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小説。『 雨宿り 』パラパラと降る雨はじんわりと私の髪を濡らす。こんな日は、君の事を思い出す。私の高校生の時の甘酸っぱい青い味を

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『 雨宿り 』

パラパラと降る雨はじんわりと私の髪を濡らす。こんな日は、君の事を思い出す。私の高校生の時の甘酸っぱい青い味を。
「おはようございます。」とHRで挨拶をする。いつも通りの味気ない日常。一つ欠伸をして眠りに落ちようとすると担任が口を開いた。
「転校生を紹介する。青井、入れ。」
転校生という単語に、ぴくりと耳が反応した。ガラリという音と共に入ってきたのは、
「青井桜です。宜しくお願いします。」
目を奪われた。漆黒の髪は肩までと揃えられていて、肌は雪のように白く、口は絵の具をたらしたかのような淡さがあった。私の視線に気づいたのか、彼女は、ぱっちりとした目を私に向けた。ドキリとした。
「青井の席は、じゃあ…」
彼女の隣になりたい、そう思ってじとりとした目で担任を見る。けど、鈍感な担任が気づくはずもなく、
「じゃあ、一番右後ろで」
と言葉を放った。くっそ、私と反対方向かよっ…唇を噛み締め、んな漫画みたいなことおこるはずないよね、と自分自身を納得させた。ふいに彼女と目が合った。まただ、鼓動が早くなる。それが恋と気づくのに時間はいらなかった。
その日は結局、あちらも一目惚れとか都合の良いことなどあるはずもなく、いつもと同じように時が流れ、家へ帰った。

「唯っ、お風呂入んなさい~!」ぐだぐだとスマホの画面を見ていたら、母親に耳が割れるような声で言われた。とりあえず、一つ返事をして風呂場へと行った。が、
「ちょ、マミー!!お湯出ないんだけどー」
マミーなど言ってみたが自分で吹いた。そして母親の姿が曇りガラスの向こうに見えた。
「あら、おかしいわね、仕方ないからそこの銭湯行ってきなさい、お金玄関置いとくわよ。」
母親はそう言って、バタバタと恐竜のような足音を立てて出ていった。
「足音うるっさ、」小言を呟きながら
私も玄関へ向かった。

今は、夏で夜でも蒸し暑い。パタパタとサンダルを鳴らしながら銭湯へ入っていった。脱衣所からガラスの戸をカラと開けて入ると、そこには
「青井、さん?」口から思わず出てしまった。いやいや、まさかこんなとこで会うかよ、うん。振り向いた彼女は確かに青井さんだった。
「え、えっと佐賀見さん?!」大きな目がさらに見開かれる。その鈴のような声に私はうっとりとしてしまった。はっと気づくと頬を染めた彼女が私をじっと見ていた。
「え、えーと、奇遇だね、なんて…」
目が泳ぎまくってる。魚でもこんな泳がないだろ、おい私落ち着け。
「う、うん。」
彼女はパッと目をそらして言った。話が、続かない。今。仲良くなるチャンスなのに、続かない…渋い顔をして悩む私を見て彼女は笑った。
「どうしてそんな渋い顔するのよ、はははっ、」笑った、笑ってる…
「佐賀見さん、あの、私の友達になってくれない、かな」
彼女は震える声で言った。私はその言葉を聞いて夢かと思った。
「うん、うん、!」首がとれそうなほど頷く私を見て、彼女はまた笑った。
それから、私達が仲良くなるスピードは驚異的に早かった。好きな音楽、食べ物、お揃いのストラップに気づいたとき、お互い凄く驚いた。ああ、やっぱり彼女と出会ったのは運命なんだな、と思った。だから、そう思ってしまったのが運のつきだったらしい。
「ねぇ、桜。」
そんなことに気づかない私は、運命を信じて、
「どうしたの、?唯?」
私へ微笑みを向けた彼女に告白することを決めた。
「明日、夏祭り一緒に行きたい、話があるんだ、桜。一緒に行こう。」
話とは何かきになった様子の彼女は一つ返事で了承した。

賑わう神社、夜の暗さが鳥居の紅さを強調している。コツコツとした柔らかい足音が私の前で止まった。そちらを見ると青い浴衣をきた彼女が頬を染めてたっていた。
「お待たせ、どこいこっか?」
へら、と笑いながら言う彼女はやはり綺麗だった。
ぶらり、ふわりと店を廻りながら彼女は楽しそうにしている。私と距離を取っているようにも見えた。
「桜、私の話、聞いて?」
彼女の手をとってぎゅっと掴む。桜は軽く目を伏せて、
「分かった、こっちにきて」
と言って神社の奥へと自ら入っていった。
「桜、あのね」
頬が熱い。血がのぼってくるのがわかる。桜と繋ぐ手にじんわりと汗が滲む。心臓が誰かに掴まれているようで、苦しい、この苦しさが私を止めようと足掻く。でも、それでも私は、
「桜が、好きだ…」
思いとは違い、酷く掠れた声の告白そなった。息を整え、桜を見上げると…心臓が止まりそうになった。さっきまで熱く流れていた汗がとても冷たく、体が固まっていく。彼女の顔は人形のようだった。
「私はっ、!」桜は何かを訴えようとして、やめた。やめてしまった。
「ねぇ、桜、言ってよ。」
ただ、返事が欲しかった。けど桜は、「ねぇ、さく__」
言葉が途切れた、彼女の唇が私の言葉を飲み込んでしまったから。
「ごめん、ごめんね」
返事を残さないまま、彼女は私に背を向けた。そして流れ星のように、流れるように早足で去っていった。
学校へ行くと、桜はいなかった。いくら気まずいからと言って来ないというのはないと思っていたから、少々驚いた。まぁ、普通の女の子ならこれが普通なのかもしれない…な。

けど、桜は次の日も、その次の日も来なかった。
さすがに、心配になった。桜を、傷つけた、だろうか…でも、でも!あのキスはそれならば何なのだろう…

思いのはけどころもなく、校内をぶらついていると職員室から声が聞こえた。
「桜さん、ああそうですか、」担任の声と桜のお母さんらしき人の声が聞こえる。
「_が悪化していて、_なそうなんです。」声は一部聞き取れないが、嗚咽が聞こえた。喉の奥から絞り出すような声の、そんな嗚咽。まさか、と思った。悪化って、違うよね、?
「今、桜さんは何処の病院へ…?」
担任がお見舞いのためにと聞き出していた。嫌、当たるな、当たるな。私のもしもが当たってたら、桜は?どうなるの?
「_病院です、、」お母さんの嗚咽まじりの回答を聞いてしまった私は、走り出すしか、なかった。

「桜、青井桜はどこですかっっ?!」
息を切らし涙でぐしゃぐしゃになった私を見て看護師さんは若干苦笑いをしながら、
「お見舞いですか、?」と聞いて案内してくれた。
病室に駆け込むと、桜はじっと窓の外を眺めていた。外は青かった。そして桜の笑顔のように清んでいた。
「なんで、知ってるの…」
振り向いた桜は目を見張り、一瞬嬉しそうな顔を見せたあと、顔をしかめた。
「唯、帰って。」ぴしっと放たれた言葉に何も言い返せずうろたえていると、
「私、来てとも言ってないし、病気のこと言ってない、。」
とあの鈴のような声でさらりと放った。
「嫌だ、嫌だ、嫌だっっ!!」
気がつくと、泣いていた、しゃがみこんで子供のように泣いていた。
「しかた、ないなぁ…」
桜は根負けしたように笑いながら、私の背中を撫でた。
「桜、死なないよね」
願いをこめて言うと、桜は
「死ぬよ」
と、いとも簡単にするりと言った。
私は、もうどうすればいいか分からなかった。
「あと、どれくらい、もつかわからないから、沢山話しをしよう。」
そう、桜は言った。私は、ずっと、ずっと聞きたかったことを口にした。
「なんで、告白切ったのにキス、したのよ…」
桜は何か隠すように笑って言った。
「私、レズとかじゃないからさ、あきらめてもらうために」
彼女は嘘をついている。だって、桜は嘘をつくとき髪をさわる。
「けど、唯は私の一番の親友だからさ、最後に明日出掛けたいの、!」
彼女が言うとおり、最後とか思えなかった。

じんわりとシャツに雨が染み込む。
「雨降ってきちゃったね…」
桜とのお出掛け、まさかの雨。まじかよ。
「大丈夫?体冷えたら余計…」
私が、心配そうな言葉を口に出すと桜はむっと膨れて怒った。
「大丈夫だって!ほら行こう!」
桜は私の手を引いて、ずんずんと歩き始めた。雨に降られても構わず、か。
桜は、あまり遠いところまで外出出来ない。だから今日は近くのケーキ屋での女子会だ。甘味を頬張りながら喜ぶ彼女はとてもかわいくて、しあわせだった。けどケーキに掛かった苺のソースが不気味に見えた。彼女の死を理解してるからだろうか…

「美味しかったね!!また、来たいな~」
と、呟きながら桜と並んで歩いた。小さめの背は歩幅にも影響している、だから背の高い私はゆっくり歩くようにしている。そんなことを楽しみながら歩いていると、ふいに桜が、
「唯、私ね、唯に嘘ついたの」
と下をむき、足を止めた。
「嘘って、何?」
私が聞くと、桜は小さな口を開いて
「私、実は__」
その声は途中で切れた、危ないっ、そうさけんで桜は私を突き飛ばした。
目を開けると真っ赤だった、全部全部真っ赤だった。私の服も、トラックも電柱も、地面も、桜も。
桜の体は、足は変な方向にまがり、頭も正常な方向を向いてなかった。

うああああああああああっっ!!!!!!
私の悲鳴で誰かが気づいたらしい。救急車と警察がきた。けたたましいサイレン。私の視界は真っ白な光に包まれた。
ピッ、ピッ、ピッ、
定期的に音が流れる。ああ、ここは病院か…桜、、桜は?!私は点滴のチューブをビリと剥がし、桜の病室を探した。けど、桜の名前のプレートはどこにもなかった。次に私が桜を目にしたのは桜の葬式だった。笑顔の桜が遺影の中で美しく、いた。
「桜は病気で、あと少ししか時間がなく、その一日一日を_」
親族のスピーチすら、聞こえない、
「私のせいだ、私が…」
掠れた声で呟いた。私が桜を好きにならなければ、告白を切られた時点で諦めていれば、桜は_

葬儀のあと学校へ行き、桜の机の整理をしていると手紙が出てきた。しかも、私宛の。

唯へ!

私は実は唯に隠してることがあります。実は病気にかかっていて、もうすぐ死んじゃいます。驚いた?驚いたよね、分かってる。だから元気なうちにお手紙を書こうと思います。私、本当に唯と出会えて良かったです。沢山話して、色んなところにも出掛けて楽しかったよ!一緒にいるうちに唯のいいとこ悪いとこもわかったしね!唯って背が高いじゃない、で、私ってチビでしょ?あ、唯でもチビって言ったら許さないからね!いつも歩幅合わせてくれてたよね、気づいてた。ありがとう。私ね、唯のそういうところすごく好きなの、不器用だけどね!
あと、私実は嘘ついてました。レズじゃないとか言ってたけど、本当はレズなんだよー!!気づかなかったでしょ?!でね、好きな子が居たの。けど病気だったから付き合わなかった。けど好きな気持ちは押さえられなくて、キス、しちゃったの。私最低だよね、その好きな子はね…

唯!!大好きだよ!!

桜より

生きてる彼女からは聞けなかった、私が一番ほしかった言葉。好き。彼女はもうここにはいないけど、あの声が聞こえた気がした。


駅のホーム。じんわり濡れたシャツはまだ君を忘れさせてくれない。ホームの向こうにいるはずのない君の姿が見えて、瞳から落ちた恋が濡れたシャツをさらに濡らしていった。

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ななしさん
面白かったです。
ななしさん
読みましたー

一気に読めるテンポの良い小説でした。

>目が泳ぎまくってる。魚でもこんな泳がないだろ
この表現気に入りましたw 目を魚に例えるとか、上手い

>私、レズとかじゃないからさ
これ、どんでん返しですねw びっくりしたわ。主人公の名が唯だから、てっきり男子かと思ってた。


これ、書いた人の体験と重なっているとこがあるのでしょうか?
かなりリアルな描写もあり、読む人の感情を動かします。
透明で、切なくて、綺麗で、暗るさと暗さの混じった、ビードロのような感じです。
てぇてぇ(尊い)なあ。
人魚姫が泡になる的なエモみ(情緒的な感動)を感じた。
ななしさん
んー。
小説好きからすると、もうちょっと場所の詳しい描写がほしいかも。
具体的にどんな学校にいるのかとか、家は田舎なのか都会なのか、古いのか新築なのかとかね。

あと、文章の長さの都合だけど、短くしてるからずいぶんと物語が飛躍してる。


きっと唯は女の子なんだろうけど、序盤で主人公の説明が無いから、後半になってよく読んでなかっから「唯!?それは誰ぞ!?」ってなったかな。笑
主人公匿名系ならいいんだけどね笑



桜ちゃんどうせ死んでしまうなら、
「唯、私ね、唯に嘘ついたの」
ってセリフのとこ、唯が帰ったあと病室で一人涙を流しながら呟いていて欲しいかも。
唯にレズだという事実を伝えるなら、桜ちゃんが病気で死んだあとに手紙で伝えるのが好きかな。
じゃないと、目の前で死んだら唯はノイローゼにかかってしまうし、そうなると最後の駅のホームは「自殺」なのかなって思ってしまいますね。
(あれ?もしかして自殺オチなのかな,,,?もしそうだったらすみません)


他の登場人物もすくないかな。
主要人物しか出てこないから、割りとサクサク進みすぎて、仮に本にするなら、ページが少なくなると思う。


あと、完全に個人的意見になるんだけど、出会ってから夏祭りに誘う前に、一回二人でどこか遊びに行かせてほしいかな。
仲良くなりましたっていう完全な事実みたいなものが欲しい笑




これ読んでわかったのは、あなたは同性が好きって事かな。
プロフにも自分の性別のこと色々書いてましたしね。

次また書くなら、三角関係ものお願いします!笑
それか、ヤンデレもの笑
(↑これは個人的に超萌える)



ちょっと厳しい評価をしたかもしれませんが、面白かったですよ。
一個の小瓶に纏めてしまうのではなくて、
複数の小瓶に分けて「part○」とかでやってくれると、次刊をまつ楽しさとかにもなるし、文も長く出来るから詳しく書けるかも。
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