〜第一幕〜 弔いの日常
「学園の生徒に死人が出た。」この先の全ての始まりは、5月24日からだった。
15の節目を迎えた甍 長介(いらか ちょうすけ)には、不可解な現象が付き纏う。彼の学び舎、善応青芝学園(ぜんのうあおしばがくえん)にて、彼の陰謀は囁かれてきた。2年前、彼の学年は呪われていると言われていた。だが、ただの妄想に過ぎない、不幸が重なっただけだと否定され続けた。甍は自覚を持ってはいたが、彼によって死者が出たのは範疇外だった。
1年B組の、陸田 亮(りくた りょう)って奴が死んだらしい。甍は、彼の名前も顔も、一切聞いたことが無かった。まさか自分じゃないだろうと。これは神に恵まれなかった可哀想な少年の不注意だろうかと。横断歩道を渡っていたときに、真横からオートバイに追突されて頭を道路に打ち付けたらしい。その後、彼は急性硬膜下血腫で、敢え無い最期を遂げた。
翌る日も犠牲者が出た。2年C組の暦利 真麻(れきかが まあさ)だ。突如親の元から姿を消したようだ。ファミレスでドリンクバーに行ったっきり、彼女は戻って来なくなったらしいが、不可解な点が多すぎる。誰も目撃者は居なかったのか。甍には、固唾を呑んで、新たな被害者が現れないよう祈ることしか出来なかった。名前も顔も知らない人と関わりがあるとは到底思えないからだ。
次の日は、流石に甍も居た堪れなくなった。1年A組の安堂 いちか(あんどう いちか)が死んだ。小学生の頃、保険委員会で自分を慕ってくれた、優しい心の持ち主だった。それ以来は関わりは無かったが、胸の内には顔も名前も声も性格も全て焼き付いていた。面識がある生徒が亡くなると、どうも心が乱れる。もうこれは冗談じゃないな。自分の噂は本格的に真事になってきている。いよいよ自分に攻撃がやってきそうだ。
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