ひとりごと。「ひとはなにかを考えずにはいられない」そうで、ぼくの場合は御託を並べだす。ことばで飾って少しでも綺麗になりたいと思っているのだろうか。
結果として、ぼくはぼくを見失う。
「お前ら愛してるぜ」
これは、ぼくのなかから出たことば。
「人間なんて嫌いだ」
これも、ぼくのなかから出たことば。
どちらが本音なのだろうか、どちらも本音なのだろうか、あるいは──どちらも嘘なのだろうか。
ただ綺麗なことばを欲した。そんなぼくのことばは、語感だけで成り立っているのかもしれない。(いきがってる?寒い?……まったくその通りだと思う)
醜いものを避け、綺麗なものを欲したぼくだから、語感で選んだことば達の羅列に意味なんてなくて。
「本当に思ってる」とか、「嘘をついている」とかはことばの食感を前にして些事に過ぎなかったから。
見落とした。ぼくは、ぼくがわからない。わからなくなってしまった。それは、困る。
問われたときに何も言えなくなってしまう。また、好きな感触が口をついて出る。ぼくは嘘をつきたくないのに。ぼくは真実でいたいのに。
……そんな叫びさえ、ただ己に陶酔した自分の虚言である可能性を否定できずにいる。