小学生の頃、人はみんな優しいと思っていた。
消しゴムを落としたら、気づいた人が必ず拾ってくれる。
給食をこぼしたら、そこにいるみんなで手伝って片付ける。
女子も男子も、みんな優しい。
困ったら助けてくれる。
誰にでも優しく、それが当たり前。
だから私も、みんなに優しくする。そして、みんなの優しさを信じなければいけない。
今は、そうは思えない。
特定の人にだけ優しい人、いじめてくる人、気分屋のひと、損得を考える人。
人それぞれの価値観ということだろうか。
この消しゴムを拾ったら、私に触られたのを嫌がるかな。
目を合わせたら悪口を言われるかな。
調子乗ってるって思われるかな。
このままだと、優しいだけの人になってしまうのかな。
そんなことを考える。
みんなが優しいと信じられた、あの頃が大好きだった。
あの頃の自分も好きだった。