親しくなればなるほど、気を遣ってしまう。
距離が近くなるたびに、その人と自分の乖離が際立って感じられる。
話したいことは人並みにあるけど、いつの間にか聞き役に回っていて。
その人があまりにも楽しそうに話すから、止められない。
その人があまりにも辛そうだから、つい話を聞いてしまう。
見ていない映画の感想とか、興味がない漫画の話とか。
そんなことどうでもいいって言えたなら、どんなに楽だっただろう。
あなたは好きだけれど、私が興味ない話を楽しそうにするあなたは好きになれない。
だけど、つい相槌を打ってしまう。
もう辞めた会社の愚痴とか、Twitterの不具合がどうとか。
そんな話が聞きたくて、あなたと話しているわけではないのに。
でも、その人も吐き出す場所が欲しいはずだから、耳を傾けてしまう。
その割に、私の言葉は「知らんがな」と切り捨てられて。
興味ないことをそうやって躱せたなら、どんなに幸せだっただろう。
「したい話」は、「するべきじゃない話」に塗り替えられていく。
体調が悪くて、辛くて仕方なくて、気を紛らわすためにその人にLINEしても、その人はすぐに話を切り上げて、ゴスロリ着たいとか刀剣欲しいとか。
少しくらいいたわってくれてもいいだろ、と思う。
そう思う自分が、嫌になる。
その人は私じゃない。同じ痛みを味わっているわけじゃない。
そう割り切ろうとしても、上手くいかない。
そんな自分が、嫌で仕方ない。
……結局は、自分の話を聞いてほしいっていう、ただのエゴなんだよなぁ。
そんな汚い自分は見せたくないけれど、それはその人を信用していないってことになるのかな。
どうすればいいのか全く分からない。