名のない図書館へようこそお越しくださいました
本日、新しく入荷した物語がございます
もしお時間がありましたら少し読んでみませんか？
では、行ってらっしゃいませ
ただの笑顔
目を塞ぐとそこには顔が映る
こわいくらい口角を上げている顔が
真っ黒な肌に揺らいで見える紅色の表情
細くありえないくらい柔らかそうな身体
恐怖でしかなかった
それから、今すぐにでも逃げたかった
ただできなかった
近づいてるようにも見えるそれに
怯えるしかなかった
心臓が止まるかと思った
息ができなくなるかと思った
それが手をこちらにグッと伸ばしてきた
逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ
頭ではわかっている
ちゃんと理解してる
ただ、体が言うことを聞かない
こわいこわいこわい
いつか、それに自分みなる気がして
怖くて仕方ない
ただ、気づけなかった
自分がもうソレなことに
お帰りなさいませ
お楽しみいただけたでしょうか？
ソレの話
ただの笑顔でした
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