はじめまして。なんて言葉を貴方と交わしたのはこの季節でしたね。
茹だるような暑さ。耳障りな蝉の声。立ち上る陽炎。
青春という言葉が目に浮かぶ青い空にジリジリと照りつける太陽。
高校生の夏なんて3回しかないのに、私は貴方に囚われてもう2回目の夏が始まろうとしている。
生徒の時から1年と少し、どうしようもなく目で追い続けてしまった彼。今年の春から新社会人になるから、と塾講師をやめてから、もう二度と会うことは出来ないなぁって思っていたのに。
ようやく忘れられそう、諦めが着きそうだと思ったのに。まさかインスタにフォローリクエストが来るとは思わなかった。
思わず通知をスクショしてしまった。フォロリクが来た、たったそれだけの事なのに、嬉しくて嬉しくて。
今まで撮った数百枚の写真の中で初めて❤︎を押した。
本当は通知で気づいていたけれど、すぐに通すのはなんだか恥ずかしくて、2時間後にフォロリクを通してDMを送った。
どうしたの?
可愛げのない一言。
緊張した。連絡返ってこないかもしれない。向こうは新社会人で忙しいのに迷惑かも。なんて色々考えていた。
でも心のどこかで、彼は律儀だから返してくれるだろうなと信じてやまなかった。
2時間後、どうも。と淡白なDMが帰ってきて、涙目になってしまった。
たった一言、それだけでも時間を私のために割いてくれたことが嬉しくて。
それからだらだらと1週間、1日に一通届くか届かないDMを待ち続けてしまう。
来るか来ないか分からないDMを待ち続けるのは辛かった。でも、ここでリアクションてDM切れるな〜。私だったら会話切るな。ってDMも理由をつけて返してくれる。
どんな内容にも偉いとか頑張ったねとか褒めてくれる。嬉しいけど、どこか切ない気持ちになる。
きっと彼の中で私は、ずっと生徒のまま。
沢山いるであろう生徒の中で、連絡を取れる手段があるだけでも嬉しいけれど。
丸一日DMが返ってこない、なんてことも増えてきたから。
次、返信が来たら私から終わらせよう。
きっとその方が心が楽になる。
今度こそ私は貴方を忘れられるよう頑張るよ。