色々な事情と好機が重なり、彼氏と一泊二日の奈良旅行へ行ってきました。二人とも大阪府民なのに。隣県へ。泊まりで。
なんて贅沢な試みでしょう、調子に乗って古都と呼ぶべき中心部奈良市近辺ではなく、標高800mをゆうに越える洞川温泉に宿を定めました。温泉っていいよね。
最終的にこの選択が、
73885通目の小瓶を読んで(奈良に行くなら東大寺寄りたいなあ)と思っていた私の計画をぶち壊すことになりました。いいんだ、東大寺の方が家から近いし。日帰りで気軽に行けるし。
1日目、電車を乗り継ぎバスに揺られてドアtoドアで4時間半。なんかすごい宿に着く。
なんかすごかった(語彙ない)。
正直宿決めの時の私は宿の所在すら見ずに「夕飯においしい湯豆腐あるよ」と書かれた一文だけで、おいしい湧き水と豊かな温泉の地である洞川の宿を選んだので(※つまり東大寺行き損ねたのは完全に自責)
湯豆腐以外に期待していなかったクソ人間なのですが、明らかに団体向けらしいド広い、しかも最上階の部屋に当たって、それはまあ眺望が素晴らしかった。
宿によくある椅子二脚と机のセットがある縁側っぽいとこ(語彙皆無)から、中庭と大峰山かその近くの山が一望できる。すごい。
とりあえず景色を満喫しながら、足元で灯されていた蚊取り線香をへし折った(出かけるので火の始末としてね)。
夕飯の時間から逆算して、地図を見ながら行動範囲を定めて、宿から更に山道を登った先の河鹿(かじか)の滝を見に行くことに。
めっちゃ山登りー。
文系都会っ子で舐めプにも程がある格好と靴(推定1kgのパニエを仕込んだ服とチャンキーローヒールのパンプス)で来た私をあまりナメない方がいい。いや、ちゃんと休まず移動しきりました。舗装された道を登り、途中で川辺に降り、サバイバル感ある山登りに転向。パゴダ傘を杖にしつつ。
河鹿の滝は、滝という言葉のイメージからは離れたサイズをしていましたが、それでも滝と呼ばれるだけのことはある水流の圧を誇っていて、どこまでも澄んだ水がその一帯だけでは白濁を止めないことにただ圧倒される。何より、川に降りた瞬間から感じる気温の低さをもたらしているのがこれなのだろう、と一目で察せた。
すぐ側に河鹿の滝の歴史を綴る立て看板があったのですが、だいぶ損傷が目立っていたので私はとりあえず文中の「花崗閃緑岩」という一語から(マイクラや)と思っていました。ゲーム脳。あと、マイクラに出てくるのは花崗岩だ。
川辺の道はどこかしらからか車道に戻れるのかな、と登り続けましたが途中の立て看板で、この道は登山道に続くと察したので素直に逆走。
道中で名水コーヒーを飲みコーヒーソフトクリームを食べる。おいしい!!
私は自他共に認める酒好きですけれど、コーヒーも好きです。好んで飲んできた歴史ならむしろコーヒーの方が長い。
ウッドデッキから川を見下ろしながら飲むコーヒーはたいへんにおいしい。
あと、こういう個人で喫茶を営む人たちは総じて観光客に優しい。この地の歴史から近場の名所まで色々な話を聴かせてくれた。
現在地から宿を越えて更に下った先に鍾乳洞があるという話を聞いて、時間もまだ余裕があったので次の目的地を鍾乳洞に定める。
その鍾乳洞への道のりも山登りだったんですけれどね!山!また山!!確かに下ってきたはずなのにまた登る!
石造りの階段で整備されていただけ、川辺の道なき道よりは幾分か楽でした。たぶん。
私は階段という概念が嫌いなので(段の幅に私が歩幅を合わせなくてはいけないのがどうも好かない)脇に造られていた坂道で登りました。
辿り着いた鍾乳洞は、ただただ強大。
鉄扉を開き二歩踏み入れると、一瞬で体感温度が5度下がった。
バスに揺られて山中に降り立った時、河鹿の滝に近付いた時。私は今日すでに2回、明らかな気温の降下を肌身に感じていたのですが、3回目が一番劇的な変化でした。寒い。職業柄冷凍庫に踏み入ることが日常なのですが、その時を彷彿とさせる温度差。
内部は観光地として加えられた人工物と、長い年月と自然が築き上げた鍾乳石たちが不思議な共存を誇っていて、気温の変化も伴って異世界に放り込まれた気分を覚えました。
異質な美しさ。調和がとれているとは言い切れないのに、美しさを感じる不思議な気持ち。
ギリギリの時間に入場したこともあってか他の来場者はおらず、本当に、現世から切り離された異世界という表現がしっくりくると思う。はー語彙が足りん。
鍾乳洞を出て凄まじい勢いで山道を下り、なかなかギリギリの時間に宿に戻って夕飯を頂き、すっかり暗くなった温泉街を再度散策。ところで湯豆腐でビールというのも良きですね。
時期的にギリギリ、近くの池に蛍がいる可能性があったらしいんですが居なかった、残念。
ただ、街灯もなく古風な建築物からこぼれる灯だけに照らされる池はたいへん美しかったです。そんな美しい景色をカメラに収める彼氏の後ろで、私は忘れないうちにとソシャゲのログボを回収していました。えへへ。
あとは宿に帰って温泉浸かって就寝。
この日の私は普段の8時間睡眠に比べて約4〜5時間睡眠となっていたので(後述)まあ睡眠が足りていなかったよね。
よく山登ったな。
中身の薄い2日目、ゆとりある起床とゆとりある朝食。
朝食にも湯豆腐が出たよーーやったーービールは自粛したよーーー
そのあと朝風呂に浸かり、私がちんたら身支度をし、昼前にゆとりすぎるチェックアウト。
もりもり朝ごはんを食べておきながら朝から喫茶店。名水コーヒー本当に美味しい。1日目はアイスで飲んだので2日目はホット。
シュガーポットに金平糖が入っていて、いつもブラック派なのにうっかり一粒いただいた。ゆっくり溶け出す甘みが良きね、その予後を楽しむでもなくコーヒーを飲みきって金平糖は噛み砕きましたけれど。情緒のない女だ。
あと、喫茶店のマダムが私の服めっちゃ褒めてくれた。お人形さんみたいって。幸せ。
あとは帰りのバスの時間まで、川辺でドローンを飛ばして遊ぶ。
帰りの電車で奈良市方面へ足を延ばすのも考えたのだけれど、めちゃくちゃ遠回りになる上に、私も出発前に色々と荷物を置かせてもらった(=家に帰る前に寄らざるを得ない)彼氏の別邸は更に遠くなるということで、奈良市は別の機会に一人で行こうと決まる。
仏像は無くならない、無くならないし……。
行きしなのバスでも思ったのだけれど、立っている看板が「コンビニこの先2km」とかスケールがいちいち大きいの好き。
私の住まいは大阪の中でも田舎寄りだけれど、いややっぱり都会だわ、と思い知らされる瞬間。アリンコ踏まないように気をつけて道を歩くのなんて何年ぶりだろう。
楽しかったー、すごく楽しかった。
思いつきと行き当たりばったりの小旅行だったけれど、私にはこれぐらいの緩さが向いている。
美味しいご飯とお酒と、あと心揺さぶられる視覚的何かがあれば満足。あ、地酒買って帰るつもりだったのに忘れていた。
ハイライトとしては、当日は移動のため朝7時に起きると前もって何度も話していた我々が
前日は夜中の1時までTCGに夢中になり(だいたい私が勝てないせい)
寝よう、と結論づけて布団に入ってからも1〜2時間ほど(時計を確認しなかったので体感時刻)TCGの戦略から背景ストーリーに関して、そして私の推し(そのTCGの登場人物)と推しの恋路について、からの「推しの恋が実って幸せなはずなのに推しが他所の男に取られた感あって辛い」という恋人に話す内容じゃあない話まで散々語り明かす
という、遠足前夜興奮して眠れない子供のダメな大人バージョンになっていた場面。
ダメな大人の見本市。
いやこれおおむね私がダメな大人じゃん。
ハイライト温泉地じゃないし。
ちなみに、移動の車内でもこの話引きずっていました。2日後に行った居酒屋でも生中と男山を肴に饒舌に語りました。どんだけ話したいの。あとちゃんぽんはほんと色々進むから良い子は真似しちゃダメ。そもそも良い子は呑むな。
でも彼氏もめっちゃ乗ってくれるので楽しい。間違いなく長くなるので詳細は割愛するけれど、彼氏と私は同じもので遊びながら異なる視点に主軸を置いて見ているので、お互いの視点から見た楽しいソレを話し合うの知識の交換と共有感あってめっちゃ楽しい〜〜
閑話休題。
洞川温泉はいいところです。おわり。