わたしをつくったひとたちへ。
生きていると、ふとした時に、自分が特定の人と似た口調をしていたり、仕草をしていることに気づく。
話し方が母親に似てる、とか、笑い方が友達に似てる、とか、そういうのと同じ。
私は、他人からできている。
口調や癖、行動を、いろんな人から少しずつ貰って、自分を形作っている。
たくさんの「わたしをつくったひと」の中から、特に思いの強い人たちに向けて、手紙を書くつもりで小瓶を流します。
ひとりめ。
眼鏡をかけた、博識な「君」へ
君とはずっと、長い間会えてないね。
君と初めて出会ったのは、小学生のころ。
私たちは初対面で喧嘩をして、そこから仲良くなったんだよね。
君は私に、面白いあだ名をつけてくれたよね。そのあだ名で呼んでくれたのは、後にも先にも君だけだよ。多分これからもそう。
いっつも一緒に遊んで、喧嘩もしたね。
君からはたくさんのパーツを貰った。
食べ終わった給食のパンやお菓子の袋は必ず三角にたたんで捨てること。
「できないの?」って馬鹿にして、でも丁寧に教えてくれたよね。
それから、ニワトリとヒヨコの簡単な描き方。
君は絵が上手だったよね。
袋を三角にたたむたび、お絵描きで鳥を描くたびに君のことを思い出します。
ありがとう。
ふたりめ。
親戚の「あなた」へ
私が生まれた時からお世話をしてくれていたあなた。
忙しい母親に代わって、面倒を見てくれた。
2人でしょっちゅうおでかけをしていたと母親から聞きました。
それから、お菓子づくりをしたり、お絵描きをしたり。
考え方や、料理の癖を、あなたからもらいました。旅行好きなところも、きっとあなたに似たんだと思います。
あなたには今2人の子供がいて、もうあの頃のように一緒にはいられないけど、それでも、あなたのことが大好きです。
今度は私が、その子たちに何かを与えられますように。
ありがとう。
さんにんめ。
数学好きな「君」へ
数学が好きな君のこと、出会った時から気になってたよ。常に問題を解いてる君のことを、こっそり目で追ってた。
君に出会ってから、私は数学が大好きになりました。
参考書を持ち歩いて、たくさん勉強した。
好きなアニメも、よく飲む飲み物も、君と同じになったよ。
それから、柔らかく微笑むのも。
君みたいに笑顔が素敵な人になりたいと思う。
どうか、君の柔らかな微笑みも、私の一部になりますように。
ありがとう。
わたしをつくった全ての人に、ありがとう。
良いところも悪いところも、いろんな人から貰いました。
ありがとう。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
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