ってるくせに、当の本人は「湖がいないとさみしいよ」なんて言ってくるのだから、本当によくわからない。
と、思ったけど、よくよく考えたら姉がそう言うのは多分、姉にとっては私は家族で1番姉の言うことを聞くのも機嫌を取るのもうまいからなんだろうな。
それ以外本当によくわからない。仲良しな妹のアクセサリーが欲しいとか、そんなくらいのことしか思いつかない。
姉がどれだけ私との間の絆を飾り立てようとも、実際に私に対する愛情を感じていようとも、私はもうとっくにそれをただのハリボテとしか見なせなくなってしまった。
そしてそれは、母や父に対しても同じ。
どんな感情を抱けばいいのか
私にはもはやよくわからない。
思ってもいないありがとうを
笑顔で言うのが上手くなった。
薄情な娘でごめんね。
部屋の整理をしてるときに
「子は親を救うために心の病になる」
なんて本が出てきちゃってごめんね。
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