秋の夕焼けはとてもきれいですね。日が傾き始めると空が赤く染まりだし、やがて紺色の空から一番星が輝きだす、その情景には誰しも目を奪われます。日が沈んでしばらくの間は暗くならない。山や木のシルエットが見事に映し出される瞬間。この時間帯を薄明(はくめい)と言うそうです。どうやら上空の大気が太陽光を散乱して光っている時間のことらしいです。■薄明には、三つの区分があるようです。日没後、戸外でもう少し活動ができる明るさを(常用薄明)次に地平線や水平線が見える明るさで、空がやや暗くなり1~2等星が輝きだす頃を(航海薄明)さらに辺りが暗くなり星座をかたどる星の大部分が見え始める頃、空はかすかな明るさだけとなります(天文薄明)そして、夜の静寂がやってきます。当然、薄明の持続する時間帯は季節によって異なります。夏期は、約100分。冬期で、90分。春分・秋分の日が一番短いようです。だから今の時期は、暮れるのが早いのですね。■どの季節にも夕焼けはありますが、とりわけ秋がきれいな理由とはなぜなのでしょう?秋と似た気候の春は、大気中の埃(ほこり)が多く舞っていて花粉や黄砂が原因で見えにくい。夏場は、空気は澄んでいますが、通り雨も多く水蒸気が光を反射させ赤く染まりません。では、空気がきれいな冬は?と言うと逆に澄みすぎて光が空とうまくなじまないらしいです。結果として夕暮れが一番きれいなのは、今の季節だということらしいです。■毎日、無数の黄金色を反射させる夕焼け。千変万化(せんぺんばんか)(変化し続けること)の空の色は何色(なにいろ)とも表現できません。様々に変化し捉えることのできない色の名前を「至極(しごく)色(いろ)」というのだそうです。