「ゆいちゃんにはちょっと」
そう言った小学校の友達はヤングケアラーだった。
「ちょっと気まずい話だからさ」
高校の友達。盗み聞いたら、お父さんが亡くなっちゃったんだって。
なにそれ。なんだよそれ。
すごいよね〜、ほんとに。それ乗り越えてここまで生きれてんだからさ。
大したもんだよ。
でもさぁ、よかったねぇ、人に話せるような経験で。
あ、お父さんが亡くなっちゃったんだ。悲しかったね、よく頑張ってここまでこれたね。
おばあちゃんの介護手伝ってんだ。偉いね、毎日大変でしょう。私たちの前だけは無理しないでいいからね。
これが最適解じゃんどう考えてもさぁ。
私はね、っは、私はねぇ、姉ちゃんにDVされてたんだぁ。うんうん、ご想像通り痛かったよ。
ああ、もちろん辛かったよ、でもね、ちょっと、いや、すごく尊敬してたんだぁ。
ずぅっと、それこそ生まれた時から姉ちゃんがすごいんだぞって催眠をかけられていたからねぇ。
すごい人なんだから、怒られても殴られても蹴られても、おもちゃの銃を向けられても、クローゼットの中身全部出されても、下半身を触られても、全部私が悪いんだよ。
まだあるよ。
そのお陰で髪の毛抜けちゃってさ、みんな地毛だと思ってんでしょ、これ。実はウィッグなんだよね。ないんだぁ、もうほとんど。
わざと頭皮をかぶれさせて生えて来させる治療してるの。
あ、でもいいからね、おじさんとかにハゲいじりしても。
別に気にしてないからさ。
これの最適解は何?
言ってみて。言ってみてくれよ。
こんな哀れなやつにかける言葉の正解があれば言ってみろよ。なぁ。
言えないよね。わからないよね。
そんなこと考えたことないんだもんねぇ。
人との会話に正解ないと思ってるもんね。
幸せでいいじゃない。
幸せで、いいなぁ。
この不幸もんに気づかないなんて、幸せでいいね。
気づかないってことは私みたいじゃないってことだもんね。
私みたいに隠そうと努力したことないのかな〜?
しないか、そっかぁ、本当に大変なら隠そうとしたりしないよなぁ。。
私の不幸に気づく人はいない。
もっと『不幸です』ってツラだったらよかったのかね。
悲しそうな顔して、気まずくなって、みんなに迷惑かけりゃよかったんかね。
うちはずっと人に迷惑をかけるのが大罪だったからさ。
できなかったわ。
田舎の人数少ない小中だったけど、学年一位で生徒会長も部長もやってたのに不幸だなんて誰も思わないかぁ。
なまじ優秀だったばっかりに困っちゃうなぁ。
なにが言いたかったかっていうと
不幸によって接し方が変わるのっていいのかな、っていうこと。
仮に、不幸の大きさで「不幸度」ってものがあったとする。
辛い人ほど不幸度が高いってことにするよ。
自然にさ、自分の不幸を話すに値しない不幸度の人ができるよね。
この考え、悲しいけどわかるなぁ。
だって幸せな人に「自分がどれだけ不幸か」を語っても得られるのは共感じゃなくて哀れみだもんね。
わかる。わかるんだけど。
その不幸度の尺度が間違っていた時、どうしたらいいんだろうね。
その間違いを指摘できない時、どうしたらいいんだろうね。
ちがっ、私もっと不幸なんですけどー!?
これ?
まあ間違っているだろうよ。
悔しかったよ、君の悲しい思いを教えてくれなかったことがさ。
嬉しかったよ、しっかり隠せてたことが。
普通に暮らしていけそうなことが。
本当に優秀だなぁ。はは。
不幸自慢はさ、やめた方がいいよね。
どうやったってさ、惨めにしかならないんだから。
「あ、これおかしくないか?」って思った時、調べたんだよね。
虐待被害者、性被害者の実体験漫画、ブログ、取材、動画。。。
全部、『あぁ、可哀想な人だな』としか思わなかったよ。
運が悪かったんだな、としか。
被害者の声は被害を防止する以外の効果がない。
可哀想な人の声になんて価値はないんだよ。
哀れまれるのなんて全く望んでいないしね。
喋らなきゃいいんだ。
私は、あっているはずだ。
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小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください