16155140.人によっては浴びるようにお酒が飲みたい時ってあるじゃないですか。決まって家ではなくて、外で。そう頻繁にあるものではないですが。
脈絡の無い切り出しになるんですけど、まあ、不思議とそんな心持になり、又そう云う時ほど一人で静かに飲みたい訳です。そうなって来ますと、家に帰ることとかは考えなくなるので、少し電車で都心に近付いて飲み屋街をふらふらしています。ふらふらと言っても、行きなれたお店にしか行かないんですけど。
金曜日の夜からそんな調子で、仕事の電話が来てもたまには他の人間に任せとけば良いかぁ、と割り切ってぐびぐびスパスパ、三軒目の串焼き屋に入った頃には終電も無くなって、気が付けば周りの客もはけ始めたので、酔い覚ましに近くを散歩していました。朝まで飲んでいても良いけど、あんまりふらふらになっても一人だしなぁと思い、近くのうらぶれたホテル街の方へ。
時間帯も遅いので、人気の無い静かな空気に心地良さを感じながら、火を入れる前の粉モノみたいな誰かのゲロを避けながら、ふと植え込みの闇の中で白い猫がうずくまっているのが見えたので、触らせてくれないかなぁと手を伸ばすと見事に振られて消えて行きました。そう云う所が好きよって一人口元で笑いながら歩いて行くと、道の端で酔いつぶれた女が船を漕いでいるのを見かけました。近付いてもこちらに気が付いている感じも無かったのですが、別に死にそうな訳でも無いので放っておくことにしました。お疲れ様よね。
側の自販機の明かりに羽虫が群がって、カバーの中で薄く積もった死骸の中で、何匹かがうぞうぞと蠢いていました。条例違反ですけど、煙草を吸いながらもうじき動かなくなるかなぁ、とぼーっと眺めていましたが、何人かの大学生らしき男達の声ががやがや近付いて来たのをきっかけに現実に戻って来て、又歩き始めました。ああ云う感じ、何だかとても懐かしい。
ガード下の落書きの中で、病気のミッキーマウスみたいなネズミが笑っていましたが無視して、物陰で溶け合っているカップルを横目に、益々古ぼけたホテルに入って泥のように眠り、気が付けば翌日の昼になる前、社用携帯の着信音で目が覚めました。定期連絡を聞いて、適当に指示を出してから、汗を流して映画でも見に行こうとチェックアウトして、ぶらぶらと街を歩いていました。別に見たい作品も無く、流れる映像をぼんやり眺めながら、今日はどの店で飲もうかなぁと考えていました。
飲み屋街に明かりが灯る頃合いになったので、通りから少し外れたホルモン屋に入って一杯やり、うだうだ飲んでいたら日付が変わりそうな時間になっていました。その店は私好みの壁に油がべったりしているような狭い店で、20時以降は新しい客も無く、そこから人が減って行って、2時間も経つ頃には私ともう一人くらいしか残っていないような感じで、静かに酒を飲みたい時には決まって選んでしまいます。店主一人で切り盛りしているの店なのですが、客と話をするとかのタイプではないので落ち着きます。
店が閉まる少し前に出て、この後はどうするかなぁと近くのコンビニで酒を買って飲んでいましたが、今日も外で寝ると日曜日がほぼほぼ潰れてしまうので、おとなしく最寄り駅に帰って、駅前の飲み屋で少し飲んでから帰宅しました。家に帰ってから妙に目が冴えたので飲みなおしたのですが、せっかくなら映画でも見ようと思ってちょっとしたホームシアターで気に入っている映画を見ながら、だらだらと飲んでいる内に朝になり、ベランダで一服。エタノールみたいにケミカルで清潔な朝の匂いです。
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