わたしが小学生だった頃のお話し。
今から六年くらい前、わたしは小学六年生だった。
好きな男の子がいた。
初恋だった。ずっとずっと、一目みた時から好きだった。
そこそこ仲もよかった。
だけど好き合うとか付き合うとか、そういうことは、うん、小学生だったからなのかもしれないけど、全くなかったんだ。
仲のいい友達がいた。
親友と呼べるくらい。
そして、好きな人が、同じだった。
ある日、その子に聞いた。
『もし、仲のいい友達と好きな人が同じだったら、それでいて同じだってことを言わなかったら、どうする?』
そしたらその子、すごくしかめっ面をして、『仲いいのに言わないなんて最低』って言った。
だから、わたしはその友達との関係を壊したくなくて、初めての恋を、儚く脆い恋心を、見ないことにした。一生、しまっておこうと決意した。
しばらくして、友達は、好きな人に告白をしていた。わたしはそれを、隣で見ていた。
辛かったのかは今はもう覚えていない。
六年生の9月、修学旅行があった。
なにかの博物館を皆でみて回ってるとき、好きだった人に呼び止められた。
『なに?』と聴くと『話しがある』。
内容はこうだった。
『クラスメートのKがお前のことが好きなんだってさ。返事はKにしてやれよ』
嗚呼、眩暈がする。
嗚呼、なんて無情。
嗚呼、神様はなんて残酷。
自分の好きな人の口から、違う人の告白を聞くなんて。
小学生ながらに、傷ついた記憶がある。
結局Kに、返事はしなかった。
理由は分からない。
それから月日は流れて、12月。
謝恩会があった。
わたしはKとなぜかスポットの係になった。
後から知ったけど、これはわたしの好きだった人がわたしとKをスポット係に仕組んだのだった。
そして、直接告白された。
『好きだから付き合って』
わたしは硬直した。
直接告白されたことが嬉しかったからではない。
そんなんじゃ全然ない。
むしろKを殴りたいと思ってしまった。
だって、わたしに告白をしているKの後ろには、goodサインをかまして、口パクで『がんばれ』と言っているわたしの好きだった人がいたのだ。
がんばれ?なにを?goodサイン?何に対して?
身を引いたなんておこがましいことは言うつもりはないけれど、わたしはあんたが好きだったんだ。
いや、今も好きなんだ。
なのに、なんで、なんで、なんで。
人の告白手伝ったり、人の告白に居合わせたり。仕舞いには意味分からない行動してくるし。
あんたもKも、消えちゃえばいいのに、そう思わざるえなかった。
結局そのときも返事をKにしなかった。
理由はやっぱり分からない。
好きじゃないのなら好きじゃないと言ってしまえばいいのに。
わたしの好きな人は、好きだった人は、友達の告白を全力で手伝う善良な善人のお人好しだった。
そんなところが好きだったのかもしれない。
想いを伝えることは一度だってなかったけど、ずっと横目で追い続けた、わたしの初恋。
これが、ふとした時に思い出す、わたしの初恋。小学六年生の頃の、忘れられない出来事。
今でもあなたの家の前を通り過ぎると、なぜか見てしまう。
なんてね。
結局いちばんの被害者というか、とばっちりを受けたのは、Kなんだよね。
すみません。
小学生だったから、付き合うとかがきっと分からなかったの。
だからって返事をしないのは良くなかったよね。本当に、ごめんなさい。
あなたのことが嫌いだったとかじゃなかったのよ。ただ、なんというか、間が悪かったというか、タイミングの問題というか。
今は連絡先も知らないし、同じ学校でもないし、街でばったり会うこともないから、伝えられる手段がないので、勝手にこの場であのときの返事をさせてください。
『ごめんなさい。付き合えません』
誰でも無料でお返事をすることが出来ます。
お返事がもらえると小瓶主さんはすごくうれしいと思います
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ななしさん
最後の一文に笑ってしまいました。
切なくて、可愛いなぁと思いました。
今度は小瓶主さんもKくんも、
ステキな恋愛、できますように!
7ml
ななしさん
読んでるうちに何度も泣きそうになってしまいました。恋愛に年齢なんて関係ないってこういうことなのかな、とも思ってしまいました。(笑
表現がおかしいかもしれませんが、素敵なお話ですね。
あなたの未来に繋がる過去でありますように
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