樹海の中の一本道をひたすら歩いた。
片道1車線、両脇にはとても細い歩道。
周りはうっそうとした森のような樹海。
ひたすら歩いて歩いて歩いた。
歩いている人は他には一人もいない。
ときおり観光バスが通り過ぎる。
一般車もときどきしか通らない。
ただ一人ひたすら歩いた。
横の樹海から歩道側に枝葉が伸びていて、歩道と言ってもとても狭い。
足下は蟻と落ち葉。
虫が苦手なのに変な虫がそこらにいても不思議じゃない。
もう樹海のまっただ中だから、
横の樹海に入ってしまえば、すべて終わらせられるけど。
コンビニで買ったビニール紐。
ハサミがないけど、まあいいか。
かなり歩いてだんだん日が傾き始める。暗くなってしまったら、実行できない。
たくさん歩いてもう足が棒だった。
あ、と何か見覚えのある場所に出た。売店。もう閉店している。氷穴の入り口だった。ワゴンが1台止まっている。なんとなく運転手がこっちを伺っているのがわかった。
運転手のおじさんが降りてきて話しかけてきた。
「歩いてきた?」と少し驚いている。
何をしているのか?と僕に質問を続ける。
僕はただ観光とだけ答えた。
こんなところ、こんな時間に一人で来る人はいない、とおじさんは僕に言って、泊まるところはあるのか?と聞いてくる。
本当の目的を答えることはできない。
仕方なく僕は駅の方に戻ると答えて、来た道を戻ることにした。
おじさんはワゴンに戻って僕を追い越して通り過ぎて行った。
ワゴンには自殺を防止する言葉が書かれていた。
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