段々街へと近付く。
あれ、、、可笑しい。
ファング「妙に静かだな、、、」
ノマド「ね、皆どうしたんだろう」
街が異様な程に静かだ。
何時もならこの時間帯の街は賑やかだ。
戦時中のこの時間帯は賑やか、というよりも慌ただしいけど。
しかし、今回は”其の慌ただしさ”が無いのだ。
不思議に思い首を傾ける。
ペル「なぁ、なんか来たって、、、」
ペル先生が街の方を指差す。
街の方から此方へ駆けて来る影が見える。
「に、逃げて、、、ッ!」
ノマド「え、ど、どうしたの?」
此方に駆けて来たのは六歳程の少女だった。
ペル「どうしたんだい、可憐なお嬢さん、何かあったのかな?お兄さんに聞かせ((ノマド「何があったの?教えて」、、、いや、あの」
「お、お母さんとお父さんがッ、、、」
ファング「!何か、あったのか、、、?!」
「こ、ころっ、、、ころされ、、、えっ、国に、、、!」
ファング「何処でだ?!連れてけッ、、、!」
「だ、駄目、、、お兄ちゃん達も殺されちゃう、、、!」
ファング「早くしろ!」
「駄目、、、早く逃げないと、、、追い掛けて、、、!」
其の瞬間少女が瞳を見開く。
ペル「?!ど、どうした、、、」
「きっ、来た、、、」
少女が駆けて来た方向を指差す。
ペル「A、、、国、、、」
A国の軍服に身を包んだ大柄の男が路地裏から顔を出す。
此方に顔を向けニヤッと笑うと此方に歩を進める。
足が竦んで動かない。
少女を連れて逃げなければいけないのに。
A国の足止めをしなければいけないのに。
ファング「ノマド!早く逃げるぞ!」
ファングが少女を抱え大声を出す。
駄目だ、逃げられない。
今の俺は俗に言う蛇に睨まれた蛙だ。
走り出す事は叶わない。
時が止まった様に身体が動かない。