初めてリスカをした。
テスト一週間前だった。
買い出しに行って親がいない隙を狙って一階のリビングからカッターを二階の自分の部屋へ持ち込んだ。
最初は本当に小さな傷で少し血が出ただけでなんだか嬉しかった。
わたしも生きてるんだなって、思った。
少しだけ気が楽になった。
それから一週間と少しが経った。
今の私の腕は手首から肘までの半分くらいがリスカの跡がついて血が滲んでる。
Twitterとかで見るような血がドバドバ出てるようなものじゃないけど、それなりに深い。
リスカに対する恐怖よりも、やった後のすっきりとした感じを求める気持ちの方が勝った。
カッターはまだリビングに置いたあったものを使ってる。
少し前、親に「あのカッターどこ行ったかしってる?」って聞かれて無意識に「工作で使ってたから二階に持ってちゃってる、後で返すね」と答えた。
カッターのことを聞かれたということよりも自分の嘘が上手くなってしまったことに驚いた。
いつもの会話のように口から言葉が出たのだ。
確かに私は演劇部だけど、カッターの場所聞かれる可能性も考えていたけど、こんなにもサラリと嘘をつける自分に乾いた笑いが出た。
あーあ、わたしってば勉強から逃げて何やってるんだろ。