チュンチュン
鳥のさえずりで目が覚めた。窓の隙間からの光がやけに眩しくて目を細める。
―もう、春か。
重々しい身体を起こし、ぐーっと伸びをする。まだ眠い。手元で開いたスマホは6:00を指していた。少し早起きしすぎたかな、と思いつつベットから降りる。することがないので仕方なく外へ飛び出してみた。
外はうんざりするほど眩しすぎて何故か笑えてきた。
「もう少しだけ歩いてみようか」
_朝日はとても綺麗で、自分の心が浄化されるようだった。
ふと「君」のことを思い出す。「君」はすごく綺麗で優しくて、まさしく春を告げる木漏れ日のような人だった。_
単純明快なんだよ。何度考えたって。
こうやって歩き回ったって、何を思い出したって、そこにいつもの僕はいないでしょ?
前向きな「僕」と、まだ暗い「僕」がかき混ぜられて濁ったままだ。結局どっちなんだろうな。
そう考えるうちにだんだん吐き出すこともできなくなった。
***
いつもよりもうまく寝られない夜に、君のことを思い出してまた、ため息を吐いている。たくさんの思い出をさまよって、また傷ついて、疲れて、後ろ向きになって。僕はいつまでも辿り着けない朝日を待っている。
_ねぇ、ちょっとこっち向いて!笑って見せてよ!ほら
「君」は僕の感情を探ってくるようにお願いしてきた。それに答えられず僕のところで渋滞が起こる。いつも通り。お決まりのルールだ。
君とはまた前のように仲良くなりたい。たくさん話したい。
あぁ、でもやっぱりこのままでもいいのかな。
まってよ
僕は何がしたいの?
どうしたいの?
こうやって選べずに立ち止まっている。
***
ふと我に返った世界はまだ眩しくて。
歩き疲れて足元に目を落とす。
ぽた、ぽた。
…なんか、泣けてくる
「…もう、少しだけ、まだ、歩いてみようか」
今の生活が、僕の周りの環境が、
散々でもきっと。いつの日かきっと。
僕が信じている日々に、むりはしていないけれど、
歩き疲れた足元にできた水面には僕の笑顔が映っていた。
どうやってもきっと、いつの日かきっと終わることなんて、そんなのわかってる!!
それでも変わらず今も、見上げれば広がるこの青い空の下で僕ら、どんなことがあってもまだやり直せるんだ。いつかまたわかりあえるように。笑いあえるように。
「いつの日か、
またあえる日まで」