わたしのアール　くらげP　手直しありのまとめです。

わたしのアール くらげP
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はじめに。

この物語を読む皆様にお知らせ致します。
この物語は、頭のおかしい中2が書いた物語となっています。
そのため、過度な期待はご遠慮願います。
また、物語内での過度な暴力表現などがございましたら、この小瓶のお返事欄にてお知らせ頂けると幸いです。
最後になりますが、この物語は作者が心を込めて作ったものです(多分)。
誹謗・中傷はお控えください。

それでは、物語をお楽しみください。

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“心が空になった”
暗い夜の空の色のように、何もかもを吸い込んでしまうのだ。
何も感じることができないのだ。
もう悲しくもない。
辛くもない。
きっと感覚が麻痺したのだと、
きっとおかしくなってしまったのだと、
本気でそう思った。

そう思っていた。


風がない。
穏やかな日だ。
きっと明日もこんな日になるのだろう。
まあ、わたしは明日を見られないんだけどね。
今日はとても暖かい。
気持ちが落ち着く。
よかった
こんな日に死ねるなんて本望じゃないか。
階段をゆっくり上る。
時間をかけて登ってる理由？
いや、別にこのあとの予定なんてないもん笑
最後くらい自由に行こうよ
ここがわたしの死に場所なんだから
掃除もしちゃう？笑
この階段もあと少しだな
もう少しで、わたし死ぬんだね
実感わかないなぁ
風が吹いて、髪が揺れる。
飛び降りるときは靴を脱ぐんだっけ
何でだろうね
階段を登り切った。
屋上の風が強く吹く。
これからわたしは飛び降りるのだ。
この素晴らしいほどに醜い世界を呪いながら。
律儀に靴を脱ごうとする。
だが、屋上に居る三つ編みの子を見つけてしまった。
あれ、人がいる
なんでだろう
わたしは気が付いたら話しかけてしまっていた。

「ねえ」
「やめなよ」

[何？]
[話しかけないでよ]
[邪魔しないで]
[何したいか分かるでしょ]

棘のある声で拒絶される。
何をしたいか、なんてそんなの、話しかける前から分かっている。
分かるに決まっているじゃないか。
こんな日に屋上で靴を脱いでいたら、嫌でもわたしと同じことをしようとしていることがわかってしまう。

[もう苦しいの]
[好きな人に見てもらえないの]
[大好きな人だった]
[誰よりも愛していた]
[それなのに、それなのに彼は…私を見てくれなかった]
[私だけのものになってほしかった]

彼女は目を伏せながら言う。

「何言ってんの」
「ふざけないで」

乱暴な言葉が口をついて出た。

[は？]
[あなたなんかに私の気持ちが分かるわけないでしょ!!]

彼女は叫ぶ。

何を言っているんだ、彼女は。
何故そう思えるんだ。
分かるに決まってる。
分からないものか。

「…彼は元からあなたのものではないのに」

つい小声で言ってしまう。

「なにが“見てくれなかった”だ」
「自分のものでは無いくせに」

彼女は驚いたように口をつむぐ。

「手に入らないだけでしょう？」
「あなたは彼を手に入れるために何を失った？」
「なにか失うものはあったの？」

[…]

「それだけで命を無駄にしないで」

十秒程度の間が空く。

[ごめんなさい]
[ありがとう]

そう言った後、彼女は少し笑って帰って行った。


さあ、やっと邪魔ものが居なくなった
これでわたし一人だ

ふと、後ろに人の気配を感じる。
嫌な予感がしながら振り向くと、背の低い女の子がたっていた。

「何しに来たの」

わたしは唸るような声で言う。

【そっちこそなんでいるの】
【私一人だと思ったのに】

不満げな声で言われる。

「知らないよそんなの」

イラついたわたしは、少し棘のある声で帰す。

【取り敢えず帰ってくれない？】
【私今から大事な用事があるの】

そんなこと急に言うなよ
お前の用事なんて知らないよ

「残念ながらわたしも大切な用事があるので無理ですね」

【はぁ？】
【お前の用事なんて知らないよ】

わたしが思ったことパクるな
著作権侵害だぞ
取り敢えず帰ってくr

【まあ取り敢えず帰ってくれ】

「え、あの著作権侵害って知ってます？」

【何急に】

やばい、つい言ってしまった
まったくもう、言うこと被りすぎなんだよ、、、

「ううん、なんでもないよ」

【はぁ、、、】
【やれやれだね】
【これだから年下は、、、】

「はぁ？」
「何が年下よ！！！」
「多分同い年でしょーが！！」

【は？】
【お前一体いくつよ】

「16だよ！！」

【わぁお同じや】

見事に同じじゃねぇか

「きゃ～おそろ～い！！」

【五月蠅い黙れ】

あの、この方冷たすぎじゃありません？？？
まあいいけど

「そもそもあんたさ、なんでまだ若いのにそんなに死にたいわけ？」

【いや誰も死にたいとか言ってねぇよ】
【そもそも同い年だろうが】

あれ、それもそうだ

「まぁ良いんだよそんな細かいことは」

【うん良くないし細かくないと思うよ？】

「まあまあ落ち着け少年」

【少女の間違いだよくそばばあ】

「うぉん？君さっき同い年って主張してなかったっけ？」

【まあ良いんだよそんな細かいことは】

ふざけんなよてめぇ☆

「しょうがないな、わたしは心が広いから許してやる」

【そう言ってる時点で心広いのか怪しいですけど？】

「くっ、、、」
「勘のいいガキは嫌いだよ」

【16ってガキに入るの？】

「入んないと思う」

【ガキ扱いしやがって、、、ぶっ殺すぞてめぇ】

きゃぁ怖～い

【んで、、？】
【なんで私が死にたいと思ってるってわかったの？】

「あぁ、当たってたの！」

【当たってた、とは、？】

「当てずっぽで言ったんだよ☆」

首を絞められかける。

「ごめんて嘘だよ」

【次ふざけたら絞め殺すか此処から落とす】

「レッツダイビング！」

やば、すごい形相で睨んでくるじゃん

「ごめんて」
「、、、」
「あのね、あなたが死のうとしているのが分かった理由はね、」

「わたしも同じことしようとしてたから、だよ」

【は？】
【あんたと同じとか死んでも嫌なんだけど】

「死のうとしてたくせに」

【ツッコミの意味が不明すぎる】

「それなわたしも思った」

【じゃあ言うな】

「考える前に口から出たんだよ」

【考えてから口に出せ】

「ごめんそれわたし無理なんだ」

【だから嫌われるんだぞ】

「うわどストレートに痛いとこついてくるじゃん」

【わざと痛いとこついたんだよ】

「うわこいつ酷だから嫌われるんだよ」

【お前も痛いとこついてくんな】

「痛いとこ探したんだよばーか」

【暴言のレパートリー小学生かよ】

「お前一回ジメチルカドミウム浴びてこい」

【何それ】

「危ないやつらしい」

【雑だな】

「今調べた」

【どうやって、、、、】

「行間の間で」

【メタいことすんな】

【そして急に理科出してくんな】

「だって小学生って言われたから、、、」

【拗ね方も小学生かよ】

「五月蠅い！！ばーかば－か」

【知能指数下がった？】

「下がってない！元からだしばーか！！！！」

【お前そのキャラだったら嫌われないと思うけどな？】

「わたしもお前そのキャラだったら嫌われないと思うよ？」

【嫌われたくなさ過ぎて真面目キャラに転生したら嫌われた】

「わぁお転生できたんかい」

【比喩だよ】

「比喩の使い方間違ってるくね？」

【五月蠅い黙れ糞ガキ】

「うんなんでわたし今けなされた？」

【気分】

「やっぱりお前一軍女子の毒舌ポジに入れよ」

【残念でした、五軍女子ですぅ】

「五軍って初めて聞いたよ」

【陽キャすぎだろ】

「残念でしたわたしは六軍です」

【六軍こそ聞かねぇよ】

「ごめん本当は1,5軍」

【何それ】

「一軍の取り巻きたち」

【一番存在感ないやつじゃん】

「黙れよ五軍」

【五月蠅い取り巻き】

「お前やっぱり一軍行けるんじゃね？」

【嫌だ私死ぬもん】

「いじめられてたもんな」

【そうだよ？】
【無視されたり、弁当食われたり、落書きされたり、弁当食われたり、靴捨てられたり、弁当食われたり、、、、】

「弁当への執着よ」

【仕方ないでしょ！！】
【あんな毒入りの弁当、他の子が食べたら可哀想じゃない！！！】

「なぜ毒」

【母親の料理馬鹿みたいに不味いんだよ！！！！】

「やめなさいお母さんに失礼だろうが」

【え、食べる？死にかけるよ】

「うん遠慮しとく」
「てか弁当奪ってった奴の心配とか優しすぎだろ」

【えだってクラスメートが死んだら嫌じゃん】

「うんやっぱり良い子」

【もういい！】

「お前も拗ね方小学生かよ」

【いい！！！！】

「やめろ落ち着け」

学校のチャイムが鳴る。

【おなかすいたぁ、、、】

「よし、帰宅だ帰宅」

【せやな】
【帰るわ！】

「うん帰れww」
「温かいご飯が待ってるよ」

【毒入りのねw】

「可哀想に」

【おなかすいたよぉぉぉう】

「自分で作れ」

【あそれ天才】

「もっと崇めろ」

【帰るわ】

「ねえ崇めて」

【知らねえよ】
【また学校でな】

【ばいばい】

背の低い子は帰っていく。

「、、、」
「なんだよあいつ」
「騒がしいやつ」
「死ななくてよかったけどさぁ、、、」

やっと一人になった。
風を感じる。

ふと、視線を感じた。
黄色いカーディガンを着ている女の子が後ろに立っている。
お前らわたしを死なせる気ないだろ
気すぎなんだよ
この学校こんなに自殺願望者多くて大丈夫か

仕方なく、わたしはカーディガンの子に声を掛ける。

「ねえ」
「なんでここにきたの」

女の子は目を伏せて呟くように言う。

『もう耐えきれない』

「何があったの」

『見て』
『この痣』

黄色いカーディガンの子は袖をまくる。

わたしは息を呑む。

「…これって…」

『そう』
『実の親に、ね』

「…」


何も言う言葉が見つからない。
彼女にどう言えというのだろう。

無言の時間が続く。

『ねえそんな真面目にならないでよ笑』

「だって、」

『もしかして、虐待、、って知らない、？』

「違うよ、、」
「逆、」

『逆、とは、、、？』

わたしは無言で袖をめくる。

『え、、、、』

「ね、、、お揃い、だよ、」

数秒の間。

「やめて、」
「いかないで、、」

わたしは絞り出すような声で言う。

「お願い、、、」

消えかけるような、か細い声で、だけど必死になって言葉を紡ぐ。

「逝ってほしくない、」
「本当にお願い、、、」


『そんなに泣かないでよ笑』
『そんなに泣かれたら一人で逝けないだろーがよぉぉ』
『…』
『ほんっと、ばか、、、、』
『じゃあさ、』
『…』
『今日は、やめておくね』

彼女は少し悲しげに微笑んで、
そして、帰って行った。

少しして、わたしは綺麗な朱色に染まった夕焼け空を見上げる。
涙目だからだろうか、空の色がぼんやりと滲む。

「良かった」
「やっと誰もいなくなった」
「わたし一人だ」
「もう邪魔されないんだ」
「…」
「邪魔してくれる人はいないんだね、」

十秒程の間。
消え入りそうな声で呟く。

「やっぱり無理だよ」
「死にたくないよ」
「嫌だよぉ」
「誰か来て」
「誰か止めて」
「お願い」
「助けてよ、、、」
「寂しいよ」
「苦しいよ」
「誰か助けてよ、」
「悲しいよ」
「辛いよ」
「ごめんなさい」
「死ねないよ」
「、、、」
「死にたく、、ない、よ」

心が空になったなんて嘘だ。
そう思わないと、
そう信じ込まないと、
わたしが壊れてしまうから。
今まで頑張ってきたものが崩れてしまう気がしたから。
だから、
心が無くなった、と思っていた。
思い込んでいた。

でも気が付いたんだ。
わたしは死にたくないことに。
今までさんざん理由を挙げて自分のことを止めてきた。
でも、もう限界が見える。
虐待のことを止めるのは無理だった。
他のことなら、自分でもなんとかできた。
でも、もう限界だった。
無理だと、はっきりわかった。
もう自分では、どうにもできない。
もう自分では、止めることはできない。
どうしようもない。

一人寂しく、暗くなった夜空を見上げる。
吸い込まれそうな色をしている空には、点々と星がちりばめられていた。
それを見て思い出す。

―夜の色は、黒一色じゃなかった
―星があってこそ、綺麗な“夜空”になるんだ

きっとあの星は、わたしの中の幸福にあたるものなのだろう。
辛いことや、苦しいことがあるからこそ、その幸せがはっきりと分かるのだろう。

でもわたしは弱いから。
だから、苦しさや辛さがあることに耐えられなかった。
もう無理だと、自分から諦めてしまった。

そんな意気地なしのわたしは、
この綺麗な夜空を眺めながら、
自分の中にあったはずの星を見つけられないまま、
星を探しに行くために、

今から飛ぼうと思います。