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あなたへ

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久々にあなたに会いました。

会うことが決まった時は、なんだかそわそわして、変に浮き足立って、服を新調したりネイルを新しくしてみたりしました。

けれどいざ、顔を合わせると、私よりはるかに呑気にその場にいるあなたに私は、ひどく惨めな気持ちになりました。

食事をしようとするたびに外れるネイルチップの鬱陶しさに、途中で全部、剥がしてしまったけれど、私のハリボテの鎧も同時に無くなってしまったようです。

ちゃんと、楽しもうと思っていたのに、あなたにちゃんと話しかけるつもりだったのに。

気づけば、会は終わり、私はあなたがどんな顔でどんな服を着ていたかも覚えていませんでした。

もう何十年も生きているのに、あんなに下手くそに、飲み会を立ち回ったことは初めてです。

あなたにただ、話しかければよかっただけなのに、最近迎えたあなたの犬の話でも、私の将来の話でもなんでもないことでいいのに。

どうしても、言えなかった。

もう私から渡せるものなんて何もないと思ってしまって、どうしても言えなかった。

しばらくして、あなたに連絡をしようと決心した時、あなたから拒絶されたことを知りました。

最初はもちろん悲しかった。
でも、ちょっとホッとした。もう追いかけなくていい、待たなくていいってそう言われた気がしたから。

もう一度、会う方法なんていくらでもあるけれど、私がそれをすることをひどく煩わしく思っているのは、私にはもうあなたに渡せるものが何もかも手元に残っていないから。

ずっとそばにいたいと思っていた人で、

どうしても繋ぎ止めておきたい人だった。

私にとってはずっと特別で仕方のない人だった。

離れていても、考えずにはいられない人だった。

でもそうやって、必死にこの関係を繋ぎ止めようとして、もがいた私の日々をこうも容易く絶ってしまったあなたに、私は絶望したんだと思う。

どこまでも、都合のいい私でいて欲しかったのはわかる。恋人としての責任とか、人間関係の責任なんて負わないで、自分のことを全肯定してくれる人間なんてそうそういないから。
あなたは、そんなに自分を悪い人間と思ってくれるなって言ったけれど、そう自分で思い込みたいだけだったんだね。

私は、私と向き合えない、別れの言葉もろくに言えないあなたをたくさんたくさん、待ってきた。
あなたが向き合えない理由を考え、正当化してきた。
それでもあなたは、最後まで自分の都合で私を捨てようとした。

だから、卑怯者だと私は思ってしまうんだ。

もうあなたのどこが好きだったか思い出すことが難しくなった。

好きだったあなたがまるで幻想のように思ってしまう。

私にはあなたの形が見えていなかった。

だからあなたには窮屈だったのかな。

名前のない小瓶
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