大雪のあの日、なぜ母はまだ6歳だった僕をあんな遠くまでお使いに出したんだろう。
僕の股下くらいまで積雪してて歩く事もままならない大雪だった。
大雪が降ると思い出す。
色々な感情が込み上げる。
あの日、子供だったから必死で家まで帰ってしまった。
あの日。あのまま帰らなければよかった。と今は後悔している。
あの時、子供だったから帰るしか選択肢がなかった。
今思えば、あのまま大雪の中に居た方がきっと幸せだったのかもしれない。
大雪が降るとあの日に思いを巡らせる。
きっと母は、わざと使いに出したのだ。
あの日、帰宅出来た事を今でも後悔している。
もしタイムスリップが出来たなら、かわいい妹には会えなくなるがあのまま雪の中に残る選択をする。
何もかもを清めてくれるような冷たい純白の大雪。
誰にも打ち明ける事が出来ない僕の重い心を雪は全て知っている。
僕の気持ちを包み込んでくれるような気さえしてしまう。
今でも大雪が降ると散歩のフリをして雪の中で佇む。
あの日、家に帰れなければよかったんだろうな。