母親は私のことが嫌いでよくいびられてた
小さい頃、力もないくせにプライドだけは彼女と同じくらいあったものだからよく大喧嘩をしてた
大抵、私が殴られておわった
男の子だったら良かったって何度も思った
そうしたら私もお兄ちゃんみたいに可愛がってもらえたのにって思ってた
大きくなればいびられなくなると思った
実際そうだった
高校生になる頃には母親が私に何かしてくれることがなくなり衝突も減った
いつか忘れたけど母親に学校のことでねちねち言われたか何かでイラッとして言い返したことがあった
正直言われた内容はどうでもいいようなことだったと思う
でも家事をしないのは別として散らかし放題なこととか我儘放題な母親に対する不満が爆発した
怒鳴られて殴られて胸ぐらを掴まれた
カッとなって胸ぐらを掴み返した
ずっと避けてきた母親を至近距離で見つめた
私はこの人より大きく強くなったんだなと思った
蹴ったり殴ったりしたら怪我させることもできる
彼女は強がりか殴りなさいよと言ってきた
私は今まで母親から殴られることはあっても殴り返したことはなかった
この人ために自分の拳を痛める必要はないと思えた
殴らないよあなたとは違うから
って捨て台詞みたいに吐いて自室に逃げた
彼女は追いかけてきた
だけど彼女自身が散らかした紙を踏んでこけた
手を上げなくて良かった
自分が正しいと思えるから
正直くさすぎて恥ずかしい話だと思う
でもすごくすっきりした
その時は何こけてんだこの人はとしか思わなかったけど
以後嫌なことされたり言われたりするたびに思い出しては下らなく思えてくる
なんだか悪いのはこの母親だって世界に認められた気がしたからかもしれない
やっと次のステップに進めた
体だけじゃなくて心も大人になれる気がした