ずっとやりたいことがありませんでした。
好きなことも、情熱を捧げられるなにかも。
18歳、浪人中。
去年は目標なく、勉強も頑張れず、
どこも受からなかった。
前期試験だけで受験を終えて、3月は自分に向き合った。昔、どんなことに興味があっただろうか、好きなものはなんだったか、
小さい頃は恐竜が好きだった。
女の子なのに、プリキュアの絵本より恐竜の図鑑を選んでずっと眺めてた。
恐竜の王、ティラノサウルスに尻尾だけで対抗してたらしいステゴザウルスがなんだか好きだった。
小学校低学年の時、ピラミットの謎に夢中になった。エジプトの歴史をずっと調べて、博物館に行って実物のミイラを見たり、象形文字を覚えてみたり。ほかにも沢山の遺跡に興味を持った。調べて、調べて、ずっと本を読んだ。
いつかそこに行くことを夢見て。
高学年になって、日本の文化に興味を持った。
華やかな歴史じゃない、庶民が作り繋いできたもの。日常の中に隠れているもの。
季節ごとの72個に分かれた美しい暦の名前。
節句。伝承。伝説。その裏に隠された意味。
季節ごとの飾りの名前、込められた意味。
物の名前の由来。昔の人の、季節を愛でた和歌。こんな綺麗な言葉があるなんて。
日本文化は美しいと思った。
こうやって、色々興味があるはずだったのに。
中学、高校はただ遊んでいた。
昔興味があったことなんて忘れて、本なんか読まなかったし、なんの情緒もない人生を送った。ゲーム、SNSばっかり。勉強もしなかった。何事も適当、まあまあ。
星は好きでよく眺めて、星座の名前を覚えていたけれど。将来なんて考えなかった。
気づいたら私は親に言われた通りに文系に進んでいた。昔興味があった恐竜や、心奪われた星空なんか忘れて。
言われるがまま近所の国立を志望して、オーソドックスな経済、経営なんて1ミリも興味のない学問を選んで、挙げ句の果てには入れればどこでも、と学部さえも気にしなくなった。
浪人が決まって、考えた。
何がやりたかったんだろうな。
小学校高学年の時、興味を持った日本の文化を思い出した。史学じゃない、あれはなんだろうか。調べて、やっと見つけた。民俗学。
私のしたいことはこれだと思った。
できる大学を探した。
私の住んでるところにはなかった。
県外で探して、行きたいところがやっと見つかった。はじめてあんなにワクワクした。
友達にやりたいこと、初めてできた夢を話した。その子も今までの私は将来を見据えていなかったことに気がついていたようで。
やっとできた夢をええやん、合ってるやんて笑顔で聞いてくれたんです。
目標もできてこれから頑張るぞって思った矢先、6月になって残酷な言葉が言い渡されました。見つけるのが遅かったのでしょうか。
志望校を聞いた母親が6月になって急にお金がないから無理だと言われた。
わたしの夢は、親に肯定も応援もされないまま消えて無くなった。
消えたいと思った