今日は蜩が鳴いていた。いや、今日だけじゃなくていつも鳴いているんだけど。
ちょうど、長く、深い雲が、太陽に傘をかけてたから、晴れているのにいつもより薄暗い夕焼け空が気になった。きっかけはただそれだけなんだけど、視角と肌で、夏の夕暮れを確認したならばせっかくだし、と、大好きな曲達だけが流れてくるイヤホンを外してみた。
いつも大好きな曲のじゃましかしない車の騒音、夏にしか聞こえない音と混ざって特別な夏の音に変わっていた。むせかえる熱気と排ガスのにおいまでもが、夏特有の騒々しさとノスタルジーで私を燻してるような感じがした。
蜩が聞こえなくなると、ただただ湿度に嫌気がさしたから再びイヤホンをして自分の好きな曲に閉じ籠った。ただ、今日はいつもより、いつも聞いてる曲達の色味が違った気がした。
歌には四季が織り混ぜられ、歳時記とか言う、過ごした時間を言い換える言葉が編まれた本が後生大事にされている理由がなんとなくわかった気がする。