僕は、彼女の空想の中で凄惨な目に遭う役なんだ。
死んでも死んでも死ねないような苦しみを抱える役なんだ。
苦しみたがりたい彼女のために目一杯苦しんで、誰かを助けたい彼女のために助けられてあげる。
何度も。
何回も。
壊されて、直されて、
不幸になって、幸せになって、
つらくて泣いて、うれしくて泣いて、最後に笑う。
僕は誰よりも苦しい。だって現実じゃあり得ない苦痛を彼女は想像するから。現実じゃ死ねば生き返らないし、1人の人生のなかに詰め込める苦痛なんて限られてるじゃないか。僕には関係ない。だって空想だもん。
どんなに頑張っても彼女は僕の苦しみを得られない。
というか、得たら死ぬし。
だから地獄に落ちたい願望もあるんだ。
痛いの嫌で、大した自傷もできないくせにさ。想像だけは立派なんだから(……でも、実際に涙を流し心を痛めることができるその想像力は、本当に立派だと思うけどね)。
そんなわけで彼女は酷い人なんだ。そして優しい人。
この世にたくさん存在する、普通の人間。
誰かにとってはヴィランで、
誰かにとってはヒーローで、
誰かにとっては村人A以下。
僕達にとって創造(想像)主の彼女も、現実世界じゃ役者側。台本なんてない。思い通りにはならない。
「死にたい」役。「死にたがり」さん。
わたしは、青い惑星の中で色々な目に遭いながら呼吸をする――――