職場に気になる同性の後輩がいる。
自分が二十歳なら、相手は小学生くらいの年齢差。
ほぼ毎日会うが、可愛くて仕方がない…。
周りに配慮が出来て性格が良く、職種が違うが仕事も良くできる、欠点と言うところが見当たらない完璧な人。
10年くらい同じに会社にいるが、入社当時から自分より出来る人間はいないと心のどこかで思っていた。
しかし、世間は広い(当たり前だが…)。
彼女に会ってから初めて自分の心の冷たさ、未熟さ、無能さに気が付けた。
その後会社で彼女が長く付き合っていて同棲している彼氏と入籍をするという発表があった。
彼女とはとても仲がよくなっていたので、大事な話は一番に知らせてくれるだろうと思い込んでいた。だから入籍発表の時には本当にびっくりして一瞬にして背中から汗が流れ落ちた。
自分には一番に知らせてくれなかった残念さとともに、彼女が手の届かない遠くに行ってしまった寂しさで、発表時には一応笑顔で他の職員と一緒にに拍手をしたが、ここ十年で一番辛かった…。
数か月後、仕事が終わってから夜二人で居酒屋に行った。
食事をするのは2回目だったが、色々吹っ切れていたこともあり楽しく食事ができた。
会計を済ませて外に出ると、彼女が夜空を見上げ突然「月が綺麗ですね」と月を指さしながら言った。
声が震えている気がしたのだが、その時には特に気にせず「え?あー、そうだね。」と答え車に乗った。
私が意味を理解していないと感じた彼女は「○○さん本は読みますか?夏目漱石とか?」と話をした。今思い返すと彼女はヒントも添えていたのだが、その当時は考えもせず数カ月が過ぎた。
ある時スマホゲームをしていると、とあるキャラクターが『そんな時は“月が綺麗ですね”と言えばいいんですよ』と言った。
そういえば彼女も以前に同じ言葉をを言っていたと思い、一度調べてみようと思った。
パソコンで調べると、ネタになるくらい簡単に意味が出てきた。
でもその意味は本当かと思った。
しかもその時に彼女が使ったのかも自信がなかったので、ラインで月の話をしなかったかを聞いてみた。
月の話はしていないと返答があった。でもよほどリアルな夢を見ていない限り、確かに彼女は月の話はしたはずだ。
彼女はどんな気持ちでその言葉を使ったのだろう?
明日も会社に行けば優しい彼女に会えるだろう。
会社ではよく私を助けてくれている。人間関係の揉め事にもよく相談に乗ってくれる、私にとってなくてはならない愛しい人だ。
彼女が妊娠して会社を辞めてしまう時まで、私は自分の持てる知識と能力、そして最高の優しさ彼女に提供しようと思う。
私の前に現れてくれて本当にありがとう。
3通目と同じ私です。
やっと大好きな職場の先輩と同僚と3人で1日遊ぶ事が出来ました。
それはそれは楽しくて幸せな1日で、でも、時折スマホで誰かに連絡してる姿、おそらくSNS等していないだろうあなたがいつも見る顔より更に美しい顔で不器用だけど一生懸命に自撮りしたりする姿が、そのスマホの向こう側に好きな人が居る。と思い知らされる辛い1日でもありました。
でも、最後に家まで車で送った時にこのセリフで気持ちを確かめるつもりでいたけれど、秘密主義のあなたが自宅を教えてくれなかった事がこれ以上近くには寄らないでと言う意味と理解し、今日の写真を思い出にいつまでも後輩として生きていこう。と心に決めた儚い1日になりました。