この世界で、人間を殺した数が最も多い動物はなんだろう?
ーーー答えは、蚊だ。
だが、本当にそうなのだろうか。
確かに蚊は、人間の2倍弱、人を殺している。
けれども私はこう考える。
「本当に最も多く人を殺しているのは、人間ではないのだろうか」と。
「自殺の9割は他殺」と主張している人がいる。
他殺を自殺に偽装しているとか、そういうことを言っているのではない。
自殺する原因となったのは他人であることが多く、ゆえに他殺と呼んでも差し支えない、といったところだろう。
世界の自殺者数は、80万人近くにのぼるらしい。
このうちの9割が他殺だとすれば、その数だけでも蚊によって死ぬ人の数に匹敵する。
人間とは残酷な生き物だ。
自分たちが楽しんだり、着飾ったりするために平気で動物を虐げる。
人間同士で傷つけあう。
悪口を言い、疎外し、私利私欲のために人を利用することも厭わない。
子供を殴り、蹴り、罵り、育児放棄する。
全員がそうとは限らないかもしれないが、人間である以上、様々な生き物の犠牲のうえに生きている。
その生き物は、植物であるかもしれないし、動物であるかもしれないし、人間であるかもしれない。
そもそも「動物」「人間」と区別をしている時点で、傲慢な本性が見え透いているのではなかろうか。
こんな残酷な生き物が、我が物顔で土地を占有し、法律とかいう勝手に作り出したルールに則って生きていることに、途轍もない嫌悪感を抱く。