親友へ。
ごめんね。
君が鬱になったのは僕のせいだ。
君がセクハラで悩んでいるのに気付けなかった。
君が僕に勇気を出して
それを打ち明けてくれた時も、
僕は話を聞くしかできなかった。
その後も、何度も性犯罪に遭って
その度に辛いって言ってたのに、
話を聞くしかできなかった。
僕が警察に相談していれば、
君は病まずにすんだのかな...
君は警察に相談するのを
どうしても嫌がったけれど。
下手に踏み込むと、
君をさらに苦しめることになったかも
しれなかったから、僕は何もできなかった。
自分の弱さのせいで、社会が勝手に決めた
性別の壁に勝てなかった。
僕が女に生まれてたら、
同性としてもっと違った対応を
してあげられたかもしれないのに。
女に生まれたかったな。
最近は、性犯罪に遭っても
君は辛いとは言わなくなって、
よくあることみたいな口調で
被害体験をさらっと話すけど、
その代わり、普段から死にたい、消えたい、
生きていたくない、寂しいとか、
そういうこと言うようになったよね。
夜、辛くて、生きるのがしんどくて、
死にたくて、寂しくて、泣いてるんだよね。
ごめんね。
僕が何もしてあげられなかったばっかりに。
君にそんなに辛い思いをさせてしまった僕は
君を辛い目に遭わせた犯人たちと
同じくらい、いや、それ以上の重罪だよね。
毎日が生き地獄って言ってたもんね。
君の話を聞いてるうちに、
僕も鬱病にかかったよ。
きっと天罰だろうね。
でも、君の方が僕の何倍も苦しそうで
また話聞くくらいしかできない自分がいる。
本当に情けない。
これだけのことをしでかしておいて
どうして僕の苦しみの方が小さいのかな。
できることなら、君がはじめに
セクハラに遭っていた頃からの
全ての苦しみを代わってあげたい。
今のその苦しみをどうにかしてあげたい。
でも、病院に行くのは
どうしても嫌なんだよね?
ごめんね。
何もできなくて。
ごめんね。
ダメな親友でごめんね。