私の両親は離婚している。昔から喧嘩が絶えない家庭で、その度に倒れたゴミ箱や、親が思いっきり机を蹴った時にこぼれた味噌汁を片付ける。そして、仲介人として親同士を説得し、喧嘩を止める。そこまでが、小学校6年間で私がしてきたことだ。
母親は、喧嘩のあと、いつも泣きながら茶碗を洗っていた。独り言をぶつぶつ言いながら、たまにシンクの底に茶碗を叩きつける音が聞こえる。
父親は、お酒を飲むと怒りやすくなった。喧嘩のあとはいつもお酒を飲み続けながら、こちらもまた愚痴を言う。
私はというと、それを聞くだけだ。いじめられている現場で何もしない人みたいに、ずっと黙るしかなかった。
もうちょっと詳しく書きたい。
私の母親は、過去にいじめられた体験がある。だから、三者面談が終わるといつも、車の中で、「担任の先生は信じるな。」と私に言うのである。三者面談中はというと、いつも笑わない母がへらへらして、「私はこの子に、異性と関われって言ってるんですよ。やっぱり、同性の子はよく悪口を言うから…。ねえ?」と、小学生の私でも分かるような変なことを言うのだ。実際私は、体の性は女だけど、髪を短くすることを強制されてたし、かわいい服を着ると馬鹿にされていて、男のいとこのおさがりを着ると喜ばれる。一人称はずっと「俺」、女の子が少し苦手になった。その一方で、母親が余りにも男性嫌悪が激しかったのを見ていたので、男性も得意ではない。母親は、父親の帰りが遅くなると、不倫を疑った。「父親が風呂に入っている間に、携帯見て誰かと連絡とってないか確認して。」そう言われたのが本当に忘れられない。私はその通りにした。父親はお酒で酔いながらお風呂に入ることが多く、叱られるのではないかとびくびくしていた。中学生になって、夜逃げするように家を出たあとも、母親の実家での折り合いが悪く、危うく父親の家に無理やり連れていかれるところだった。その時に、自分なんてどうでもいいんだという感情が、初めて芽生えた。
一方の父親といえば、とにかく変人だ。私の家はお金がなかったので、「児童手当」というお金をもらっていたのだが、その振り込み先が父親の口座になっているらしく、父親はそのお金を遊びに使っていた。家で畜産をやっていたのにその仕事さえせず、ずっと布団に横になってお酒を飲んでカイジを読んでパソコンをいじって、お風呂にゲロを吐いて寝る。そんな人だ。母親と喧嘩になると、「敷居をまたぐな。」「なんでお前はそんなやつなんだ。」「だから、金がないのは俺のせいじゃない。」などと、たくさんの暴言を吐く。外面はよく、頭がいいのが伝わっていたけれど、その分家での爆発具合はひどかった。当時住んでいたのが父親の実家だったのだが、父親の祖父や祖母にいろいろ制限されている、かつ、期待されているような雰囲気があり、その無言の圧力が、父親をこうさせた原因のような気がする。当時小学生の私が、車の中でグラビアアイドルの本を見つけた時は驚いた。
私が何を言いたいか、これだけじゃ伝わらないだろう。
私は今、大学1年生で、ひとり暮らしをしている。もう1年が経とうとしているが、ほぼ毎日のように、過去のことを思い出す。それも、ありえないくらい昔のことまで、忘れていたようなことまで、鮮明に思い出せるのだ。
「母の日」という言葉を見ただけで何度苦しんだことか。授業で、「家族」という言葉を見る度にどれだけ吐き気がしたか。「親」の話をする友達の話を思い出して泣いて、とにかくもうそれはしんどい以外の何物でもない。
こんなに、親と連呼できるようになったのは最近だ。前までは、くそくらえと思っていた。この言葉が滅べばいいと思っていた。それくらいだ。
私は、娘として生まれてきた。それはみんな、何らかの形で子孫を受け継いでいるわけだから、自分が誕生した時点で、親が必ず存在する。
その親という存在が、自分をこんなに苦しめるのが納得いかない。
この1年間、いろんな経験をした。バイトもたくさんやった。たくさんの場所に訪れて、たくさんの人と話した。私はひとり暮らしをしてから、本当の愛を教えてもらった。
だからって、今更どうしようとかはない。本当にダメな時、頼れる人は未だにいないけれど、それでも生きていかなきゃいけないのが、いわゆる「オトナ」の定めだ。社会に入ってしまったら、その枠組みの中で抗うしかないのである。残酷なシステムだ。
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ななしさん
本当にダメな時、頼れる人は未だにいないけれど←文章を読む限り、あなたには出てきます。仮に出てこなくても、すでにあなたには自分を味方につけてます。
親←ある意味、他人です。ご飯を頂けたことだけは感謝して、あとの評価は他人と同列でもいいです。それよりも、親のせいで、あなたが体験できなかった家族のモデルを創造しませんか。そんな強い人を私は知っています。
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