老人の介護は、「本人に代わって命を守る」という仕事です。
今まで生きてきた結果、気の毒にもそういう体の状態になったことを手助けする。
周囲にはある種の納得、「ここまで生きてこられて充分」という気持ちもあります。
でも子育ては、本人の命を守るの他に、生き方を作るという責任もあります。
ゼロで生まれてくる子が可能な限り健康に幸せになる、その最初の大切な一歩がこの手にかかっている…という仕事。
「子供」や「孫」の立場で老人を見上げることと、「親」として我が子を見守ることは、責任の種類、未来に及ぼす影響がまるで違うと思います。
単に体力的、作業効率だけのことではありません。
その人は、子育ての愚痴は子供がいない人にしか話せないタイプなんだと思います。
本来なら子持ちの人の方が理解して共感してくれるはずですが、それは同じ母親として負けた気がして、嫌なんじゃないかな…。
いざあなたが妊娠したら、さすがに「子育てなんてそうそうするもんじゃない」とは言わないでしょう。
自分が妊娠中はこうしていたとか、初めて胎動を感じた時はこんな気持ちだったとか…そういう出産を楽しみにしていたような経験を話してくれるようになるのでは。
私自身、子供がいない時は「まー生意気よ!」みたいな愚痴をよく聞きましたが、いざ妊娠したら良い話ばかり聞くようになりました。「名前は決めたの?一番楽しい時よね」とか「しゃべるようになったら可愛いわよー」とか。
多分、妊娠したことで、私が不妊の悩みを持つわけでなく、子供嫌いでもないと確信したからこそ、安心して明るい話題を投げ掛けてくるんだと思います。
出産や子育てにネガティブな意識がある人に対して、明るい話題は振れませんからね。
子育てに限らず、何でも楽しいことと辛いことはあるはずですから、あまりに暗くなる話題なら上手に聞き流すのも大事だと思います。