風が冷たくなってきた。
ぼくはもうねてしまおうかな。
アオムシは支度をして、一粒のサナギになった。
白い漆喰の壁にエメラルドのサナギ。
『そんなところにサナギになって、
見つかってしまうよ。』
風が囁いた。
アオムシはそこでサナギになりたかった。
どこかの陰なら見つかりにくかったかも。
でもここはポカポカおひさまがあたってあたたかい。
人の目につくかもしれないけど、アオムシは人間がすき。人の楽しそうに話す声も。
木々の葉もよく見える。
おひさまの光を透かして、赤、黄、緑。
いろんな色で輝いている。
少し離れたところにある桃色のサザンカから、甘い香りも漂ってくる。
風が時おり撫でていくのも心地いいし、話しかけてくるのも嫌いじゃない。
『バカなこだねえ、こんなところでサナギになって。』
べつの風が通り過ぎながら言った。
あたりはだんだん暗くなる。
遠くの門の、金の飾りの提灯に灯がついた。
一本の大きなモミの木が、クリスマスツリーのように、高く夜空をさしているのを、見上げていた。
「思い出小箱[紅葉]を材料に。」
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください