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小説。『夕陽色マカロン』「今日はここまで!授業を終わります」「「「「ありがとうございました!」」」」授業が終わり、皆、がやがやと体育館から

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「今日はここまで!授業を終わります」

「「「「ありがとうございました!」」」」

授業が終わり、皆、がやがやと体育館から教室へと戻り出す。

私も、その中の一人。


「つっかれたぁぁぁ」

どんっと肩に腕を乗っけて声をかけてきたのは親友の菜美。

「なぁみぃ…重い、痛い…。勢いつけて来るのは反則だってばぁぁ…!」


私は唸りながら菜美の腕に耐える。

それでもさらに力を加えてくる菜美は全くこっちのことなどお構い無しだ。

正直言って、この子は色々と強い。

性格、力、その他諸々。

本人の自覚意識は不明。

「だって、演劇疲れたんだもん。この疲れをさあやに受け止めて欲しかったんだよね」

「受け止められるかっ!!」

ベリっと菜美の腕を剥がして、教室への階段を上る。

えぇぇ、と文句を言いながらも菜美はノロノロと私の隣へ来た。

ダルそうに歩く菜美は相当練習がこたえたらしい。

それでも私に馬鹿力かけてくるのはおかしいけどね。

うん。

「そ、れ、に!私の名前はさあやじゃなくて、沙耶だから!母音要らないの!」


ドアを開けながら菜美に注意し、自分の席へと座る。

菜美はそんな私の前の椅子へ腰をかけた。

‘いいじゃないのお’なんて、何処ぞの古いネタを使ってる時点でこの子は多分おばあちゃんなんだと思う。

口に出したら半殺しされるかもしれないから言わないけど。。

てかテンションが今おかしいだけだからそのうち治るんだろーけど。

私の名前は茶谷沙耶(ちゃたにさや)。

決してさあやじゃない。

«さ»を伸ばすと、なんだか子供っぽい名前になって嫌だから毎度訂正させてもらってる。

それでも呼んでくるのは、いつメン3人だ。

言っても言っても懲りずに呼んでくる。

まぁ菜美を除く2人は普段は名字読みだけれども。


「さぁやー、また言ってんの?お前。あんまり言ってると、耳にタコ出来る」


耳を塞ぎながらやって来たのはいつメンの一人、夕。

後ろにはもう一人の琉太をいた。


「だって、子供っぽいじゃんか、さあやって。私はれっきとした中学三年生だ。幼稚園児ではない、決して!」

「それも何回聞いたことか!まじで耳にタコできるっつーの!つか、もうそろそろ生まれる!!アシ八本出てきそう!」

「気持ち悪いわ!!てか違うそれ絶対!」


ペシっと頭を叩いてきたから、下敷きで叩き返してやった。

イタッ!?って声が聞こえてきたけど気にしない。

睨まれてもいるけど気にしない。


「さあや、そんな怒んなよ。でも、さあやっていいニックネームなのにな」

苦笑いをしながら琉太が言う。

悪びれもなく、さらっとさあやって呼んだよこのひと。


「いーの!私は却下なの!」

「そーなんだな」


やっぱり苦笑いのまま琉太は言った。

夕は他の方に気を向けていて、前の席に座っている菜美と、‘ そこ、俺の席なんだけど’‘だから?’などど、話をしていた。

菜美さん、性格強いです。

夕、無念。


「ほぉら、席付けー」

しかし、担任が入ってきたことにより、渋々菜美は席を立ち、自分の席へ戻って行った。

席を返してもらった夕はガッツポーズをして席につこうとしてたので、菜美に睨まれてびびってた。

ざまぁみろ。


「じゃあ、帰りの会、始めるぞー。」

教室に入ってきた担任によって帰りの会が進んでいく。

その間私と夕は少々おしゃべりをする。

これは日課だったりする。


「なあなあ、明日遊ばね?」

「いやいや、勉強しなよ。受験もうあと少しだよ?!」

夕のいきなりの提案にビックリして謎のポーズをしてしまった。

若干引いた顔をしている気がするが気のせいだろう。

まぁそれはそうと、私達は今中学三年生。

もう少しで高校受験がある。

つまり、あと2ヶ月くらいで皆とはお別れだ。

「いや、まぁ、そうなんだけど。。」

夕が渋い顔をして頬を掻きながら、ごもごもと口の中で何かを言ってるのを珍しいなと思いながら見る。

いつもははっきり言うのに。


「なあに、なんかあるの?」


私が仕方なく聞き、夕が口を開きかけたとき担任の注意が入った。

そこで夕は開きかけた口をキュッと閉め、前を向いた。

…なんだったの一体。

そのまま、帰りの会は終わり各自放課後の活動に移った。

まぁ、受験もあるし殆どの人はかえるけど。


「菜美、帰ろ」

周りの子達と話していた菜美に声をかけ荷物をぶらぶらさせる。

振り向いた菜美は頷き、帰る支度をし始めた。

「まだ、支度してなかったの?」

「喋ってたら、帰りの会終わってた」

「なんで注意されないの!??」

「場所じゃない?」

差別だ、差別。

なんで、私と夕だけ注意されるんだ。

私と夕の席は2×7の3列の中の真ん中で、前から3、4番目。

つまり教卓から目が行きやすい場所。

…うん、私たち注意されるわな、当然だわ。


「菜美はいいよねぇ、窓側の1番前だしー」

「そんなことないよ。だって、教卓目の前にあるから。朝読書の時間とか先生近くに居るから嫌」

「それは確かにそうだ」

うむ、と頷いた私は担任に相当失礼だな、なんて他人事のように思った。

担任の姿が視界に常に入ってるのは嫌だ。

菜美の席には絶対行きたくないと思い直す。

その後話しかけても一切無視して支度を始めたのでそこら辺の机に座って待つことにした。

菜美さん、相変わらず酷すぎる。

ちなみに琉太は廊下側の一番後ろだ。

冬の廊下側は寒くて私だったら無理。

ドアがボロいせいで、すきま風が凄いからとてもじゃないけど耐えられない。

琉太はそんなのへっちゃらそうな顔して本読んでるか寝てるけど。

うん、どっちかをいつもしてる。

授業絶対寝てると思う。

なのに成績いいからムカつくけど!


「沙耶さぁん、準備出来ましたから帰りましょー」

菜美が顔の前で手をプラプラ振ってきてた。

いつの間にかぼーっとしてたらしい。

「あ、そーだ!夕!!」

「夕?夕がどしたの?」

「帰りの会の時、なんか言いかけてたやつあったんだった!!」

「どっちが?」

「向こう!!」

菜美も話してたらすっかり忘れてた。

きょろきょろと見渡すと、教室の隅で琉太と話している姿を見つけた。

「ゆぅううううう!!!」

「叫ばんでも聞こえるわ!!!」

話し込んでるっぽかったから聞こえるように手でメガホンの形を作って叫んだら、怒られた。

言いじゃんね、叫んだって。

ずんずんと歩み寄ってきた夕は私の頭にチョップをして近くの机の上に座った。

琉太も続いてやってきた。

てか、痛いってば!

私は心が寛大だから許してあげるけど。


「で、なんか用か??」

何も無かったようにへらっと笑いながら言ってきた姿になんかイラッと来たのでお腹にパンチをしてやった。

腰を曲げて痛がってるけど気の所為だ。

というか、気の所為って思うの今日で何回目だ…。


「いってーよ!」

復活した夕は頭に手を当てて、さわいでる。

あぁ、なるほど、

「キチガイか」

「失礼か!!」

「あら、声に出ていたかしらねぇ」

「はっ!BBAかよ」

「誰がばばあじゃ、おらぁぁあ!!」

もう一度腹パンしようと試みるが、防がれてしまう。

すぐさま、脇を狙うもこれも防がれてしまった。

「何防いでんの、夕のあほ!」

「防ぐなってか!??俺の人権!!」

「ないわそんなの!」

「なわけ!!」

「あんたら、コントしてないで会話進めてくれないかな」

「相変わらず、仲良いなぁお前ら」

青筋が浮かんでそうな顔をした菜美と微笑む琉太がこちらを見ていた。

「「ないっ!!」」

すぐさま否定をしたら、夕とハモってしまった。

なんてこと!!

「はい、おつぅ」

「あはは」

いつもこうやって、夕とはもってしまう。

別に合わせてるわけじゃないのに、何故か重なってしまうのだった。


「まぁ、いーや。で、沙耶あんた聞きたいことあるんでしょ?」

「あっ、そうそう!!夕に聞きたいことあったんだった!」

「俺に?」


こいつ、はてなマーク浮かんでるけど大丈夫かな。さっき自分がいいかけてたこと忘れてるのかな。


「帰りの会の時、なんかいいかけたでしょ?」

「あー、それな」


夕は思い出したぁと言って、手をポンッ、と叩いた。


「何話してたの?」


会話を知らない琉太が聞いてくる。

夕は琉太の方を向いて答えた。


「明日遊ばね?って茶谷に聞いたんだよ」

「いや、受験勉強…」

「それ、茶谷にも言われたわ」


菜美の指摘に、夕は苦笑いをしながら答える。


「確かに受験シーズンの大事な土曜日だよな。夕何したいの?」

「実はなぁ、卒業制作の練習付き合ってほしーんだ。」

「練習ぅぅう??」


うげぇって顔をして言ったのは菜美。

菜美さん、演技疲れたって今日言ってたもんね。

嫌なんですよね。

「おー、そうそう。来週卒業制作発表会だろ?なんか演技自信ねーんだよ」

私達は来週、卒業制作発表会というものを全校生徒の前で行う。

卒業前に行う最後の学校恒例のイベントだ。

卒業制作発表会、もとい、卒業制作はクラスごとに行われる。

ジャンルは様々で、なんでもありだ。

私達Aクラスは演劇、Bはダンス、Cは各自の得意なことを行うパフォーマンスだ。

私たちの演目名は、『月の姫』。

過保護な王様のせいで、ガラスの城に軟禁状態の一人娘のお姫様は外の世界に恋焦がれていて、いつも夜に窓の外を見つめている。

そんな中、夜を旅するある同い年くらいの少年に出会い、外の世界を知っていく。

2人はだんだん惹かれあっていくが、別れがやってくる。

いつか必ず会いに来るよと、約束をし別れ数年の時が経った頃、ある王子様から婚約がはいる。

その国はとても安全とされている国で王様は安心してその王子との婚約を結んでしまう。

しかし、少年のことを忘れられなかった姫は引きこもってしまう。

そんな中、再び少年がやってくる。

その姿は昔のままで、成長した姫との身長差ができているほどだった。

そして少年は王子様と会ってあげてくれと言い、姫は悲しみに染まるが、少年への気持ちを封じて王子様と会うことを決意する。

翌日、王子様と会うと少年がいつも身につけていたペンダントが目に入り、少年は王子様だったことを知る。

実は王子様は夜の姿だけ子供の姿になり魔法使いになれる力を持っていたのだ。

そのことを知り、姫は喜び王子様に抱きつき。そして2人はめでたく結婚する、というお話。

ちょっと違うかもしれないけど、ラプンツェルとピーターパンを合わせたみたいな感じになっている。

脚本も道具もメイクも全て自分たちで行い、キャストも自分達で決めて行うことになっている。

その発表会が来週の、……そう、バレンタインデーの日。


「まぁ、夕は大事な王子様役だもんねぇ…。」


菜美は‘大変ね’と呟きながら頬に手を当て机に肘をついていた。

いつの間に席に着いてたの、あなた…。

王子様と少年は、台本上では同一人物だが成長過程を入れなくてはならないので、バラバラの役として2人で行うことになっていた。

その中の王子様役が夕だ。

王子様役は、自分が主役のシーンもあるが比較的台詞が少ない。

しかし、重要シーンがある。

結婚式の時にキスをする場面があるのだ。


「そーなんだよ。いいよな、お前ら楽そうだし…。」


ガックシと項垂れた夕に私達は同じタイミング‘ドンマイ’と言っていた。

‘はもってんなよ…’と私達に背を向け膝をかかえいじけ始めた。

仕方ないなぁ…。

私は要らない紙に«キノコ栽培中»と書いて菜美に渡す。

すると、察した菜美は教卓の上に置いてあるセロハンテープを切って紙に付け琉太に渡し、琉太は肩を震わせながらそれを夕の背中に貼っつけた。

見事な連携プレーだった。


「お前ら、いい加減にしろぉおお!」

「「「あ、生きてた」」」

「生きてますけど!??」


ピクっと反応した夕は雄叫びを上げた。

栽培してたんじゃあなかったのか


「まぁでも、夕程じゃないけど私達だってセリフのある役あるし、大変っちゃ大変だよ?」

「うんうん」

「いや、鳴瀬と茶谷は分かるとして琉太は楽だろ…」

「「木、だもんね」」

「言うなよそれ…」


次は琉太が沈んでしまった。

そう、琉太は木の役だ。

クラス全員で舞台をやるのだが、必要なキャストの数は少ないため、ちょっとしたものも役になってしまうのだ。

役は公平にと、くじ引きで決められた。

その結果、琉太は木に。

40分の1の確率でなるのだから相当運がいい。多分。

菜美は姫に仕えるセリフ多めのメイド。

とは言っても、‘姫様、着替えを’‘姫様、こちらにお越しください’など、特に目立つセリフでは無い。

でも、私は…


「私は悪役だよね」

「俺と姫様の恋路邪魔するもんなお前」

「王子様が好きな設定なんだから仕方ないでしょーが」

「いやぁ照れる」

「お前じゃないわ」


そう、私は悪役のメイドだったり、する。

王子様に恋をしているため、姫に嘘を吹き込んで、悲しみにあけ暮らせるというなんとも最悪な役だ。

そして地味にセリフが多い。


「私も大変よね」

「自分で言う?」


菜美が呆れたふうに言う。


「てか、話ズレてるけど、どーすんの明日」

「今日が8日だろ?あと、1、2、3…今日合わせて7日か?まぁ確かにやりたい気もするな。俺木だけど…」

「琉太、いじけないで?まぁでもそーなるね」

「そーなんだよ。貴重な1日なのは分かってっけど、やりたいんだよな。今回は頑張りてーんだよ」

「最後だもんねぇ…」

「でも生憎と私達明日用事あるわ」


菜美は私の腕をとって、持ち上げて言う。

そう、実は明日チョコを作るつもりなのだ。


「よぉじぃい??え、受験受験って言ってたの誰だよ!」

「こいつ」

「俺指すのやめてくれ…」


琉太の方に指をさした菜美は私知りませぇんって顔をして言った。

菜美、約束覚えてくれてたんだ


「そーなんだよね、実は。どーしても外せない用事」

「そーか。じゃあ諦めるしかねぇーかぁぁ」


私が菜美に便乗して言うと、あっさり引いてくれた。

夕はドンマイと琉太に肩を叩かれ、‘俺が付き合うよ’と言ってもらっていた。

琉太優しい、流石ジェントルマン。


「月曜の朝は手伝ってあげるよ」

「まじ!?サンキューさあや!!」

「さあや言うなぁ!!」


なんだーかんだーとその後も少し話をし、靴箱へ移動した。


「じゃあ、月曜日なぁ!」

「じゃあ」


琉太と夕は校門で別れ、菜美と一緒に道を歩く。


「じゃ明日は私の家に集合ね」

「ん、りょーかい!」


交差点に差し掛かり、菜美は右へ私は左へ別れた。

明日が楽しみだ。

____次の日。

朝9時に起きた私は予め買っておいた材料を持って菜美の家にたったっと駆ける。

集合は10時だから、走んなくても大丈夫なんだけどね。

ピンボーンとチャイムを押し、出迎えてくれた菜美のお母さんに挨拶をして台所にいる菜美と‘おはよ’‘はよ’とテンション低めの挨拶をした。


「じゃあ、作ろーか」

「おん!!」


エプロンをしてやる気満々の私と台所の椅子に座ってやる気なしのオーラ出しまくっている菜美。

差が激しすぎる。。


「なぁみぃ、やる気無さすぎだってぇえ」

「だってあんた、本命作るんでしょ?なんかすごすぎてある意味リスペクト。」

「ほっ、ほほほほほほ本命じゃないよ!???」

「どもりすぎ」

「いや、でも、確かに、本命、なのか」

「にしても意外よねぇ、あんたが夕好きだなんて」

「うっ、!!」


そう、私は夕のことが好きだったり…する。

いつも喧嘩みたいになるし、男子同士みたいな絡みしちゃってアピールできてないけど。。

それでも、夕が好きなんだ。


「しかも3年間、ずぅっと恋してるし?」

「それはぁぁ、言わない約束でしょおおお!!」

「いつ、私が約束したの」

「収録前」

「今収録中でもなんでもないし、そもそも番組でもないわ。それにどんな番組よ」

「私の恋の物語」

「寝るわ」


酷すぎか!!


「でもあんた恋成功したことないよねー」

‘ほんとこっちが見てて気の毒なくらいぃい’なんて言いながら手をひらひら宙に泳がせる菜美。

まぁ、そーなんだけど。。

菜美と私は小学校から一緒で1年生の頃からずっと同じクラスだから、菜美は私の恋愛事情を全て知っている。

そう、尽く失敗してきた私の恋愛談を。

小学二年生。

信用してた友達のプロフに秘密だよなんて言って書いてあげた好きな人の名前が、翌日の学校でクラスのみんなに広まってたことが発覚。

勿論、フラれておしまい。

友達にも裏切られ無念に終わった。

小学四年生。

転校してきた、ちょっぴりカッコイイサッカー少年に恋をした。

その人とは仲がとってもよくて、よく遊んだり家に招かれたりもした。

告白したことはまたまたクラスの皆に広まって大変だったけど、その人は俺も好きだって翌週言ってくれた。

でも付き合おうとか言わなくて曖昧な関係が続く中、ある日男子に大声で『さや、◯◯のこと好きなんだろおー!』と言われた時私は恥ずかしくて『大嫌いだし!』なんて叫んでしまった。

それがきっかけでその人とは卒業まであまり話さなくなってしまい、気まずい関係に。

それでも諦めなかった私は小学六年生の時再び告白する。

返事を待ってたが、その人は受験をしていて合格したことを知った私は振られると分かり、自ら告白の返事はいらないと言ってしまった。

はい、無念。。


「でも、でも今度こそ後悔しないように、失敗しないようにするの!!」

「後悔、失敗ねぇ…。あんたも頑張るね。そーゆーとこは好きだけど」

「菜美!!!」

「うそ、ふつーだわ」

「切り替え早い!!デレからのツンなる切り替わり時間短い!!」

「うるさいわ」


フンっと横向いてしまった菜美はちょっぴり耳が紅くなってる。

そんな所はすっごく可愛いと思ってしまうんです。


「そんで、何作るんだっけ?」

「まぁかぁろぉん」

「伸ばすなうざったい」

「ツンが強い!!」

「はいはい。で、なんでマカロン?」

「私、先週材料買った時話しましたよね…。」

「忘れた」

「さっきから当たり強すぎません!??」

「あんたはテンション高いウザイ」


いや、だから酷い…。

でも、とりもちセンチメンタルの持ち主の私は負けません。


「お菓子の意味、を利用したくってさ」

「意味?」

「そ、意味。お菓子にも色々意味があるんやでぇー」

「そのエセ関西弁とくねくねダンスやめろ」

「…あい。」


私のバナナダンスをくねくねダンスと呼ぶなんて…。

まぁいいよ、話しますよ。。

‘ まぁ、お菓子には意味があるってね。

私はその意味を利用したくてマカロンを作ることに決めたの。

…はい、2回目ですね、ごめんって菜美。

でもチョコには特に意味は無いらしいの。

生チョコ、マロンチョコ、ガトーショコラ、色々種類に分けると意味はあるけど、チョコっていう全体自体には無いみたい。

ほんとーかどうかは知らないよ?

だって、所詮ネットだもん。’


「ネットなのかよ。本とかの豆知識じゃなかったの?というか、わざわざ調べたの?」

「菜美、質問とツッコミ多いよ、私おっつけないです。。」

「黙らっしゃい。まぁ、続けて」


‘ 黙れって言ったのそっちじゃんかァァ。 ’
叫んでも耳を塞いで無視された。

良いです、続けますもん。

‘ まぁ、それでチョコに意味はなかったんだけど、キャンディとかマカロン、キャラメル、クッキー、マシュマロ、には意味があるらしくて。

最初にあげた3つは本命の人にあげるといいらしいの。

キャンディは『あなたが好き』
マカロンは『あなたは特別な人』
キャラメルは『一緒にいると安心する』
って、意味があるみたい。

で、クッキーは友達向け。

意味は『友達でいよう』

クッキーはサクッとした食感が特徴で、乾燥してるでしょ?

この乾いている状態とサクッとした食感から、

『2人の関係も乾いていて、サクッとあっさりしている』

という意味で、友達のままとで居ようということになるんだとか!’

スマホから顔を上げると、何やら視線が…


「途中からケータイちょこちょこ見てるよね?」

「気のせいじゃない!???」

「覚えてないのね、あんた…」


‘ もー、兎に角続けるよ?’と、スマホを背に隠しながら声をかける私。

訝しげな目線がこちらに送られてきてるから冷や汗ダラダラだ。

‘ 最後にマシュマロ。

これはダメ、まじ絶対だめ。

なんとマシュマロは、『あなたのことが嫌いです』という意味を持つんだって!!

何故かというと、マシュマロは食べるとすぐに溶けてなくなっちゃうでしょ?

そこから『あなたとの関係もその程度にしておこう』という意味になっているんだとか。。

まぁでも、例外もあるらしく。

『チョコ入りのマシュマロ』は意味が違って、中に入っているチョコを“愛する気持ち”と例え、

『純白の愛で包み込む』

という意味になるんだって。

中はチョコ入りだよー!って説明しなきゃいけないから面倒という面もあるけどね。

以上、沙耶のお菓子の意味とはでした!!’

ぱっぱかぱーんと、最後に効果音を口で言って自分で拍手もしたら白目で見られた。

悲しい…


「てか最終的に語尾とか色々変えて丸読みしたよ、この人…」

「私だって全部覚えてられないから仕方ないでしょー!」


細かい所は突っ込んじゃいけないと思うよ私!!


「まぁ、意味は分かった。で、なんでマカロン??」

「あぁ、本命に渡していいの3つあるもんね」

「そそ。直球で伝えるならキャンディのがいいんじゃないの?」

「そーなんだけどー、マカロンは、他のお菓子よりも見栄えや値段も含め、高級感があることから、『特別な人へ贈るお菓子』とされてるって、書いてあるからーー、」

「結局全部ネット引用か」

「いやいや、そんなことないよ!??」


慌てて否定するも、100%疑ってますという目線で見られていた。

既に時お寿司とはこの事か…


「遅しね??私夕役はやりたくないんだけど。ツッコミめんどい、ボケるなあほ。アボカドか」

「口に出てた!?しかも、何そのアボカドって!???」


ツッコミどころ多いのは菜美さんも変わらないのでは…と言っても睨まれるがオチなので言わないことにした。はい。


「マカロン作るの難しいよ?」

「重々承知してます」

「買った方が早いんじゃないの?それか、キャンディにするとか」

菜美の言う通りだと、心の中で思う。

私も最初はそう思った。

作るより、買う方がいいって。

受験生だし、時間的にも足りない。

余裕が無いのは分かってた。

でも、

「夕、マカロン好きって言ってたの、前に。確かに難しいけど、手作りあげたいの。最後だから」

「そっちがほんとーの理由ってわけね」

菜美はため息をついた。

夕が前に言っていた言葉。

何気なく好きなチョコの種類を聞き出そうとした時に言っていた言葉。

『夕、何好きなの?チョコの中で』

『チョコかぁ。生チョコかな。まぁでもマカロンのが好き』

『いやもうチョコじゃなくて、お菓子の中でになってるし…。でもなんでマカロン?』

『そ、それは…。色んな色あって可愛いたまろ?!それに見栄えいいし、美味いし!』

『言ってる意味がさっぱり分からないし、女子かあんたは』

『うるさいわ!いいんだよ、俺はマカロンが好きなんですぅうう』


…なんて会話をしたことを伝えると納得した風に頷く菜美。

きっと心の中では私と一緒で女子か!なんて思ってるんだろう。

そこはあえて触れないけど。


「はぁ、、そこまでしたいならいいよ。作ろっか」

「ほんと!??」


またまた溜息をつきながらも、やる気を出してくれた菜美の方に飛び跳ねる。

‘うさぎか!’って言われたけどあいにくと私は猫の方が好きです。

言ったら蹴られたけど。。

脛痛い。。


「ほんと、ほんと。それに材料買っちゃったし」

「ありがと、菜美!!」

「そのかわり、ちゃんと告白すること!いい??」

「…頑張る」


___そうして後に引けない約束をして作り始めたマカロンは無事完成した。


「でっきたぁあ」

「疲れた…」


出来た頃にはもう夕陽が街を染めていた。

二人共もうクタクタで、ソファに寝転んでいた。


「思ったより、時間かかったわやっぱり」

「失敗しまくったもんねぇ…。材料多めに買っといて良かった」


完璧な形のマカロンになるまで、たくさんの失敗をした。

オーブンの温度が低すぎたり、生地が悪かったりでヒビが入ったり、成功したかと思ったら乾燥不足やメレンゲのせいでピエがなかったりと、なかなか成功しなかった。

何度も繰り返して、やっと成功した。


「ラッピングも終わったし、あとは渡すだけね」

「…うん」


いよいよ、告白するんだ私

今までの失敗例のせいでめちゃくちゃ自信ないけど、頑張んなきゃ!

ふんっなんて鼻息荒くしてみた。

もち心の中で。


「残りは琉太にあげるよーっと」

菜美は台所に戻りラッピングをし始めていた。

いつの間に移動したのあの人…。

忍者か!?

忍者の末裔か!?

「バカ言ってんなよ、あほ」

「口荒くなってませんかね菜美さん…」

「あ?」

「や、気の所為っすね、はい!!!!」

「んだよねぇ」

どす黒い声から音符の着きそうな勢いの声の時の温度差が激しすぎて私は凍えそうである。

ノロノロと立ち上がった私は菜美の方に行く。

丁度ラッピングが終わったみたいで、周りの残骸を片付けていた。


「それ、琉太にあげるの?」

「うん、あげる。折角作ったんだしお裾分け」

「え、意味の説明しましたよね私」

「分かってるよー」

「分かってて渡すの??」

「うん、だって好きだし」


………………………



「えぇぇぇええええ!????」

「うっせーわ!!」

「はっ、!ごめんなさい!!え、でも、え!?」


しばらくの沈黙に叫んだ声は疲れている菜美の癪に触ったらしく、偉い形相と声で怒鳴られた。

勢いよく土下座しちゃったよ私。


「はぁ、、話してなかったっけ?沙耶に」

「初耳ですけども!?」


そーいえば、私の恋愛相談は受けてもらってたけど菜美のは聞いたこと無かったかも。

約9年間一緒にいて気づかなかった私は相当情けないっす…


「だってあんたに話すと興奮すると思って」

「私は恋愛話をおやつにしてる犬か!」

「違うの?」

「…いや、いいっすそれで、はい」


まじでとぼけた顔で言われたら否定するのもやめてまうわ…

私今日だけでどんだけHP減ったんだろーか


「まぁ、告白はしないけど気づかれたら気づかれたでそれでいーやって感じで渡す」

「軽っ!?」

「まぁ、いーじゃん。琉太物知りだし知ってそうだけど、鈍感だから気づかないかもねぇ」


そう言ってカラカラ笑う菜美は楽しそうで、恋してる顔してた。

ほんとに好きなんだなぁ

気づけなかった私は不甲斐ない親友だよ。。


「じゃあ、日も暮れてるし解散ね」

「渡すの、卒制の日でいいよね??」

「それじゃなきゃ意味ないでしょーが。終わったあとに呼び出してちゃんと渡しなよ?で告ってこい」

「う、うん!」


圧をくらった私はばいばーいと玄関で別れ、帰路を急いだ。

割と暗くてお母さんにこれは怒られるかもなぁなんて思いながら走った。

明後日は、学校か。

…いや祝日だから明明後日だ。

その間練習と勉強がんばろっと。なんて、心の中で意気込んだ。

_2月12日(火)


三連休を終えた今日は残り3日と本番も迫ってきてるため、本番により近くするために衣装を着ての練習が行われた。

初めて衣装を着るため、出てない人は衣装の着方の説明を順に受けていた。

周りの空気はピリピリしていて、本番へと緊張が窺える。

指導をする教師側もキャストもいつもより真剣な表情で、演技に力を注いでいた。


「姫」

「あなたは、あなたはあの少年、!?」

「そうです、騙したような形になってしまい申し訳ありません」

「いいの。。本当の姿の、貴方に会えて、嬉しいわっ、!」


─パンパンッ


指導の先生が手を叩き、演技を止めさせる。


「1回止めてー!…王子様役の子よくなってるよ。表情もできてる。この調子でやってね。姫はもっとびっくりした感じがほしい。じゃあもう1回!」

「「はい!!」」


そして再び同じ場面が始まる。


「夕、すごいやる気…」


片隅で見ていた私は思わず声に出してしまった。

演技をしている夕は感情が高揚しているのか、とても生き生きとしていた。

前とはまるで違った。


今は最後のシーン。

ちなみにラブシーンは本番以外は皆の前でやらないとのこと。

見たくもないからそれは万々歳だけど、時々放課後の15分間残って先生方と練習をしているらしい。

しかも、暗い中女子一人で帰らせるのはアレだからと2人で帰らせてるとか、!


「忌々しい…」

「どこぞの悪役だよ、茶谷は…」

「あ、琉太」


ひょこっと現れたのは木の姿をした琉太だった。

「ふっ、」

「今笑っただろ、笑ったよな、怒るからな?!」


大きい声で話せないため琉太は小さな声で叫んだ。

なぜ笑ったかというと、琉太の格好が緑アフロと全身茶色い服だったから。

手袋も靴も茶色だ。


「もう、完璧木になれるね、っ、ふは、っ」

「もー、笑うなってば」


私がクスクス笑うと、琉太は私の頭を小突いてしゃがみこんだ。

項垂れちゃったから謝るために隣に私もしゃがむ。


「ごめんって」

「若干笑いながら謝っても意味ないからな?」

「うっ、ごめんんん」


琉太は‘まぁ、いいよ’と頭を上げて笑った。

流石ジェントルマン。

2人でしゃがみ込んだまま夕の演技を見る。

私も姫に、なりたかったなぁ。


「こればっかりは仕方ないけどな。似合ってたんじゃない??」

「えっ、声にでてた?!」

「すっげー小さい声で」

「琉太地獄耳じゃん…」

「さあやに言われたくないなぁ」

「今さあや言った、絶対言った!」

「気の所為だろー」


クスクスと笑う琉太は爽やかすぎて私には少し眩しいです…。

さあやと言ったのは許すまじことだけど許そうと思ってしまうよ。。


「あんたら、しゃがんでたら怒られるよー?」


上から声が聞こえ、上をむくと呆れた顔の菜美が居た。


「メイド服似合ってる…!!」


声をかけてきた菜美は、メイドカフェみたいにミニスカではない、ヴィクトリアン風っていうのかな、清楚な感じの服を着ていた。


「そう、ありがと」


くるっと、1周してみせた菜美は耳が紅くなってて可愛かった。


「へぇ、メイド服か。雰囲気が鳴瀬にあってんね」

「そーゆー琉太も最高に合ってるよ」

「それ褒め言葉じゃないよな…」

「最大の褒め言葉だよ」


菜美は琉太の姿を見て笑いそうになっていたが必死に表情をキープしていた。

表情筋鍛えられるね、菜美。。


「じゃあ、2人は終わりー!3の場面やるから担当のキャスト達は来てー!」


夕と姫のシーンが終わったのか、演技指導の先生が呼びかけをする。

演技をしていた生徒と入れ替わるように他の生徒が舞台に入っていく。

夕は…と、、。

キョロキョロと目線を動かして探すと、演技を終えた夕と姫がステージをおり、私たちの所から少し離れた所で話をしているのを見つけた。


「夕くん、良かったよ〜!演技、すっごく上手くなってたァ!!」


げっ、、

姫、こと、琴里が夕とそれはもう仲睦まじく話をしていた。

しかもさり気ない(いやあんなのはさり気ないとは言わないわ、めっちゃ腕掴んでる)ボディータッチ付きで。


「わぁ、あんたの幼なじみ凄いね…」

「あんな性格悪い馬鹿、幼なじみじゃないわ…」


菜美が引いたように言ったのを私は嫌そうな声で返した。

琴里は私の幼なじみ。

家が近所で親同士の中が良く、よく遊んだ。

とは言っても、小学生の頃からは仲が悪い。

あのぶりっ子のような話し方、女子と男子の対応の差、裏の顔など、私と合わないところが多すぎて正直言って、無理だった。

それに向こうは私のこと嫌いらしい。

意見が合わないからだとか。


「そうか?サンキュー」

「この調子で本番も頑張ってね!応援してる!」

「おー」


夕も満更でもないのか、笑いながら琴里の方を向いて話している。

なぁにさ、あんなに照れながら楽しそうに話しちゃって…。

私なんて眼中にもないんだろうなぁ。

などと、心の中で思いながら夕達から目を逸らす。

多分、夕は琴里のこと好きだと思う。

琴里は性格は悪くとも顔は割と可愛い。

男子はあの性格を知らないことが多いから、けっこうモテてるんじゃないかと思う。

夕が知ってるかは知らないけど、やっぱり、琴里は女の子っぽいし。

私なんか、男子みたいな性格だから友達以上になんて見られてないんだと思う。


「沙耶…」


思わず目を逸らし、声のするほうを見ると、私が夕の方を見ていたことに気づいていた菜美と琉太が心配そうな顔をしてこちらを見ていた。

琉太には好きな人の話してないけど、きっとバレてる。

あんなに見てたら誰でも察せれると思う


「沙耶ー!衣装合わせたいから来てー」

「あー、うん。今行くー!」


衣装の呼び出しがかかり、返事をしてからもう一度夕の方を見る。

‘明日もあるねェ、放課後練習〜。夕くん、家まで送ってってねェ’‘気分でな’‘もうひどぉい’
なんて、2人で帰る約束なんてしているのを見て思わず目が熱くなる。

慌てて首を振って涙が出そうになるのを止め、菜美と琉太に声をかける。


「じゃあ、行ってくるね」

「ん、行ってらっしゃい」

「おう、後で来いよ」

「うん、行くいく」


未だ心配そうな顔をするふたりと約束をして、衣装係の人の元へ向かう。

用意してあったのは、周りのメイドの人達とは少しデザインの違うメイド服。

黒い模様が所々に刺繍してあって、悪魔のような雰囲気が出している。


「悪役メイドにピッタリだね」

「でしょ?頑張ったよー」


私が思わず褒めると、衣装係の子はえっへんと声を出しながらドヤ顔をする。

そんな姿に笑い、少し会話をしてから服を着せてもらった。


「うん、ピッタリ」

「だねぇ、凄いよこれ」


着た服は丁度体にフィットしていて、着心地が良かった。

くるっと鏡の前で一周してみるとフワリとワンピースの裾が揺れた。

まるで、プリンセスのドレスが揺れるみたい。

このまま、姫になれたらいいのになんて先程思ったことをもう一度思った。


「うん、イイネ。メイクも小悪魔メイクにしたらキャラはかんぺきだね」

「小悪魔メイクって」

「だってー、悪魔は怖すぎかなぁって。てか、笑わないでよー」


小悪魔、という所に思わずケラケラ笑ってしまうと、衣装係の子が頬を膨らませた。

ごめんごめん、と謝りお礼を言って菜美たちの元へ戻る。

そこには話を終えていたのか、夕も居た。


「おっ、戻ってきた」


話をしていた3人の中、菜美が初めに私の存在に気づき、声をかける。


「どーおー?悪役っぽいー?」

なんて、おちゃらけた声を出しながら両手で裾を持ち上げてみせる。


「へぇ、随分凝った刺繍してあるんだな」

「悪役、まさにお前」

「少し私達とデザインが違うのね」


感心したような声を出す琉太、笑いながら言う夕に、違いに気づいた菜美。


「反応に統一性がない…」

「三人三色的な感じでいいんじゃない?」

「いや何が!?」


三人三色なんぞ、大して役にも立たないわ!!


「あっ!つーか、茶谷!!」

「え、なになになになになに」


いきなり目の前に来た夕に割とびびる私。

し、心臓に悪いよこのひと!


「月曜なかったじゃねーかぁぁあ!!」

「あー…練習付き合うって言ったっけねぇ…」

「今日お前遅刻してくるから言えなかったんだよ!!しかもこの2時間目からだったし、話しかけれなかったし!」

「いや、寝坊したんだって…てかごめんて」


女子のように言う夕に女子かとツッコミしてから、そーいや、約束してたことすっかり忘れてたなぁと心の中で思う。

あの時は連休の存在を忘れていて月曜と言ってしまったから、別にわざとではない。


「わざとーじゃあないのよ夕さん」

「言い方が怪しすぎる件について…」

「そーいえば、そんなこと言ってたね。私もすっかり忘れてたわ。そもそもあの時連休の存在忘れてたもの」

「確かにな」

「じじいとばばあの仲間入りかお前ら…」

「「「夕に言われたくない」」」

「酷くね!??」


毎回思うけど、夕って悲しい立場よね。

いじられキャラ…乙。。


「ったく、まあいーけど。明日の朝は付き合えよ!?」

「あいあいあいあいあい」

「返事適当!そして多い!」

「そこ気にしたら終わりだと私は思うぞよ」

「何キャラだよ!…あ、猿か」

「ふざけないでくれませんんんんん!??」


手をポンッと叩いて言う夕に叫ぶ。

立場逆転した気がするんですが!!!


「私は夕の言ってることあながち間違ってないと思うけど」

「それ、茶谷に聞かれたら言われるぞ…」

「聞こえてますよ?!その2人!」


こそこそと小さな声で話す2人に抗議して、夕の方へ向き直す。


「てかなんで猿!?」

「あいあい言ってるからだろー?猿の歌にあんじゃねーか。あいあい、あいあい、おさるさーんだよーて」

「お前幼稚園児か!」

「お前がな!??」


なんだかよく分からなくなってきた所で、今日の練習が終了した。


「今日の練習は終わりです。えー、今日が最後の練習でしたね。明日は休みなので、休み明けがもう本番となります。受験勉強の合間に練習するなど工夫して、明日を過ごしてください。じゃあ、本番は頑張りましょう」


先生の話が終わると、皆は急いで着替えをしに更衣室へ向かう。

次の時間は…、数学かぁ、、、

めんど。

着替えをして、教室に向かいロッカーから教科書を取り出して急いで席に着いた。

時間ギリギリでめちゃくちゃ焦った。

だって数学の先生時間に厳しいんだもん。


「じゃあ、はじめます」


ガタガタっと席に着いた後プリントが配られ、それを班で行うようにと指示をうけ班の形にする。

班の形にした後、隣になった夕に睨まれる。


「おぉまぁえぇ、明日休みじゃねーか!」

「いや、忘れてたの?気づかなかったの?嘘でしょ?」


予想通りの内容で少し笑った。

多分、私以外の2人も気付いていて話を進めていたと思う。

やっぱり、いじられキャラは損だ。


「2人とも気づいてたじゃん、多分だけど」

「まぢ言えよなぁあ…」

「ごーめんご。てわけでプリントやろー」

「軽いし、話変わんのはえーし」


ブツブツ不貞腐れている夕をちらりと見てから、プリントに視線を落とす。

だって、せんせー怖いし。

怒られたくないし。

高校入試対策問題、という題名の書かれたプリントの問題は色々な単元のものでありなかなか難しそうなものばかりだった。

何この証明問題とか面倒くさすぎだし、この立体のやつとか分からないし。

私は数学は好きな方だが、空間図形とか文章を書く証明とかは大嫌い。

理由、面倒くさいから。


「はぁ?これなっがたらしい証明書かなきゃいけねーやつじゃん。中点連結定理と平行四辺形の定義書かなきゃとかなんなんだよ…」


またまたブツブツ言ってる夕にチョップを入れストレス発散をする。

いたっ!?って声が聞こえたけど、ヒント出しすぎなのが悪い、多分。

その後、頑張って解いて書いて授業は終了しその他の授業も受けて、帰りの会が終わった後、いつメンで菜美の席に集まって話す。

といっても菜美は委員会で抜け、琉太は塾で帰ったので夕も私2人だけだ。

もはやいつめんじゃなかったという。


「てかさ、何でそんなにやる気なの?」

「何が?」

「卒制に決まってるでしょー」


いつもは何かと適当にすませがちな夕がこんなにやる気を出して練習しているのが珍しくて、思わず聞いてしまった。

夕は少し困ったふうに頭に手を当てて答える。


「あー、、なぁ。いや、特に深い意味はないというかあるというか」

「何それー。最後だからとか?」

「それもある。だけどもう一個の方が主な理由」

「もう一個?」


予想の外れたこたえに思わず首を傾げる。

夕日が窓から射し、私達を照らす。

さらりサラリと吹く風が私たちの間を通る。


「そ。俺な、好きなやついんの」

「はっ?」


いきなりの展開に素っ頓狂な声を上げてしまった。

‘ なんだその声’なんて、夕は笑うけどお前のせいだよ、ばかと私は心で悪態をつく。


「そいつにな、卒制頑張って欲しいって言われたんだよ」

「……え?」


それってまさか、やっぱり、















琴里のことが、好きって、こと?


「だから、がんばらなきゃなって思ってさ。見せてやりたいんだよ、俺の姿っつーの?本気でやってるとこをさ」


そう言って、ケラケラ笑う夕は夕日のせいか、はたまた好きな人を思っているせいなのか頬が軽く赤くなっていた。


「…そーだったんだ」


無意識に出た言葉は小さかった。

涙が出そうになって、慌てて座っていた机から立ち上がり荷物を持つ。

‘えっ?茶谷?’と戸惑う夕に、声が震えないように手を握りながら声をかける。


「私!!用事思い出したから帰るね!」

「えっはっ?ちょ、おいっ!」


慌てたように机から降りた夕をそのままに、教室を飛び出した。


ダメだ、もう、

廊下を走りながら溢れる涙を拭う。

やっぱ、琴里が好きなんじゃん…っ

気づいてしまった真実を受け入れるにはつらくて、着いた靴箱の壁に寄りかかりズルズルとしゃがみこむ。

でも、でも、やっぱり、


「好きなんだよ、っ、」


こうやって溢れる涙は夕を想う気持ちがあるからで。

諦めたくないと思うのは、それほど好きだからで。

ぐちゃぐちゃな気持ちを整理しようととりあえず深呼吸をした時、パタパタと階段の降りる足音がした。


やばい、夕が来る

直感的にそう感じとった私は急いでほかの学年の靴箱の方へ移動し、隠れる。


「ちっ、居ねー、じゃんかよ」


聞こえた声はやっぱりゆうの声だった。

少しイラついたような声を出した夕はそのままローファーを取り出して帰ってしまった。


気付いて欲しかったな


。。。なんて、気付かれたらやばいのにそんな矛盾なことを思う自分に笑う。


「帰ろ。。明日は謝って、それで、、、ちゃんと、告白しよう」


頬に残る涙の跡を拭い、ぺちっと両手で頬を叩き気合を入れる。


「よっし!」


きっと、告白は失敗する。

それでも、後悔をして卒業して、サヨナラをするなんてことはもう、したくないから。

決意した私は家に帰るため、正門を出た。


___卒制まで、あと、2日。

__本番当日



「やばいやばいやばいやばい」


はいはいはいはいこんにちはぁ

本番当日なのに、寝坊したおバカ主人公、さやでっす★

只今家からダッシュで登校してるなうでーす

時刻は7時半

だ、い、ぴ、ん、ち★


…なんて脳内で若干現実逃避しているが、割とマジでやばかったりする。

今日は本番当日。

朝から準備があるため、3年生は7時40分に体育館に集合することになっていた。

それなのにも関わらず、朝7時25分に目が覚めた私。

親は共働きで、朝からいないから起こしてくれる人はもちろん居なく…。

目覚まし見た瞬間、壊れてるんじゃないかって思ったよね。

…合ってて絶望したのも、また事実。

五分で、着替えて、荷物持って、朝ごはん食べずに飛び出して今に至る。

お腹空いた、抜きはキツいぃいいい。

兎に角必死に走って、辿り着いた教室。

勿論皆、体育館に移動していて、居るのは私だけ。

衣装と小さなバック以外をドサッと投げ捨てて、またまた猛ダッシュ。


着いたのは、2分前だった。


「沙耶ー、あんた、本番前に遅刻する?」


ズキズキ痛む肺で必死に空気を吸いながら、集合している人の中に移動すると、呆れながら声をかけてきた菜美。

私同様に、衣装を右手に抱えていた。


「いや、っ、目覚ましっ、かけ、たんだよっ。?なんか、とまっ、て、た、ゲホッ、」

「とりあえず息整えよ?」


ひー、ふー、みー、と息を整え、何とか落ち着いた私。

菜美と再び話そうと思ったけど、時間になってしまい話せずに前を向く。


「今日は本番です。先日言った通り、C、B、Aの順で卒制を進めていきます。組と組の間の時間はあまりありません。キビキビ動いてください。」

「「「はいっ!!」」」


卒制は3時間目からご飯を挟んで、6時間目まで。

7時間目は片付けをし、要らないものは運動場へ出し、4時半からの後夜祭で、運動場でキャンプファイヤーをしながら皆でダンスを踊ることになっている。

各クラスで1時間の公演。

…ついに、本番なんだ。

意識したら、なんだか急に心臓が痛くなってきた気がする…。


「今から1時間は、準備の時間とします。最終確認のある人は順番に呼び出しするのでそのつもりで。それでは解散!」


先生の一言で、各自バタバタと支度を始める。

先程話しそびれた菜美もやってくる。


「それで?なんで寝坊したの?」

「昨日寝れなくって。目覚まし無意識に止めちゃったのかもしれない。」

「考えごとー?それとも本番だから?」

「どっちもかな」


夕のことと、本番のこと。

考えてたらキリなくて、ごちゃごちゃになって、昨日は知らぬ間に寝てた。

だって、今日告白す…っ


「ちょっと、身体カタカタしてるけど」

「して、っ、してなななななななな」

「…だめだこりゃ」

「さあや、しっかりしろー?」

「…あ」


声をかけてやってきたのは、夕と琉太。

…夕!?


「うぇ、っ、おおおおおおおおはようううう」

「え?さあや、ロボット化した?嘘だろ?」

「緊張してんのよ」

「茶谷がさあやに反応しないなんて前代未聞だな…」

「それは私も思ったわ、琉太」


この人たち失礼すぎませんか!?

と、答えたいものの、夕を目の前に全く答えられない。

ていうか、昨日の今日だと少し気まずい。


「茶谷」

「んぇ?!あ、な、なに、夕」

「昨日、ほんとに用事だったのか?」


じーっと真剣な眼差しでこちらを見る夕に、慌てながらも、うんと答える。


「ふーん、なら、いーけど」


案外あっさり引いた夕は、あまり納得してなさそうだったけどそれ以上聞くことはしなかった。


「ほら、私たちも着替えないと!!」


周りを見て、菜美が慌てたように声をかける。


「そーだね、じゃ、夕達あとで!」

「おー」


2人に別れを告げて更衣室に移動する。

入ると、着替えを終えてメイクを始めている人が多かった。


「沙耶、菜美やっときたー!早く着替えて着替えて!二人ともメイク係にメイクしてもらうんだから、早くして!」

「ごめんんん!」

「あ、そだった、ごめん」


メイク係に注意されて、返事した私と菜美。


「え、菜美忘れてたの?」

「忘れてない、今思い出した」

「それ世の中の人は忘れてるって言うんだけどね…?」


二人で話しながら衣装に着替える。

途中で色々めんどくさいものになってきたので、衣装係の手伝いもかりながら。


「はい、座って!!」


メイク係に言われて席へつく。

隣では、琴里がメイクをして貰っていた。


「あっ、さあやじゃーん」


さも仲がいいように話しかけてきた琴里。

しかも私が嫌がっている、さあや呼びしてくる所から性格の悪さがにじみ出てる。

ムカつく!!!!


「沙耶ですけど、なにか?」

「やだ、そんなつっかかんないでよ。ただ聞きたいことあっただけだよお」

「は?聞きたいこと?」


思わず眉を寄せて、琴里を見つめる。

こらっ、とメイク係に注意され慌てて鏡の前に向き直る。


「夕くん、後夜祭前に、時間有るかなぁってぇ」

「…は?」

「何とぼけてんのぉ?今日、バレンタインでしょ?」


いきなり、夕の話題を出してきた琴里。

今日は確かにバレンタインだ。

私も今朝遅刻はしたものの、マカロンは割れないよう丁寧に持ってきた。

渡さなきゃ、だし。

それよりも、なんで琴里が…


「私ね、夕くんに渡したいものあって。さあやなら、夕くんと親友のように仲良いから、知ってるかなぁってー」


琴里は親友を強調し、終わったメイクを見て私可愛いぃと自画自賛し始めた。

親友みたいって、、人が気にしてることを…!


「私が知るわけないでしょ?夕に渡すって、」

「本命に決まってるじゃないの」


琴里は、私の言葉を遮り、コト、と音を立てながら鏡を元の位置に戻して言った。

私は鏡越しから、琴里を凝視する。


「は、?本命?」

「だから、好きなの、夕くんが」


周りが琴里のカミングアウトにザワザワしているのにもかかわらず、淡々と言い続ける琴里。


「意味、わかんないんだけど」

「分かんなくって、いーよー?魅力知られたら私困るもん」


うふふと、口に手を当て微笑む琴里はまるで、本物のお姫様のようで。

あぁ、2人は両想いなんだと気づいてしまった。


「てわけだから、知らないなら用はもうないわ。じゃあね」


そう言って琴里は更衣室を出てしまった。

暫く放心状態になっていた私は、メイク係に終わったよーと言われてから自分のメイクが終わっていることに気がついた。


「わ、凄い」


思わず声が漏れ、手を頬に当てる。


「でっしょー?家で頑張って練習したかいがあったよー」


自慢げに言ったメイク係の言っていることは自画自賛だけど、本当に凄くて。

怖過ぎず、可愛過ぎず、のミステリアスな雰囲気の出ているメイスのクオリティは高かった。

また、メイクと同時に髪型も仕上がっていてより雰囲気を引きたたせていた。


「悪魔だァ、」


…これじゃあ、お姫様にはなれないね

なんて、自分の顔を見て心の中で思った。

後ろで、‘悪魔じゃなくて、小悪魔ぁあ!’と騒いでいて少し笑った。


「沙耶ー、行こ」


丁度同じ頃に終わった菜美と一緒に更衣室を出た。


「菜美、大人っぽい〜」

「そーね。私も凄いと思うわ」


大人っぽいメイクで仕上げられている菜美。

メイクを普段している本人も感心していて、自分の手鏡を手に前髪を整えながら言っていた。

女子力高いなぁ。

体育館に行くと、C組裏方さんがセッセと準備を進めていたり、各自で確認している人が居たりと各自の行動をしている人が沢山いた。

夕達はまだ支度中のようで、居なかった。


「まだ、来てないみたいね」

「だね」

菜美も探していたようで、キョロキョロと首を動かしながら言った。


「そいえば、あんた持ってきたの?」

「あー、うん、持ってきたよ」



衣装とは別に小さなバックに入れて、この更衣室に持ってきていたマカロン。

きちんと、はじに置いてある。


「ならいいけど。琴里の発言には肝を抜かれたわ」

「うん、私も」


度々あった。

琴里と好きな人が重なること。

まさか、今回も重なるなんて、思わないじゃん。。


「でも沙耶の方が一緒にいる時間多いし、大丈夫よ。絶対」

「それ、どこから自信来てるの?」

「…あんた、弱気になってるの?」


じっと見つめてくる菜美に耐えられずに目をそらす。


「私、昨日聞いちゃったの」


昨日の放課後にあったことを菜美に話す。

すると菜美は眉をぎゅっと寄せて考え込み始めた。


「え、ちょ、菜美…??」

「え、は、なんで?おかしくない?は?は?聞いてないんだけど、こんなの」


ブツブツ、と独り言を言い続ける菜美はこちらのことはお構い無しのようで。


「とりあえず…!!」

「ほぉうわぁあ!?」


いきなりばっとこちらを向いた菜美は鬼のようなお顔d「何か言ったかしら?」

「いえ何もございません、鬼のような顔なんて思っておりません」

「それ、思ってるってことよね?」


にっこぉっと笑いながらこちらに来る菜美に、思わず後ずさる。

メイクをしているからか、迫力がいつもの倍。


「いや、ごめ、いや、冗談だから!?」

「…はぁ、まぁいいわ」


諦めてくれた菜美にほっとため息をつく。

怖かった、山姥d「あ?」

いや、なんでもないです!!


「とりあえず、ちゃんと告白しなさい」

「分かったよ、する」


‘どちらにせよ、後悔はしたくないからするつもりだよ’と答えると安心したように私の頭にチョップをした。

意味わかんないです!!


「私も、渡すから」

「うん、頑張って」


二人で約束の指切りげんまんをして、話を打ち切り練習を始めた。



────そして、私たちの番がきた。


「き、緊張するぅうう…!」


舞台裏に移動した私達は準備をしていた。

特にすることのない私は、1人、最終確認をしていた。



…あれ、セリフ最初なんだっけ、、

急にふっと、頭が白くなって何も思い出せなくなる。

私は、いつ、どのタイミングで、出るんだっけ、?

必死に思い出そうと、頭を働かせる。


あれ、あれれ、

カタカタと次第にても震え始めて何も考えられなくなる。

どーしよ、どーし、「大丈夫かよ」

不意に暖かな手が、ぎゅっと握りしめていた手を覆った。



「…ゆ、う」

「緊張し過ぎだろ」


顔を上げると、心配そうな顔をする夕がいた。


「だって、失敗したら、」

「お前なら大丈夫だろ」

「なんでそう言いきれるの」

「お前だから?」


最後の語尾を上げて根拠の無いことを言う夕に、思わず笑う。

笑うなよとデコピンをされ、じぃんと痛むおでこを両手で抑えた。


「…あ、」

「どうした?」

「震え、止まった」


あんなにカタカタと震えていた手が嘘のように止まり、緊張も収まっていた。

セリフも、分かる。


「よかったな」


夕はニカッと無邪気に笑った。


あぁ、本当に、王子様みたい。


「頑張れよ」


そう言って夕は元の位置へ戻って行った。


「ありがと」


後ろから小さくお礼を言った私に、夕は振り向かないまま手を振って返した。

─────本番は無事、終了した。


良かったね、終わった、疲れた、上手くできなかったぁあ、

など、感想は皆それぞれで、終わったことにほっとしていた。


「この後は、ダンスか…」


ダンスは、マイムマイムやフォークダンス、など授業でやったものを皆で和気あいあいと踊るというもの。

別に踊らなくてもいいし、参加は自由。

殆どの人は参加している。

まぁ、でもその前に片付けなんだけど。

今は片付けの最中。

もうそろそろ終わるから運動場に移動している人もちらほらいる。


「さーや、お疲れ様」


そう言ってやってきたのはいつもの3人


「みんなもお疲れ様ー」

「沙耶良かったよー」


そう言ってくる菜美に、菜美こそと返す。

夕や琉太も言ってくれて、心が温かくなった。


「夕、上手くできてたじゃん」

「ラブシーン、何とかできてたよ」

「頑張ったかいあったな」


話しているうちに自然と夕の話題になって、私、菜美、琉太の順に感想を述べた。


「サンキュ」


そう言う夕は照れくさそうにお礼を言った。

ラブシーンは、端から見ている私でも完璧だった。

角度的には本当にキスしているんじゃないかと勘違いするほどに。

琴里と夕を見て、泣きそうになったけどあくまで演技だと言い聞かせてなんとか忍んだ。

私の心情を察してくれた菜美が、さっと話を切りかえた。


「後夜祭、どーするー?」

「俺は行くよ」


後夜祭の話題を出して真っ先に答えたのは琉太。


「私も行くよ」

「…あー、俺は少しあとから参加するわ」

「「「はっ?」」」

「いやお前らなにハモってんの…」


夕の申し出に3人で思わずハモったのを苦笑する夕。

後から行くって、もしかして、もしかして


「なんか、琴里に用事あるから来て欲しいって言われて」

「ことりぃいい!?」


素早く反応した菜美は琴里の名前を叫んだ。

菜美、キャラ、崩壊してるよ…ぉ…

小さく呟くも、こちらには気づいてないようで凄い勢いで夕を問い詰めている。


「あんた、いつからあいつのこと呼び捨てしてんの!?」

「いや、なんか放課後練習の時そう言われて、」

「断んなかったの!?」

「いや、先生の前で言われて、断ったんだけど、先生が練習のためにとか、なんとか」

「先生!?あのおじぱんかぁあ!?」

「声でけーよ、!しかもちげーから!」


おじぱんとは、別称バーコードの名を持つ禿げてる先生のこと。

今回の責任者でもある。


「落ち着け、鳴瀬…」


琉太が菜美を宥め、ようやく落ち着いた菜美。

私も問いただしたいけど、全部持ってかれたよ。。

菜美に問いつめられた夕はげっそりしていて、ご了承様ですと言っておいた。


「それより、琴里に呼び出されたってほんと?」


本来の話題に戻し、私は冷静に夕に聞いた。

本当は泣き出したいくらいだけど。

もし、琴里が呼び出してるのなら、

きっとそれは、

「おー、教室に来いってさ」

…告白するということ。

「そー、なんだぁ」

涙が出ないよう、笑顔をキープする。

ついに、両想いか、

私はもう、ダメナノ?


「夕、それどこの教室なの?」

「普通に3Aだよ」

「時間は?」

「4時半だけど、それがどうし、「そう。沙耶行くよ!!」

「えっ、?!」

ガシッと私の手を掴んで、体育館の出口に走り出した菜美。


「ちょっ、鳴瀬!?」

「茶谷も!どこ行くんだよ!」


いきなりの菜美の行動に叫ぶ2人。

私もついてけない。


「ちょっと、用事!先に運動場行っててー!」


そう言ってなみはスピードを上げ、どんどん走り出した。


「な、っみ!?はや、はやい!」


陸上部に所属する菜美はグングン走っていく。

必死に足を動かすも、ついてくのに精一杯の私。


「しぃいぬぅうう」

「あ、ごめん」


そう言って急停止をした菜美に対応しきれず、背中にぶつかった。


「いっつぅ、、」

「あ、ごめん」


急に止まるのやめて下さいよ、菜美さん…。

しかも2回も同じ謝り方とか、誠意が込められてないよ、誠意が…。

随分走ったようで、1年生の教室の廊下に来ていた。

1年生と2年生はもう私たちが片付けをしている間に帰ったからもう居ない。

今ここにいるのは私たちだけだ。


「あんた、何琴里に先越されてるのぉおお?!」


そのため、声がよく響く…。

キィィーン…と耳鳴りがした。


「ぅ…っ。あ、いや、ごめん…?」

「はてなマーク付けるんじゃない!どーするのよぉお!」

「…えへ」

「可愛くないし」

「失礼だし!?」


とぼけてみせたら、可愛くないと言われた。

ショック過ぎる。


「で、どーするの?」

「それは、」

「負けていいの?」

「そんなわけないじゃん」


私だって、夕が好きだ。

2人がたとえ両想いだとしても、負けたくない。

ちゃんと、伝えたい。

そう菜美伝えると、菜美はニコッと笑った。


「そう、こなくっちゃ」

「でも、どーしよ。琴里呼び出してるんだったら私入るすきないよ…」

「ないなら、作るのよ」

「ふぉぅあ?」


突拍子のない事を言われて変な声が出る。

いや、作るって、、


「でももう時間が…」

「今何時よ」

「えっと…」


壁にある時計を見ると、時刻は4時20分。


「マカロン何処にあるの!」

「こ、更衣室…」

「ばかぁぁあ!」

「バカって言わないでよ、引っ張ってきたの菜美なんだからぁぁあ!」


二人で叫ぶと廊下に声がこだまして、耳が痛い。


「そーだった、ごめん」

「あ、いや、私もごめん」


二人で謝って、冷静になる。


「兎に角、あんたはマカロン持って教室に行きな」

「私流石に人が告白してるとこ行きたくないよ…」

「いーの!飛び入り参加してきなさい!」

「他人事みたいにぃい」

「他人事だもの」

「酷くない!?」


菜美はやっぱり冷たいらしい。。


「ほらっ、時間ない、急いで!」


話しているうちに時間は進み、もう23分


「う、うん!」


私も覚悟を決めて走り出した。

┈┈┈┈┈┈キーンコーンカーンコーン

チャイムの音が響き渡り、私を急かす。

急いで更衣室に戻り、小さいバックからマカロンの入った包みをとり出す。

夕とすれ違わなかったな、とふと思う。

体育館の方を覗き込むも、もう夕の姿はなかった。

同時に琴里の姿もない

時計を見ると、時刻は4時25分。


もう、二人とも行っちゃってる、!?


再び、教室へと走り始める。

辺りは暗くなり始めていて、夕日が窓から差し込んでいた。


3Aの教室の前に着き、空いてるドアから中の様子をのぞきこむ。

すると、


「…え、?」


2人の姿があった。


琴里がネクタイを掴み、後ろ向きの夕が屈んでいて、、


そう、距離は、


0。


カコン、と手に持っていたものが落ちた。

琴里が静かに離れ、音に気づいた2人はこちらを向いた。


「は、っ、茶谷、?」


驚きを隠せない様子でこちらを見た夕。

私はもう、視界が滲んで何も見えなかった。


「ごめん、っ」


落ちたマカロンを拾って、急いで駆け出す。


「ちょ、おいっ!」


溢れる涙を放ったらかしに、来た道を急いで走る。


夕は拒絶していないように思えた。

だから、きっと2人は…っ!


「あ、っ、」


階段を急いで降りている時、何かにつまづき、体が宙に浮かんだ。

慌てて体制を直すも間に合わずに、だだだた、と転げ落ちる。


「いっ、た、」


幸い頭は打たず、足も特に異常はなかった。

それでも落ちる際に擦ったようで、所々皮が向け血が滲んでいた。


「最悪、っ、」


いつの間にかマカロンが手にないことに気づき、あたりを見渡すと、階段の上の方に落ちているのが分かった。

痛む体にムチを打ち、慌てて取りに行こうと立ち上がると


「茶谷…っ!?」


息の乱れた夕がやってきた。

転んでいる私を見て、慌ててこちらにやってきた夕は落ちていたマカロンに気づいてしまった。


「…ぁ、」


気づかれてしまった。

私が、渡そうとしてたことが、


「これ、、、」

「…っ返して、!」


夕に近づいて取ろうとするも、上に上げられてしまい取れない。

こんな時、身長の差がうざったいなんて…!


「俺に、くれるつもりだったの?」

「…違う、違うから、ね、返して、!」

「だってこれ、俺の好きな味じゃん」

「…っ、」


そう、マカロンの味はオレンジとベリー。

ハロウィンカラーじゃんと、笑いあったのを思い出しこの味にした。

好きな味で、あげたかった。

でも、


「…っおい!」


バレて欲しくなかった、もう。

夕に今更あげるなんて、虚しくなるだけだ。

私はマカロンはそのままに、再び逃げ出した。

今度は直ぐに追いかけてきているようで後ろから足音が聞こえる。


「なんで、!逃げんだよ!!」

「そっちこそ、なんで来るの!?来ないでよ!!」


2人の声が、廊下に響きわたる。

辺りはもうすっかり夕焼け色で、幻想的な世界を作り出している。

そんな中私はひたすらに走った。

それでも夕には勝てなくて、1年生の教室の前で捕まってしまった。


「…離してっ、」

「じゃあ、答えろよ!これ、俺にくれるために作ったのか?」

「そーだよ、そう!義理で渡したかった、それだけ!」


…嘘をついた。

もう今更告白なんて、


「嘘だろ」

「…え?」


見抜かれたことに驚き、思わず夕を見つめる。

走ったことで頬を伝っていた涙は乾き、頬が痛む。

夕の後ろから光が差し込んでいて目を細めた。


「だって、マカロンの言葉の意味は、『あなたは特別な人』」

「…っんで、知って、!」

「ねーちゃんのために色々調べてた時、目に入ったんだよ。マカロンは好きな人に送るもんだって、『あなたは特別な人』って意味があんだって。お前、そーゆーの好きだし知らないはずないよな?」


ぎゅっと掴む手に力を込めた夕。

言い逃れはもう、出来ない。


「…そうだよ、夕の言う通り」

「じゃあ、「でも、夕は琴里が好きでしょ?」」


夕の言葉を遮って言う。

夕は目を見開いてこちらを見ている。


「私が、!夕を好きだとしても、夕は琴里のこと好きなんでしょ!??今その意味知ったとこで何にな…」


言葉を思わず止めてしまった。

だって、なんで、


抱きしめられてるの?


「ね、っ離し、」

「人の話を聞け馬鹿さあや」

「ばかっ、?!さあやっ、!?」


いきなりの暴言に声を上げる。

意味がわからなすぎて、頭が混乱する。


「まず、琴里が好きって何?」

「それはっ、だって、さっきキスして、!」

「やっぱ、勘違いしてたのかよ、」

「え、」


はぁっと、ため息をついた夕に戸惑いを隠せず声が無意識に出た。

‘勘違い’って、だってあれは絶対、


「だから、勘違い。確かにギリギリだったけど、キスはしてない。セーフだったから」

「嘘でしょ…?」

「ホントだっつの。あそこからじゃそー見えたかもしんないけどさ」


自分の頭をかきながら答える夕の声は疲れ気味の声だけど、真剣で。

本当なんだと思った。


「じゃぁ、告白は?」

「それはされたけど、、てかなんで知ってんの…」

「企業秘密だし。…付き合わないの?」

「なんで、好きじゃないやつと付き合うんだよ、、。しかも何、企業秘密って…」


‘なんだよそれ、怖すぎだろ…’と私の頭に顎を乗せながらグリグリされる。

うぅ、痛い…


「じゃあ、誰なの、好きな人…」

「俺はマカロン欲しい人、1人しか居ねーから」

「知らないしっ、!誰なの、もう、っ!」


夕の腕から抜け出して、聞いたのにも関わらず聞きたくなくてまた逃げ出す。

もう、やだ、これ以上傷つきたくな、



「俺が好きなのは!お前だよ!!!」


「…ぇっ、?」


腕をまた掴まれて振り向くと、頬を染めた夕がこちらを向いていて…


「んで、逃げんだよ、俺が好きなのはお前なんだよ」

「だっ、ぇっ、え、?」

「茶谷からマカロン貰ってすげー嬉しいの、めちゃくちゃに嬉しいの。だから、」


「俺と、付き合ってください」


そう言った、夕の声は少し震えていた。

その声に、私は┈┈┈



___その後、2人で手を繋いで運動場への道のりを歩いた。


勿論、保健室に寄って私の怪我を治療してから。


…痛かったしね、血出てたし 。


途中で話したこと。

それは昨日言っていた、好きな人に頑張れと言われたからと言われたという言葉は、なんだったのかということ。

夕によると、


「は?それ、お前が言ったんだぞ?」


言うとこによると、私は前に言っていたらしい。

自分で言ったセリフを忘れて、自分で傷つくなんて、ほんと情けない。

そんなこんなで解決した話題は終わり、菜美達の元へ辿り着いた。


「あ、来た」

「夕に茶谷、ちゃっかり手繋いじゃって…」

「まさにこの通りですね」


なんて、報告を照れながら報告した。


「ま、俺たちもだけどな」

「そーね」


と、琉太と菜美が手を繋いで報告してきたのには驚いた。

だって、成功してるなんて聞いてなかったんだもん。


「2つカップル誕生ねぇ」


なんてふざけたことを言っている菜美はきっと気分が上がってるんだと思う。

嬉しそうな顔をしていて、私も幸せになった。

「茶谷、」

キャンプファイヤーを見つめ、皆が踊っている姿を見ていると横から夕の声がかかった。


「なあに?」



私が横を向くと、



唇を啄まれた。



「な、ななななっ、!?」

「わー、」

「見ちゃったわ、親友のやつ」


少し離れていたとこに移動していた琉太と菜美の声も聞え、余計に頬が熱くなる。


「これからも、宜しくな」


そんな無邪気な声に、いきなりのことにびっくりしていたことも忘れて頬が緩む。


「こちらこそ、宜しくお願いします!」

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ななしさん
自分で言ったことだけど、長いな笑


茶谷って名前珍しいなぁと思いました。笑
ネームはピンと来たものを選んでいるんですか?


窓側前列に教卓があるのは小学校の頃だけだったな,,,懐かし笑


鳴瀬って出てきた瞬間に「お?ここさけ?笑」ってなった笑
本番遅刻が出てきた時は察した笑



面白かったよ。
朝のつまらない登校時間に華がでた。
細かいコメントとかすると長すぎるからパスしておくけど、フィクションのお約束とかフラグいっぱい立ってて良き。

純愛だね。
(すぐにドロドロ展開に繋げたがる僕は多分バカ笑)
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