休日だったので、少し足をのばして、海の見える公園へいってきた。遠くの船まで見渡せるような晴天。夏の名残を感じさせてくれるような日差し、だけれど空が澄み渡っていて、やはり季節は秋に向かっているのだと確信する。
海の横に遊歩道があって、芝生の広場があって、ベンチが並ぶ。何の変哲もないよくある海沿いの公園。それなりに多くの人が、散歩をしたり、ペットと戯れたり、自転車やスケートボードで遊んだりと、各々自由な時間を楽しんでいた。一人で、友達と、家族で、恋人と、まあ誰ときているかは様々だけれど、みんな一様に幸せそうだ。
カップルとも何組かすれ違った。俺はそういう時、どうしても男の方を見てしまう。一人気になった青年がいた。青系の七分袖のシャツがよく似合う優しそうな青年。都会から来たような格好、海って感じの服ではないけれど、なぜか海の風のように爽やかで、知的で、でもどことなく頼りない。俺のように歪んでいないであろう、屈託のない純真な笑顔。いかにもしっかり者って感じの、知的で美しい女性と歩いていた。
美男美女だな。お似合いだ。海と太陽の光がよく似合う。
俺とは違って。
俺がもし女に生まれて、異性愛者だったら、あんな青年と、出会うことができたのだろうか。ま、女に生まれて異性愛者なら誰しもがいい人と出会えるってわけではないだろう。でも、おしゃれして、メイクして、なんとか気を引こうとしたりしたんだろうな、そんなことしたかったな、とか思って。
目に映る幸せそうなカップルや家族。俺は彼らと同じ幸せを手に入れることはできないのだろう。それでも、俺には俺なりの、なんらかの幸せの形ってものがあるのだと思っている。それがどんなものかまだよくわからないけれど、いつか自分なりの幸せを見つけられると信じて日々なんとか生きている。
綺麗な景色、幸せな一時だったな。また来よう。