小学生の頃、図書室は『特別』な場所でした。
普段からぴっちり扉が閉めてあって、めったに開かない場所。
図書室は『特別』な場所。
設置当初、子供が怪我しないよう、丁寧にヤスリにかけられて造られただろう、木枠でできた古びた本棚。
ねっころがって本が読めるよう、床の半分はカーペット。
経年から埃を含んだ空気。
本の放つ紙のにおい。
どうしても入りたくて、図書室の下にある小さな引き戸を、左右に動かした。
カタカタ。内側から鍵がかかっていて、開くわけがない。
それでも諦めるきれなくて、カタカタ。毎日小さな引き戸を揺らした。
そんな日が何日も続いて、『今日ダメだったら、諦めよう。』
そう思って3つめの引き戸に手をかけた。
カラリ。
軽い音を立てて引き戸が動き、中のカーペットが見えた。
とにかく嬉しくて、はやる気持ちを抑えて滑りこんだ。
例えるなら、秘密基地を見つけた気持ち。
引き戸を閉めて、絵本を一冊、手にとって、見つからないよう、窓辺の本棚の下にねっころがる。
3冊くらい読んだところで、教室に戻って、誰にも話さない秘密ができて、ちょっぴりわくわくしてる自分がいた。
それから、小学3年生になって、『低学年図書室』から、『高学年図書室』に使用が変わるまで、図書室に毎日のように忍びこんでいた事は、誰も知りません。
高学年図書室は、昼休みと放課後に開放されてたから、忍びこむ必要もなかったから。
今思えば、素直に図書室に入りたいって、先生に言えばよかったんだけど、私一人が入りたいといっても、入れてもらえないと思ってたんだな、と思います。
(先生からしてみれば、私以上に頭の悪い生徒はいなかったでしょう。)
でも、どこかから先生も、見てたんですね。
でなければ、引き戸が開いてる訳がないんですから。
一度だけ、3年になってから、引き戸が開いてるかを確かめに行ったけど開いてませんでした。
私が知る限り、授業や掃除で生徒が図書室に入った事はないです。
小さな引き戸の鍵は内側からしかかけられない。
だから、当時担任だった先生が、開けてくれていたと思います。
私が3年にあがる年、転任が決まっていたので、閉めていったのだと思います。
図書室は『特別』な場所。
私にとって、今も。昔も。
ガラス玉
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ななしさん
いい先生だったんですね(´ `*
場所や状況の違いはありますが、私にも秘密基地がありました
もう入ることができなくなったけどやっぱりまだ特別ですね
ナツ
ななしさん
素敵なお話ですね。
心が温かくなりました。
咲月
ななしさん
良い話ですね!
心が温かくなりました^^
私も図書室が好きです!
でも今年から1年生が
たくさん来てて…
人口密度めっちゃ高い!
それでも私達は狭い所に
挟まって本読んでます★
結構迷惑(;o;)
そんな話の分かる先生が
欲しい…
*えあり―
ななしさん
<font color=#ff0000>投稿者さんからお返事きたよ</font><br>
初投稿した時の、知能テストに連れていってくれた先生と、同一人物です。
でも、いい先生だったなぁ、と思います。
低学年の時習う勉強を、根気よく教えてくれました。
(私は半分も理解できなかったですが。)
高学年図書室には、驚きました。
本棚が天井まであって、1番上まで届かないし(多分、今でも届かない。)、机と椅子があったし、貸出用のカウンターがあったしで、低学年図書室とはまるで違って。
何故か、貸出は昼休みだけで、放課後は借りれないんですよ。(^^)
というか、中学校より小学校の方が造りがしっかりしてました。
幼い頃に従姉妹と兄で造ったの秘密基地は、みんな、家が建ったり、崩されたりして無くなってしまったけど、大切な場所です。
今も昔も。
ガラス玉
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