音楽はしばしば反抗の旗印に使われる。オレは学生時代も今も真面目な人間で通っているが、割とイタズラ好きでもある。今回はオレの大好きな音楽でささやかなイタズラをした例を紹介したい。
①校歌に下ハモをつける
高校に進学した時にオレンジレンジが流行りだした。2声のハーモニーにそれを支えるオク下。当時流行った「花」という曲を聴いて面白いなと思った。
オレは歌や音楽が大好きだ。なのに唯一苦痛な歌の時間、それが校歌だ。ハモリも輪唱も何も無い。全て同じ音程でのユニゾン。つまらなすぎる。
そこで校歌の時間を楽しくすべく、独自に下ハモを作曲した。はじめは完璧なオク下を目指したのだが、高校生ともなると男子の声はド低音である。とてもでないがそこからさらにオク下は行けない。そこで2日かけて、ギリギリ出せる下ハモの音程を編み出したのだ。
はじめはこっそりと、少しずつ音量を上げて大胆に。親しい友人何人かしか知らないイタズラだったが、次第に校歌の時間になるたびにクスクス笑いを抑えられないやつが出てきてしまった。ついに先生が列に割って入って犯人探しを始めたため、この下ハモ歌唱は終わりを告げた。
②挨拶にオク下をつける
時を越え、オレのオレンジレンジブームはここ最近でまた再燃してしまった。ご本家がイケナイ太陽の令和バージョンをリリースしたからである。
たまたま何日か、臨時のアルバイトで投票所の手伝いが入った。投票に来た方には最後に職員が声を揃えて「お疲れ様でした」と挨拶する。オレの両隣はオバサンと、ものすごく低音で発声もよく渋い声をしたお爺さんだった。
それらにすっかりインスパイアされたオレは3声の厚みとハーモニーを生むべくオク下をつけることにした。社会人になり、高校時代と比べて低音はだいぶ出るようになっている。さらにアルバイト終わりに軽く晩酌をし、寝る前までバフバフタバコをふかし、より低音域の出力強化に励む。そしてお爺さんと声質が被らないよう発声自体も研究した。あとはタイミングよく挨拶を綺麗にピタリと被せることだ。
人知れずの何回もの鍛錬の結果、本番で綺麗な3声のユニゾンが炸裂した時、お客さんが何人か吹き出すのを見た。静謐で厳粛な投票所という環境がまた笑いを誘うのだろう。体をくの字にしながら帰っていった。とても満足だ。
どうだ。かわいいものだろう。これなら学校や会社で普段羽目を外せない諸君らでもささやかな反抗、ガス抜きができると思う。元々、音楽は圧政に対する反抗の旗印という歴史もあるのだ。ただしルールが1つある。他人の葬式では絶対やってくれるな。それだけは守ってくれ。
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