俺はこの世界が嫌いだ。
不平等に命が分け与えられて望んでもいないのに生きて死んで殺して殺されて、平和だとか希望だとかそんなものはないのにそれを願って、有ると信じてそれに縋って生きていく。
人も犬も猫も蟻も象も、すべての命の重さは平等だと言うけれど、何もかも人間が優先で、特に蟻などの虫はすぐに殺されていく。
人が生きるために家畜を飼って、植物を育てて、工場を建てて住宅を建てて、自然を破壊していく。
自らの手で自分の未来を失くしていく。
なんて無様で愚かなんだろう。
人の悪口も数人ではないと言えない。数的優位の状態でしか攻撃ができない。
自分より弱いものにしか喧嘩を売れない。
平和を求めるために戦争をして、平和から遠さがる。今この瞬間にも誰かが犠牲になっている。
そんなことも知らずに世界は回る。
人が滅べば世界は平和に回るんだろう。
ありえないことだから予測に過ぎないが。
でも、俺は夜に吹く涼しい風が好きだ。あの子と話しているときが好きだ。青空に映える入道雲、夕焼けの紫がかった空、夜空に浮かぶ月が好きだ。ぼーっと昼寝をするとき、絵を描くとき、ギターをしているときが好きだ。春の暖かく穏やかで涼しい風、夏の蝉が鳴いているのを聞きながら木影の涼で涼むのが、秋の夕暮を見ながら考え事をすること、冬に小さな雪だるまを作ることが好きだ。
この世界は少しだけ好きだ。